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考えの浅いエンジニアの後始末


  • Posted by: F&F
  • 2020年2月19日 11:14

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ある医療機器が壊れたという。
電源を入れても正常に動作しないし、表示もおかしい。

直るか直らないかは分からないがとりあえず見てみることにした。
物理的に壊れているところがないとすれば、最初にチェックすべきは電源電圧やバックアップ関係だ。
リセットボタンでもあれば押してみるけど。

と、バックアップバッテリーを見るとNi-cdが使われている。
Ni-cdバッテリーによるバックアップなんて、30年前には使われなくなった。
PCはコイン電池だし、多くの測定器はリチウム一次電池を使っている。
Ni-cdやNi-MHは充電制御が難しく、たいていの場合は液漏れが起きる。
液漏れは基板を腐食させて壊してしまう。
この機械は2006年製となっているのに、何故Ni-cdバッテリーが使われているのか不思議である。

そしてこの機械もNi-cdバッテリーからの液漏れで基板が腐食している。
これを直すの?
基板のパターンは0.2mmくらいでファインピッチと言うほどでもない。
切れているのは数本/数カ所だろうか。
スルーホールも腐食して駄目になっている。

まずはアルカリ洗剤を使って腐食物を掃除する。
その後純水で洗浄する。

まあ医者だって0.1mmの血管を縫合するわけだし、しかも医者の場合は患者を生かした状態で手術をする。
電気屋は電源を切った状態で作業が出来るからまあ楽な方か。
と言うことで0.08mmのポリウレタン線で修復していく。
パターンの表面を削って綺麗にし、切れた部分はポリウレタン線で配線していく。
スルーホールが駄目なところはそこにも線を入れて部品面と半田面を接続する。

作業は1時間に及んだが、無事に機械は直すことが出来た。

Ni-cdバッテリーは交換した形跡がある。
交換した時点で、交換前のバッテリーは液漏れしていたと思われるのだが、それを清掃せずに組み立ててしまったのだ。
水酸化カリウムの付着した基板は徐々に腐食されていき、そしてパターンが切れてしまった。
考えの浅いエンジニアが設計した装置を、考えの浅いメンテ担当がバッテリーを交換した。

こちらの方は電解コンデンサの交換をされた。
トヨタ車やホンダ車に多いケミコントラブルである。
一部トヨタ車はC/Rでタイミング回路を作っていて、その電解コンデンサの容量抜けで動作がおかしくなる。
この例では液漏れで基板を腐食させたようだ。
最近の車屋さんは電気も分からなくては駄目とは言われるが、ECUそのものの修理まで出来る人は多くはない。
車屋でも電気屋でも同じだが、デキるヤツは何をやらせても無難にこなす。

伊東のヤナセの話は以前に書いたが、診断結果から故障箇所を推定することすら出来ない。
コントロールユニットを換えてみて、エラーコードに変化が無ければセンサを換えますという。
例えコントロールユニットが無実だったとしてもその分は請求される。
ならばセンサを個別にチェックすれば良いと思うのだが、考えが回らないのだ。
診断装置がこう言っているからその通りにしますというだけで、何を言っても「診断装置が〜」となる。

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