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MIMO


  • Posted by: F&F
  • 2013年11月15日 13:02

ドコモが1本のアンテナで1.2Gbpsを実現というタイトルのニュース記事があった。
1本のアンテナというのは解釈が微妙だが、1つのアンテナ筐体と言えば分かりやすいかも知れない。

一つは偏波面を変えて送信するというもので、垂直偏波と水平偏波では相関が低い事を利用したもの。
偏波面を説明するのは面倒だが、光学に例えると偏光フィルタみたいなものだろうか。
液晶と偏光フィルタの関係といった方が分かりやすいかな。
縦偏光に横偏光フィルタをかけると真っ暗になる、みたいなもの。

ただし反射があると偏波面は乱れる。
移動機側に到達する時には水平偏波も垂直偏波もごちゃ混ぜになる。
しかし、その違いが発生さえすればMIMOは成立する。
偏波面ダイバシティみたいなものだ。

縦方向のアンテナを分割するのはスペースダイバシティにあたる。
これは単純に距離を離す事でアンテナ間の相関を低くするもので、移動機に内蔵された2本のアンテナと同じ事である。
図を見ると多段コリニア的に、あるいはダイポールスタックのように見える(動作はどちらも同じようなもの)。
垂直方向に連結すると1本のアンテナとして垂直面指向性が鋭くなってゲインが上がる。
分割すると2本のアンテナとして使えるがゲインが下がる。

技術的に面白いものではないが、垂直方向のアンテナを切り離して2本に使う部分が実用としては新しいのだろう。
垂直偏波アンテナは垂直方向(アンテナの軸方向、長さ方向)に電波は出ないので相関は低くなるが、しかし距離が近いと理屈通りではなくなる。
シミュレーションしてみると分かるが、分割した所で双方のアンテナは結合して1本のアンテナに見えてしまう。
八木アンテナは1本の給電エレメントに対して複数の非給電エレメントがある。
非給電ではあるが各エレメントはその周波数で共振するので、アンテナとしては一つの固まりになる。
同じように、同一周波数に共振した2本のアンテナは非給電エレメントとして動作したがる。
垂直偏波と水平偏波のアンテナにしても、その距離が近いとアイソレーションは10dBも取れないはずだ。

これをMIMOとして使用すると、双方のアンテナで送信した電界がもう一方に誘起してPAに戻ろうとする。
アイソレータやサーキュレータでPAに達しないようにしているはずだが、誘起された電力は終端抵抗に吸収されてロスになる。
この辺りのアイソレーション技術がキモなのかも知れない。

MIMOは複数のアンテナから同じ周波数で異なる情報を送受信するものだ。
2×2MIMOならば送受信共に2本のアンテナがある。
その2本(2組)のアンテナが東京と大阪にあれば干渉は起きない。
東京で送信された電波を東京で受け、大阪で送信された電波を大阪で受ける。

しかし実際にはきわめて近い場所で送信された電波を、スマートフォンに内蔵された2本のアンテナで受ける。
この、似たような二つの信号をチャネル推定だとか色々な演算で分離するわけだ。
なので、アンテナ間の相関を出来るだけ低くしたい。
しかしアンテナ間の距離を離すとアンテナ設備が大がかりになる。

   

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