古いデジカメを触る機会があった

デジカメ

一番古いデジカメは2010年頃のものである。
この頃はまだまだ各社で画質の差があったし、 画作りの点でも違いが出ていた。
自然な色合いを求めるメーカもあれば、いわゆる記憶色を追うメーカもあった。
SONYやPanasonicはどちらかというと記憶色寄り、派手な画作りでモニタ画面で見た時のインパクトを重視する傾向だったと思う。

古いデジカメの解像度やレンズ性能を比較しても仕方がないので、画像は全て横幅1000ドットに縮小した。
画像をクリックすると横幅1000ドットで表示されるはずだ。

参考としてEOS Kiss X(アスペクトレシオが他と異なり3:2)と、Xperia1 IIIで撮ったものも載せる。

撮影は全てオートモード(プログラムオートなど各社呼び名は異なる)にセットし、シーンプログラムなどは使用していない。
デジカメによってはシーンを自動判定して、例えば風景であれば記憶色強調、ポートレートであればソフトフォーカスと切り替えるものもある。

レンズの焦点距離は最広角(電源を入れると最広角側になる)のままとした。
ISO感度、ホワイトバランスなども全てデフォルト値で、設定などは行っていない。

空をバックに立木の葉が見える箇所(画像中央上あたり)があるが、ここを見ると白飛びの具合が分かる。
ここは実質解像度とダイナミックレンジの差が出やすい部分だ。

山の木々に露出が合えば空は白飛びしやすくなり、空に露出が合うとシャドー部が黒つぶれする。

【CANON EOS Kiss Digital X】

キヤノンの古いディジタル一眼レフである。
大型CMOS撮像素子を使い始めたのはキヤノンが最初で、EOS Kiss Digitalがその廉価版第一弾となる。
EOS Kiss Digital Xはその後継だ。
発売は2006年で1010万画素のAPS-Cサイズのセンサが使われている。
ただしキヤノンのAPS-Cサイズは他社のものより少し小さく、おそらく1.8型相当程度ではないかと思う。

輪郭強調などの処理は最小限で地味な画作りである。
解像度もさほど高くはなく、全体にモヤモヤした感じでダイナミックレンジが狭い。
空は全面真っ白で青空の部分がもはや分からない。

【SONY Xperia1 III】

2021年発売のスマートフォンである。
撮像素子は1/1.7型の1200万画素だ。
ナチュラル系を目指すとは言っても、スマートフォンであり派手目な画作りと言える。
ただスマートフォン全体としてみればGALAXYは彩度が高く、iPhoneは更に派手、それと比較すれば地味なのだ。

時代が違うので当然なのだが、解像度は高い。
輪郭強調が少し強めだが、画像の端でもゆがみは少ない(上手く補正されている)。

【Nikon Coolpix L22】

2010年発売で、単三乾電池が使えるコンパクトデジカメだ。
1/2.3型で約1200万画素の撮像素子に3.6倍のズームレンズが組み合わされている。

輪郭強調は強めで画像中央あたりでは木の葉が解像される。
しかし画面の端では水彩画のように葉が塗りつぶされた感じになっている。

【OLYMPUS SH25-MR】

2012年発売で、これまで最も多く使ってきたデジカメだ。
1/2.3型で1600万画素の撮像素子と12.5倍の光学ズームを組み合わせる。
内蔵ストロボのラッチが壊れていたり、一度水没させたりして調子が悪い。

画面中央部は比較的クリアだが、端ではモヤモヤ感が高まる。
画作り自体に派手さはない。

【OLYMPUS SZ-10】

2011年発売で、1400万画素(1/2.3型)の撮像素子と18倍光学ズームが組み合わされる。
この頃はズーム倍率競争の最中である。
フォーカスがものすごく遅い(いったん最近から最遠まで動く)上に、フォーカス精度が低い。

傾向としてはSH-25MR同様なのだが、画面の周囲の劣化度はこちらの方が少ない。
SZ-10の方が大型のレンズを使っているので、レンズ性能の差だろう。

【CASIO EXILIM EX-ZR100】

2011年発売で1/2.3型の1200万画素撮像素子に12.5倍のズームレンズを組み合わせる。
多少緑が鮮やか目に写っているが、画面の端でも破綻しておらず全体としてバランスが良い。

【CASIO EXILIM EX-ZR1700】

2016年発売で1/2.3型の1610万画素撮像素子に18倍ズームが組み合わされる。
カシオはデジカメ黎明期からマーケットに参入していた。

輪郭強調が強いのは多少不自然感があるのだが、画面の端でもあまり画質が劣化していない。
色収差が目立つのと、少し露出オーバだ。
青空部分が白飛びしているし、右の立木の葉も空に混ざってしまっている。
1EV絞ると白飛びはなくなるが、空と木の葉の境目には色が付いてしまって不自然になる。

CANON PowerShot SX-720HS】

2016年発売で、1/2.3型の撮像素子(2030万画素)に40倍の光学ズーム(35mmフィルム換算で24mm~960mm)が組み合わされている。
さすがにこの倍率になるとレンズは長く伸び、手持ちでは厳しいほどの望遠になる。

画作りは地味で全体的にモヤモヤ感がある。
今回比較した他のデジカメより画素数が多いので、ピクセル等倍ではアラが目立つ。
色収差も少し出ている。

2012年頃から2015年頃は、まだまだスマートフォン内蔵カメラの画質は良くなかった。
2016年にXperia Z4のカメラと他を比較している。
これも木の葉を写しているので、木の葉のモヤモヤ感から解像度が分かると思う。
2016年当時にもスマートフォンのカメラはデジカメを越えたなどと言われ始めていて、ズーム機能を除けばコンパクトデジカメと遜色ない写りだとも言われた。

デジカメ出荷台数のピークは2010年頃(金額ベースでは2008年頃)で、その後減少に転ずる。
しかし2014年頃からディジタル一眼レフがブームとなり、市場規模が多少回復する。
ディジタル一眼レフブームは、ミラーレス一眼レフカメラが登場してきた頃から下火となり始め、カメラメーカもディジタル一眼レフカメラ市場からの撤退を臭わせ始める。

スマートフォンは2016年あたりからマルチカメラ搭載モデルが増え、2019年頃には画質競走となる。
それまでも各メーカはカメラ画質をセールスポイントとしていたが、より現実的な高画質化という意味でスマートフォンのカメラが進化した。

スマートフォンがマルチカメラとなり、あるいは光学ズームが搭載されるようになるとコンパクトデジカメの市場は更に縮小する。
出荷台数ベースだと1970年代のフィルムカメラ需要程度まで落ち込んでいる。
金額ベースで行けば当たり前の話ではあるが、ディジタル一眼レフやミラーレスなどのレンズ交換式カメラが売り上げを支えている。
コンパクトデジカメの高級機はミラーレス一眼レフに食われ、低価格機はスマートフォンに食われた。

出荷台数ベースではコンパクトデジカメが多いのだが、ミラーレスとの差は小さくなった。
ディジタル一眼レフは大きく出荷台数を減らした。
ミラーレスに関しては市場規模が微増だそうだが、他は絶滅状態に近い。

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