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日本でも始まっているMPDB試験(9/18)
◆ MPDB試験は1200kgの台車を試験車両とオフセット衝突させる安全評価だ。欧州では1400kgの台車が使われるが、日本には軽自動車や小型車が多いために1200kgとされた。日本で最初にこの試験を受けることになったのはクラウンセダンで、車両重量は2.2tを超える。
◆ 2.2tというとアルファードとほぼ同じとなるのだが、そのアルファードは車両重量が2t未満の場合のモード燃費と、2t以上の場合とでは3割近く差がある。等価慣性質量の大きさが燃費テストに与える影響は馬鹿に出来ない。これと同じようにMPDB試験においても車両重量が増えると、台車の損傷が増えて試験結果が悪くなる。
◆ クラウンセダンのテストでも台車の減速度合いで-1.92ポイントと、最低評価である-2.00ポイント近くまで減点を食らっている。特に車両重量の重い車においてはクラッシャブルゾーンの拡大が必要となるので、今後各メーカ共にシャーシなどの設計強度を変更して対処するのではないかと思う。
◆ 欧州では2020年からテストが行われているので、現時点ではどの車両もそこそこの安全性を確保していると思う。日本では2023年の開始なので、非輸出モデルでは特に試験成績が厳しいものになると予想される。JNCAPのテストを見るとクラウンはちょっとおかしな動きをする。どうおかしいのか説明は出来ないのだが、サスペンションが柔らかくてストロークが長いとこうなるのかな?ねじれたような上下動みたいな感じで、後方から見ると衝突時に後輪のサスペンションリンクが外れている?ようにも見える。
◆ MPDB試験は車両重量が軽いと台車に与えるインパクトは小さくなる。ヤリス位の車重であればヤリスが受ける衝撃と、台車に与える衝撃が同等になる。台車に与えるインパクトが小さければこの部分での減点は避けられるが、その分自車が受ける衝撃が多くなる。台車と試験車両は50km/hで50%オフセット衝突なので、衝撃は結構大きくなる。従来の固定バリアに対するオフセット衝突よりも、トータルでの速度は速いが相手が変形してくれる(押し戻されてくれる)ので、その点では固定バリアよりも衝撃度合いは小さくなる。
◆ JNCAPの試験映像はYoutubeにも上げられているが、"JNCAP" "MPDB"とやっても上手く検索はされない。検索されないと言うよりも全然関係のない動画がずらりと出てくる。国交省でもMPDBと表現しているのだが、正式には新オフセット前面衝突試験というのかな?もしかしたら違う名称があるのかも。検索結果はそのときどきで異なるようなので、上手く検索出来たらラッキー位の気持ちでいないとイライラすることになってしまう。
◆ 軽量な車両ではMPDB試験が好成績になるかというと、一概にそうとも言えない。クラウンで評価を落としたのはOLC項、つまり台車に与える減速度の微分値で、試験車両の車重に影響を受ける。では軽量なスズキのフロンクスはと言うとOLC項での減点は少ないが、SD項で大きく減点されている。SDとは台車に与える不均一な変形で、台車に何かが突き刺さったりすると減点になる。これは車両の設計そのものの問題で、フロンクスは-1.36点と大きく減点されたが、シビックは減点ゼロで済んでいる。衝突時に車両全体を変形させるような設計が必要なのだ。
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