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ミラーサイクルエンジン(2/10)
◆ 名称の厳密さから言うとミラーサイクルというのは少し違っていて、アトキンソンサイクルエンジンの実現方法の一つがミラー構造、みたいな感じになる。したがって圧縮比と膨張比の異なるエンジンの仕組み自体はアトキンソンサイクルとなる。アトキンソンサイクルがラーメン一般、その中の味噌ラーメンがミラーサイクルみたいな感じかな。
◆ 現代のエンジンではミラーサイクルによって燃費を稼ぐ手法が採られている。明確なミラーサイクルというと、量産車初のマツダのエンジン、トヨタのハイブリッド車用のエンジン、BMWのバルブトロニックもミラーサイクルに移行出来るし、Fiatのツインエアも同様だ。
◆ ミラーサイクルエンジンは高圧縮比によって効率を稼ぐと共に、ポンピングロスを減らそうとしている。メカニカルな圧縮比が高くてもシリンダ内の空気量が少なければ圧縮による圧力が上がらないのでノッキングは起きない。その代わり吸入空気量が少ないのでエンジン出力が低くなる。
◆ 例えば30プリウスのエンジンの排気量は1.8リッターだが、エンジン出力は99馬力しかない。これは1.2リッターエンジンと同じくらいの出力だ。つまり排気量は1.8リッターあるが、吸入空気量自体は1.2リッターエンジン相当と考えられる。
◆ この出力の低さは過給で補う事が出来、マツダはスーパーチャージャを使った。これによって2.2リッターの排気量から220馬力を絞り出した。有効圧縮比7.6で膨張比は10だった。ミラーサイクルは過給器と相性が良いので、欧州のダウンサイジングターボに使われる。
◆ 可変バルブタイミング機構を使ってミラーサイクルに移行出来るかというと、これは少し難しい。可変バルブタイミングはバルブの動作タイミングを変化させるものであって、作用角を変えるものではないからだ。ただし擬似的というか、少々無理はあるがミラーサイクルっぽい事が出来ないとも言えない。
◆ ミラーサイクルには吸気バルブの早閉じ(吸気行程中にバルブを閉めてしまい、空気流量を少なくする)方法と、遅閉じ(吸気行程が終わってもバルブを閉じないで、いったん吸気したエアを吹き返してしまう)がある。
◆ 可変バルブタイミング機構で吸気バルブが開くタイミングを早くすると、排気バルブと同時に開くオーバラップ時間が長くなる。これによって排気ガスの一部は吸気ポートに流れ込むが、それは吸気行程で又エンジンに吸われる。吸気バルブの開くタイミングを早くしたので、吸気バルブが閉じるタイミングが早くなり、早閉じミラーとして動作する。
◆ 逆に吸気バルブが開くタイミングを遅くするとどうなるか?この場合にバルブ閉のタイミングだけを見れば遅閉じミラーと同様なのだが、バルブ開のタイミングが遅くなりすぎるので吸気損失が増えてしまい、余りうまく行かない。
◆ トヨタの一部のエンジンはエイドリング時には過剰なバルブオーバラップになる程吸気バルブのタイミングを早めている。中速回転域ではバルブタイミングは適正位置に戻し、高回転域では再びバルブオーバラップを増やして吸入効率を上げようとしている。この手法はバルブタイミングの可変機構が出来たすぐ後には行われているのだが、吹き返しによるアイドリング不安定など難しい面もあったようだ。
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