サイバーキャブの苦悩

米国や中国では実用化されている自動運転車タクシーだが、事故やトラブルなどもある。
自動運転車と人間が運転する車が混在なので、自動運転車が完璧ならそれで済むかと言えばそうではない。

テスラはサイバーキャブで自動運転タクシーに参入するのだが、こちらも前途多難である。
最初にぶち当たったのはCybercabの商標問題で、イーロンマスク氏はXの時と同様に強引な事を行おうとした。
元々はフランスの飲料企業であるユニベブが商標権を持っていたが、無名の企業だったので丸め込めるだろうと思ったようだが、訴えられた。
そもそもCybercabを商標登録しようとした時点で、米国特許商標庁は商標登録を拒否している。
普通はこの時点で方針を変更するのだが、テスラはそうはしなかった。

更にはロボタクシーも商標登録しようとしたが、これも失敗した。
米国特許商標庁は一般名詞化しているので登録しないよと突っぱねた。
またテスラの出方が強引だからなのか?他の商標を登録しようとする時には(特定のワードが含まれている場合に)事前に報告するようにと通達した。

自動運転のシステム自体も現状のロボタクシーよりかなり簡略化されていて、テスラ方式が上手く行けば大きなコストダウンになる。
イーロンマスク氏は5百万円以下で車両を販売するとしているが、氏のことなのでアテにはならない。
アテにならないどころか、今年の初めの時点では実証走行距離ゼロマイルの報告だったとのことで、これは申請から6年連続だったそうだ。
現状ではテスラのロボタクシーは無人走行が認可されておらず、運転操作は行わないが緊急ブレーキ?をかけるための人間が乗車している。
これが実証実験の開始と言うことになるのだろう。

Youtuber氏は7月か8月には、人間が操作することの出来ない(ステアリングホイールなどが付いていない)サイバーキャブが商業運転を開始すると言っているが、NHTSAの認可が下りていないので商業運転どころか一般路上も(特別な許可無しでは)走ることが出来ない。
コメントをしている人の方が余程分かっている。

現状のテスラ製乗用車のFSDは未だにバージョンアップが続いている。
ナビとの連携(ナビのルートと違うところを勝手にFSDはセレクトしてしまう)も改善方向だそうだ。
少なくとも人が乗っていて緊急対応さえ出来れば、現状でもそこそこ自動運転は出来る。
ただしタクシーとなるとお金を取って人を運ぶので、更なる信頼性が必須だ。

FSDは可視光カメラでの画像を元に運転アシストを行うが、カメラだけでは限界がある。
欧州ではレーダ搭載が必須になっているし、LiDARも使っている。
こうしたことからテスラもレーダを搭載してみたが、画像による処理と干渉してしまい上手く行かなかったそうだ。
イーロインマスク氏は、人間も目視だけで運転しているから画像処理だけで良いはずだと力説する。
米国でも規制の動きがあるようだが、果たしてどうなるのか。

日本を含む世界でテスラ製車両の衝突安全機能が働かなかったと思われるような死亡事故が起きている。
ドライバーはFSDを使っていたと証言し、テスラ側は人間がFSDをオーバライドしたと言っている。

今回の事故の原因については、FSDの誤作動が一因だった可能性があると原告側は主張。車が意図せず急加速してしまう不具合や、道路の突き当たりにある住宅を「進路上の障害物」として認識できない不具合が原因だった可能性があるとした。

 その上で、「Teslaには、十分に安全を保証できない状態で欠陥のある車を道路上で走行させた責任がある」と主張している。

 今回の事故は、米国で自動運転車をめぐる論議が続く中で発生した。サンフランシスコでは米Alphabet傘下のWaymoが運行する自動運転タクシーが高速道路の工事に伴う通行止めを認識できず、工事区間に進入するトラブルが続発。これを受けてWaymoは約4000台をリコールの対象として、ソフトウェアアップデートを実施した。

FSDは優れたシステムだが、あくまでもレベル2であることを認識すべきだ。
テスラ自身が完全自動運転と呼んでいるのも問題なのだが、正しく使えば優れた運転支援システムなのだ。
それを過信したり全てを車に任せようとすれば、事故も起きる。
また誤認識による回避行動と思われる事故も報告されるが、これはドライバーによる咄嗟の回避修正は不可能だ。
レーダがあればこうした事態を防げる可能性が高まる。

急激な進路変更時でもFSDならウインカを出すはずだとの反論があるが、(先日もリンクした)この例でもウインカは出されていない。
誤認識による急ハンドルや急ブレーキの報告は多く、路上の看板や反射物、鳥や虫(距離感誤認による)を避けようとするもの、原因不明のファントムブレーキもある。
フロントガラス(カメラ前面)を虫が這うことは避けづらく、これを障害物と誤認する。

