東芝の冷蔵庫GR-37の液晶パネルが点滅している。
普段はバックライトは点灯していないのだが、何事だろう?
冷蔵室は余り冷えず、冷凍室は0℃位に庫内温度が上がっている。
調べてみると霜取り未完了の不具合がエラーH71だ。
液晶が点滅している状態で、どれかのキーを押して10秒放置するとエラーコードが表示される。

霜取り系は温度センサとヒータで構成されている。
霜が付着するとエバポレータの温度が過剰に下がり、ヒータでそれを溶かす仕組みだ。
H71は霜取りが完了しない故障コードとなっていて、東芝製冷蔵庫では良く見られるらしい。
このエラーを直そうとするページや動画があるのだが、いずれも失敗している。
霜取り用のサーミスタ(エバポレータ近くの銅管に付けられている)まで分解しきれていなかったり、庫内温度計測用サーミスタを交換してしまっていたりする。
結局修理が出来ずに冷蔵庫ごと買い換える人が多い。
霜取り系は、エバポレータの温度検出用サーミスタ、霜取り用のヒータ、それらを制御するコントローラで構成されている。
とりあえず分解してみようと思ったが、これが結構大変だった。
そして後で分かる事だが、制御基板側からチェックした方が10倍は楽なのだ。
制御基板にはシルク印刷があり、例えば冷凍室のサーミスタならFDTH(たぶん、Freezer Defrost THermistor)となっているので、コネクタを外して抵抗値を測ればサーミスタの異常が分かる。
同様に解氷ヒータもチェックが出来る。
しかしこの時点では基板側から配線を追う事は出来ないだろうと思い、サーミスタを直接チェックしたのだった。
まずは製氷室とその隣のパーシャル室?を分解していく。

見えるネジ(9本だったかな)は全て外し、中央の隔壁の隠しネジを外して放熱パイプの所にある2本のネジも外す。
隔壁パネルを外すためには野菜室の上部から隔壁を留めている長いネジも外す。
隔壁は右にずらすと外すことが出来る。
製氷室とパーシャル室の底面を留めているネジも見えるので、それも外す。
野菜室の奥にあるのがエバポレータユニットだ。

この時点でこんなにネジを外した。
シャープ製は殆どネジが使われていなかったのに、東芝製はネジが多い。
分解出来ない場合はネジが緩められていない可能性があるので、とにかく見える部分のネジは全て外す、野菜室の上部にあるネジ3本を忘れず外す。
ネジは野菜室側から隔壁を留めている長いものが1本、野菜室側から製氷室とパーシャル室の底板を留めている短いものが2本、他のネジは少し短いものとそうでないものがある。
これは留める場所のプラスチックの厚みによって異なるので、組み立て時にどちらを使うか分かる。

製氷室とパーシャル室の底部、野菜室の上部を外すとこのようになる。
このプラスチックパネルは持ち上げながら前方に引き抜くのだが、放熱用銅管を少し曲げないと抜けてこない。
野菜室上部の半透明パネルは爪で引っかかっているだけなので、下から爪のあたりを押し上げながら、前方に引っ張れば外れる。

野菜室奥のエバポレータのカバーを外す。
これは6本のネジで留まっていたかな。
隠しネジがあるのでシールを剥がしてそれも外す。
ネジを外して前面から見える底部2箇所、上部1箇所の爪を起こして引っ張れば外れるのだが、スポンジなどで隙間が塞がれているので結構固い。
私はバイスプライヤで掴んで引っ張り出した。
製氷ユニットを外し、その奥のカバーを外すと電線が見える。
製氷ユニットは手前の白いカバーの爪を起こすようにして外し、製氷ユニット本体はロック部分(前方中央上側)を押しながら手前に引っ張ると外れる。
次にエバポレータのカバーを外す。
下の写真はコネクタが未だ接続された状態で、エバポレータのカバーを上にずらしたところ。
エバポレータカバー裏側のファンが見えている。
ファンは2個付けられている。

