市場が求めるもの

厳ついデザインが売れるのは、厳ついデザインを求めている人が多いからであって、それを的確に捉えたのがトヨタ、そしてワンボックスはトヨタが一人勝ち状態になっている。 CG誌のエディタが書いていたが、ドアの枚数は多いほどよくて、シートの列数も多いほど良い、それが日本人の価値観だと。
そんな日本人の豊かな？いや、貧しい？心を突いたのがこのCMだった。 サニーは当初1000ccでスタートするが、その情報を掴んだトヨタはカローラに1100ccのエンジンを積んだ。
そしてこのサニー1200が生まれたのである。
対するトヨタはカローラに1.4リッターや1.6リッターエンジンを搭載する事になった。

仕事でも趣味の世界でもデキるヤツは何をやらしてもうまくこなす。
すると本人の意思にかかわらず着目されるようになり、一目置かれるという状態になる。
しかしそうでない場合、自分をアピール出来る場がない。
そこでオラオラ車に乗って普段の鬱憤を晴らす、俺は偉いんだぞと世間に見せつけようとするのはそのちっぽけな個人だけなのだが、まあそれでもその人が良いのであれば良い。 こうしたスキマ、いやマーケットの大きさからするとスキマとも言い切れないのかな、そんな需要を一手に引き受けているのがトヨタだと言える。 そしてこの手の人たちは、見栄の為ならカネを惜しまない傾向にあり、良い客になってくれる。

オラオラ顔を好まない層もいるが、実用車を選ぶにあたっては装備や仕様やリセールバリューや値引きが決め手になる。
アルファードにスペアタイヤオプションを付ける人が多いのも、リセールバリューが上がるからだ。
こうなるとオラオラ顔は気に入らないが、流れに乗っていた方が良いなと、賢く生きる派が増える。

以前にも書いたが、中国人は「日本人は何故格好悪いワンボックスに乗るのか？」と言っていた。
その中国人が今は世界で一番ワンボックスカーを崇拝している。
見栄の文化は日本人より上であり、ワンボックスに傾倒していったというのが何とも面白い。