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2GFPSは可能なのか?(12/9)
◆ 以前に高速撮影カメラの話を書いたのだが、世の中には凄い人がいるもので、2GFPSで動画を撮影するというものがあった。光の速さは30万km/sなので1nsで進める距離は30cmである。2GFPSということは500psに1枚の画が撮れるので光が15cm進むごとに1枚の画を取り込むことが出来る。これは懐中電灯のスイッチを入れると、徐々に光が広がっていく様子が見られることになる。
◆ ただし2GFPSで高分解能の画像が撮影出来るわけではなく、単一の高速フォトセンサである光電子増倍管の信号を検出しているのだそうだ。サンプリングオシロと同じく1回のサンプリングではどこか1点しか検出出来ない。光電子増倍管の例で言えばどこか1点の輝度が検出出来るだけだ。
◆ そのフォトセンサの位置を少し動かして別の点をサンプリングし、更に少し動かして又別の点をサンプリングし、こうして30万回サンプリングを繰り返すとVGAサイズの画が出来上がる。実際にはフォトセンサを動かすのではなく、X-Y軸にミラーを取り付けてスキャニングしているようだ。
◆ メカニカル的にミラーを動かしながら画を作るので、撮影にはそれなりの時間がかかる。また繰り返し起きる事象でなければいけないし、常に同じ事象が起き続ける必要がある。サンプリングオシロで単発パルスが見えないように、同じ現象の繰り返しを少しずつ記録していく。
◆ 現状の技術でどの程度が可能なのかは分からないが、インラインセンサみたいなものが使えると、一度に取得出来るデータが点から線になる。昔、まだ撮像素子の解像度が低かった時代、高解像度の画を作るためにインラインセンサをメカニカルに動かす仕組みがあった。インラインセンサは高解像度のものがあったので、それを少しずつ移動させて画像を作っていく。FAXなどの読み取りに使うインラインセンサだと思えば良い。
◆ この方式だと繰り返し安定して起きる事象しか捉えることが出来ないので、用途的には限られたものになる。ただ現状では信号伝送速度の問題だとか、メモリの問題もあるので2次元センサは難しいと思う。光電子増倍管にしても非常に高速なパルスを拾わなければいけないので、被写体の明るさが十分でないとS/N比が悪化する。
◆ サンプリング方式は力業ではあるが、例えばオシロスコープに於いてもこれのおかげでタイムドメインでの観測が可能になったのだ。ディジタルオシロはそもそもサンプリングの概念で動いているので、サンプリグオシロ的に波形を見ることも出来る。ディジタルオシロの原理が分かっていない人だと、本当の波形なのか?その1/nに見えている波形なのか、見誤ることがある。
◆ 今は高速のADCが簡単に入手出来るのでリアルタイムサンプリングすればいい話ではあるが、ADCをアンダーサンプリングで使うとか、逆にオーバサンプリングするなどもある。IF周波数から変調信号を取り出すのに、IF周波数でサンプリングする必要はなく信号周波数が分かれば良いので、アンダーサンプリングで問題はない。
◆ 昔の話だが数MspsのADコンバータがあって、内部には256個のコンパレータが入っている構成だった。いわゆるフラッシュ型と呼ばれるもので、ADコンバータはフリスクのケースくらいの大きさがあって、大きなヒートシンクが付いていた。それでも数Mspsだったのだからデバイスの高速化は凄いと思う。
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