コネクタは、コネクタ外しがあれば簡単に外せる。
各コネクタは馬鹿避けになっているので、どんどん外してしまって問題はない。

コネクタを外すとエバポレータカバーが引き抜けるので、ぐっと広くなる。
エバポレータは冷蔵室用と冷凍室用があり、下の写真は冷蔵室用のエバポレータの銅管に付けられたサーミスタだ。

温度センサのコネクタは、カバーとスポンジで密閉された風な部分に押し込められている。
東芝的には湿気や氷結からコネクタを守っているつもりなのだ。

プラスチックの蓋を外し、スポンジのようなものを引き抜くとコネクタが見える。
コネクタは緑青を吹いている。
エラーの原因はここの接触不良なのかと、この時は思ったのだった。

清掃して組み付けようかとも思ったが、又接触不良になると面倒なので半田付けしてしまう。
線が余り引き出せないので狭いところでの作業となる。
短絡防止は熱収縮チューブで行った。
熱収縮チューブ内部にホットボンド的なものが入っていて、熱を加えるとそれが溶けて防水性を発揮するものがある(と、以前に教えて頂いたので購入しておいた)。

ただし樹脂が入っているために収縮しにくい。

冷凍室用のサーミスタは赤矢印の所にある。
これは異常はなく、抵抗値は他のサーミスタ同様で15kΩ(たぶん25℃で10kΩ)前後だった。
東芝GR-H64のサーミスタ特性は以下となっており、各部で特性が異なる。

サーミスタを外した状態で冷蔵庫の電源を入れると、端子には約5Vの電圧が見られたので断線はしていない。

冷凍室用の霜取りヒータは外さなかった。
抵抗値は500Ω程度なので、断線はしていない。
冷蔵室用のヒータはカバー側に付いている。
抵抗値は1kΩと高め(消費電力は計算上で10W)だが、こんなものかな。

あとは元通りに組み立てるだけだ。
分解性は余り良くないが、組み立て性は悪くない。
沢山あったネジが1本も余らずに元通りにする事が出来た。
修理が完了したら電源を入れ、24時間後にエラーになっていなければOKだが、事はそう甘くはなかった。
同じようにH71エラーが出ていたのである。
そこで制御基板側も見てみる事にした。
背面下の金属パネルを外すと、プラスチックパネルが外せるようになる。
例によって沢山のネジで留められていて、何でこんなにネジが必要なんだ?と思う。

筐体のネジはやたら多いのに、基板はネジ1本で留まっているだけだった。
故障がセンサ側なのかヒータ側なのか?
センサの抵抗値が読み取れなければ、実際には温度が0℃以上になっているにも関わらず、霜取り未完と判断される。
ヒータ系が不良の場合は、ヒータが通電しなくてもやがて庫内温度が上がってエバポレータ温度が上がるはずなので、霜取りは完了と判断される可能性がある。
そう考えるとセンサ系の不良の可能性が高いと思うのだが、センサの入力はプルアップ抵抗など多少のパッシブ回路があるだけで、ワンチップCPUのADC入力に接続されている。
温度が下がるとサーミスタの抵抗値が増え、ADCの入力電圧が高くなる。
回路的にはサーミスタがADC入力とGND間にあり、ADC入力はプルアップされている。
チップ抵抗のクラックや積層セラミックコンデンサの短絡など、極端な事が起きると短絡や断線が検出されるはずだ。
サーミスタの特性の狂いによるエラーも考えられなくはないが、少なくとも抵抗値的に極端な異常は見られなかった。
冷蔵室側エバポレータサーミスタの断線のエラーコードはH36/H37
冷蔵室側エバポレータサーミスタの短絡のエラーコードはH3E/H3F
冷凍室側エバポレータサーミスタの断線のエラーコードはH31
冷凍室側エバポレータサーミスタの短絡のエラーコードはH39
ではヒータ側はどうか?
F徐霜ヒータと基板に印字されている端子は12V駆動のリレーに接続されている。
R徐霜ヒータと基板に印字されている端子はTLP3502に接続されている。
TLP3502は最大0.5Aを流せるフォトトライアックだ。
R徐霜のRはRefrigerator(冷蔵)の事かな?
冷蔵側エバポレータのヒータの抵抗値は常温で約1kΩだったので、電流は100mAしか流れないが、ヒータが冷えている時には抵抗値が下がっているので電流は多くなる。
一方で冷凍側のヒータは常温で500Ωなのと、冷凍用エバポレータはより温度が下がる(ヒータの抵抗値が下がる)ので、リレーで制御していると思われる。
リレーのコイルはM63832(トランジスタアレイ)に接続されている。
これであればインサーキットのままテストが出来るので、リレーのコイルに電圧を加えて接点抵抗を測ってみたが、正常だった。

