5Gの速度・遅延・そして現状

スマートフォン

5Gに関する技術文書ではありません

5G対応のスマートフォンも増えてきたが、5Gのエリアはまだまだ狭い。
高速・大容量・多元接続・低遅延などが5Gの特徴としてあげられるのだが、それを活かせる環境があるのかというと疑問だ。

勿論技術が選考してそれにコンテンツが追いついても問題があるわけではない。
時速200km/hで安全な走行の出来る道路が出来て、しかし日本中の多くの車が180km/hでリミッターがかかったとしても、それはそれで良い。

活かし方の難しいのが低遅延ではないだろうか。メディアなどでは低遅延を活かした遠隔医療などと言っているが、遠隔である事自体が遅延を生む。電波にしても有線信号にしても、光ファイバーにしても、信号の伝達速度は有限だ。光の速度を超えることは出来ない。
光の速度でさえ毎秒30万kmしか進めない。
つまり1msに300kmしか進めないわけで、電線中を通る信号やファイバーのなかを進む光の速度は更に遅くなる。

少し話はそれるが、高速ロジックを作る際の遅延は非常に問題だ。
今やCPUのクロック周波数はGHzが当たり前である。
3GHzの波長は10cmしかないのだから、電線を2.5cm引っ張り回すと90度も位相が回ってしまう。
もはや論理遅延よりも配線遅延が大きいという事態になり、シュリンクしていかなければ高速動作が出来ないのが、大規模集積回路だ。

5Gの話にもどり、現実的なところとしてホームページや動画を観るとする。
ホームページサーバがデータを送り出す速度はさほど速くはない。F&Fサーバにしても、このBlogはWordPressが動いているので遅い。
WordPressは動的にページを生成するので、皆さんがこれを見ようとリンクをクリックすると、WordPressは急いでデータベースからコンテンツデータを持ってきて、写真と組み合わせ、体裁を整えて、そしてデータを送り出す。
一人が1回アクセスするごとに、これを繰り返すのだ。
HTMLで書かれたページを送り出すだけなら速度は稼げるが、処理を伴うのだからマシンパワー依存になる。

動画にしても同様に動的にコンテンツを、リクエストに応じた解像度や圧縮方式で生成するのは大変だ。生成するのは大変なのだが、元ネタは1つで良いので管理が楽になる。様々なデバイスの様々な要求に応える色々なコンテンツをためておくのは大変だ。

勿論大規模なシステムではキャッシュも使うしProxyも使う訳だし、一時期のオンラインゲームのように多くの台数のデータベースサーバが使われている。
しかし、それにしても時間のかかるものは時間がかかる。動画のリンクをクリックしてから最初の動画が再生されるまで、あれ?と思う程度の時間かも知れないが、それでもタイムラグには違いがない。

こうしたことは5Gの通信システムとは無関係であり、5Gでも4Gでも変わらない。
低遅延だ高速だと言っても、それはあくまでも通信路の話だ。
コンテンツサーバの速度が上がらなければ、通信路が高速でもそれは活かせない。

画像はドコモのページより。

ドコモにしても説明には苦労している。
自動運転の説明は、5G云々ではなく自動運転そのものに関することになってしまっている。
唯一歩行者のスマートフォンという文言が出てくるが、近距離センシングならばBluetoothでもUWBでも出来る。

自動運転
ドライバーの眠気などを、カメラやウェアラブル端末から車載AIロボットが検知します。また、車載のカメラやセンサー、歩行者のスマートフォンなど、あらゆるモノから集約した膨大なデータに基づき、危険を回避して走行させる完全自動運転が実現されます。

https://www.nttdocomo.co.jp/corporate/technology/rd/tech/5g/

5Gが普及する2020年代にはデバイスの進化に加えて、ネットワークにつながるモノが爆発的に増加します。
今までのデバイスの進化は、パソコンやテレビでできることがスマートフォンなどのモバイルデバイスでも利用が可能になるといったものでした。
これからは、単に「既存のサービスをモバイルでも利用可能にする」だけではなく、「これまで利用されていなかったサービスをまずはモバイルデバイスで提供する」という時代に移行します。

https://www.au.com/mobile/area/5g/

5Gは4Gとどこが違うのか
5Gは、4Gよりも通信技術が飛躍的に進化しています。5Gの通信速度は4Gの20倍、遅延は4Gの1/10で、4Gの10倍のデバイスを同時に接続できるとされています。
それにより、モバイル端末だけでなく、あらゆる機器からストレスなくネットワークを使えるようになるのです。

https://www.softbank.jp/biz/5g/column3/


通信事業者を介さずに行うローカル5Gなどは、物理的或いは論理的通信距離の短縮によって、例えば工場内のシステムを有線接続並みのレスポンスで接続することは出来る。
しかし有線接続可能なところを無線接続しても意味は無い。
無線接続にしても、(現時点で)高額な5Gシステムを使うよりも、安価な通信方式でシステムを組んだ方がコストメリットが出る。

想像ではあるが、5Gのメリットを無理矢理見つけないとサービスが成立しないみたいな所はあったと思う。事業者は投資を回収しなければならず、それには付加価値を付けなくてはいけない。携帯電話の料金が高い高いと言われる中、5Gだから余計にお金を頂きますよと、大きなメリット無しには言いにくい。

政府は5Gに対してカネを出すと言っているが、一方で総務省は動画見放題などはパケットを使いすぎるからダメだとも言っている。
5Gの推進を行いたく、しかし用途を絞ろうとsている風に見える。建前上は、動画を観る人と観ない人、同じ料金を払っているのに動画見放題で動画を観る人ばかりが得をするのは不公平だとかなんだとか。

移動体通信事業各社に料金を下げさせて体力を奪い、代わりに国がカネを出すから言うことを聞けとやるのは、官僚制社会主義的には凄く良い方法だ。
将来的に携帯電話税を取るにしても、ある態度の管理下に置きたくなるのが役人だからだ。

画像は総務省の資料より

海外の映画などで、企業や政府のサーバに侵入するシーンがある。
日本ではインターネット経由の接続やVPNなどが遅れているが、海外ではリモートアクセス環境は早くから整備されてきた。

そこで問題になるのがセキュリティだ。
VPNだろうが何だろうが、専用線でない限り(極端なことを言えば)誰でもアクセスすることが出来る。
厳重な鍵を何個もドアに付けたとしても、窓ガラスを割れば簡単に侵入出来るかも知れない。

Windows 、Android、iOSのセキュリティ問題が露呈し、そして修正される。
そしてこれには終わりがないかのようにも見える。
OSのバージョンが上がればセキュリティホールが見つかり、それを修正しても新たな脆弱性が見つかる。

5Gの世界で全てのものがインターネットに接続されるみたいな話になってくれば、セキュリティ面での心配も増えてくる。

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