TLP3502も同様にトランジスタアレイで駆動されている。
電流制限抵抗は1.2kΩだ。
これもインサーキットのままテストしたが、正常だった。

それよりマイコンに近い側、ワンチップマイコン自体やトランジスタアレイが壊れている可能性もあるが、そこはテストしていない。
アクティブテストモードでもあれば良いのだが、そうでないとワンチップマイコンのポートテストは出来ない。
なお基板上には通常使われていない(何も接続されていない)コネクタが2つあるので、ここにチェッカを接続する事が出来るのかも。
ワンチップマイコンのポートとヒータ端子の電圧をロガーで記録すれば分かると思うのだが、最初の霜取り動作が電源を入れて8~12時間後なので気の長い話だ。
ヒータ端子に100Vで動作するブザーでも付けておけば、少なくともヒータが通電したかどうかは分かる。
半田不良も疑ったのだが、少なくとも目視では異常はなかった。
異常はなかったが、サーミスタ関係の部分と除霜ヒータ系は半田付けし直しておいた。
コネクタの接触不良も疑い、接点はアルコールで拭いた。
こうしたオマジナイの成果もなく、翌日見るとH71エラーが発生していたのだった。
故障を修理しないで誤魔化す場合、タイマーやスマートコンセントでスケジュールを組み、8時間に一度電源を切るようにするとエラーを回避出来る。
霜取り動作は8時間~12時間ごとに行われるそうなので、霜取り動作に入ってエラーが出る前に電源をいったん切り、リセットしてしまう。

うちの冷蔵庫の場合は12時間ごとに霜のチェックが行われるようなのだが、余裕を見て8時間ごとに5分間電源を切るようにした。
GR-H64のサービスマニュアルからの抜粋。

常用冷蔵庫であれば買い換えた方が良いと思うが、この冷蔵庫は飲料と保冷剤入れになっているものなので、しばらくはタイマーで凌ごうと思う。
霜取りが間に合わないようなら、停止時間を長めに変更する。
この状態でしばらく使っていて、冷蔵室は冷えている。
製氷室は弱いながら冷えているのだが、冷凍室が全く冷えない。
製氷室と冷凍室は違うのだろうか?
以前使っていたシャープ製は解体して捨ててしまったし、サブ冷蔵庫なので新たに買うというのもなぁ。
飲み物は冷えているからいいのだが、冷凍室が使えないのはスペースの無駄だ。
冷凍室の温度は室温約27℃の時に20℃だった。
ハードオフやリサイクルショップに行けば安く買えるが、運ぶのが大変だ。
軽トラックでも用意しないといけないし、家財便で運べばそれなりに高いし。
じゃあ得意のヤフオクで。
勿論ヤフオクでも送料はかかるのだが、リサイクルショップの場合は自分で手配したりと面倒がある。
ヤフオクなら出品者が手配してくれるので、配達を待っているだけでいい。
と言う事で再びシャープ製(製造は中国)のものを1円で買った。
送料が1万円ほどかかるが仕方がない。
手頃な大きさだとシャープ製やPanasonic製があったのだが、冷蔵室と冷凍室があれば良くてパーシャル云々とか自動製氷は要らない。
更に言えば冷蔵室容量の大きなものが良かったので、シャープ製になった。

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