これとは逆に障害物(前行車)を認識出来ずに突っ込む場合もある。
テスラ派は前行車が急停車したのが悪い、誰でも突っ込むとした。

自動運転タクシーはWaymoが実用化されていて、自動運転に関する膨大なデータを持っている。
テスラはFSDに関してのデータをWaymo以上に持っているのだが、これはあくまでもLEVEL2の運転アシストのデータであり、完全な自動運転車のものではない。
FSD使用時の事故の責任は全て運転者が負う事になる。
上の動画の例でも、もしドライバーがステアリングを握っていれば、もしドライバーがブレーキペダルを踏めば、事故は防げたかも知れないが…
衝突軽減ブレーキも利かないのかな?(動画はXより)
別の事故でも衝突軽減ブレーキの利き方というか制御が疑問視されている。

18日にUpされた動画でも、前行車に容赦なく突っ込んでいる。

テスラ派に言わせれば、追い越し車線を塞いでいる他車が悪いとなるし、トラックの影で見えない(衝突された)車が悪い、追い越し車線から第二通行帯に戻った車が悪いなるのは…
このテスラのドライバー、テスラオーナーズクラブの云々だとの事(Xアカウントは凍結)。

テスラは追い越し車線から第一通行帯まで移動するのだが、第二通行帯を走行しているトラックの前方で、追い越し車線を走っていた軽自動車が第二通行帯に戻る(6秒あたり)。
テスラは第一通行帯の車(ぶつけられた車両)を追い越すために第二通行帯に進路を変更したかった(9秒あたり)ようだが、そこには追い越し車線から第二通行帯に戻った軽自動車が居たため、そのまま第一通行帯の車に突っ込んだ。

FSDにしてもEAPにしても、何故衝突軽減ブレーキが動作しないのかは疑問だ。
カメラだけでは、やはりダメなのか?

Waymoは日本でも2025年4月から実証実験を行っているのだが、道路の狭さや渋滞、標識の複雑さなど難しい面が多いと言われている。
自動運転アルゴリズムがあればどこでも同じように走れて良いはずなのだが、中々そうは行かない。
Waymoでも実用化時期は未定としている。
特定地域特化型の自動運転システムを作ることは出来る。
詳細な地図やそれに基づくデータをセットしておけば走行精度が上がるのだが、何かが変わる度にメンテナンスが必要になり、想定エリアの外を自動走行することが出来なくなる。

Wayve(英国)のE2E自動運転技術では、マップデータに頼らずに自動運転を行おうとする。
ソフトバンクが投資し、日本での展開で日産と提携している。
実際にはコースの予測が必要なのでマップデータを使うとは思うが、より自立的な判断を行う意味は大きい。
テスラはGooglemapのデータを使うそうだが、データに誤りがある点がデメリットだ。
地図の精度として、例えば日本においてはゼンリンには及ばない。
中国では規制によってGooglemapが使えず、Baiduの地図を使う。
Baiduの地図は都市部は詳細に作られていて、車線数や規制情報も含まれているという。

日本にもあるのだが、右列レーンが3車線道路の真ん中に位置するような場所が中国にある。
おそらく信号の制御で矛盾が起きないようになっているのだと思うのだが、FSDが”違反”する姿は度々見られるそうだ。

国内ではトヨタが自動運転車で(軽微な)事故を起こしたのがマイナスになっている。
しかも監視員乗車時の事故とあって、ネガティブな空気に包まれたのだった。
日本における自動運転であれば日本のメーカが得意なのは言うまでもないので、今後に期待したいところだ。

消費電力の問題もある。
FSDでも数百ワットの電力を消費すると言われ、ロボタクシーではキロワット級の消費電力になる。

自動運転とは関係ないが、中国では地下駐車場へのEVの侵入を制限するところが増えた。
理由は初期型のEVのバッテリーが劣化する時期であり、自然発火を引き起こすからだとか。
バッテリーそのものの品質、充放電制御回路の精度などの問題があり、中華EVの発火事故が増えている。
地下駐車場で発火事故が起きると被害規模が大きくなるため、EVの進入が禁止されている。

韓国でも同様にEVの進入が禁止されているところがある。
一時期は韓国EVの方が中華EVより燃えやすいなどと言われていて、それは韓国ではバッテリー容量こそ命なので、充電率100%以上で使ったからだとか。
今は燃える話は余り聞かなくなったのだが、少数ではあるがリーフもテスラも、欧州車だって燃えるのだから、何とも。

ロボタクシーが増えた場合に、事故や緊急時の処理や対応も問題になる。
中国と違って火災はそうそう起こらないと思うが、事故や故障はあるだろう。

中国では平均して毎日8台の車が燃えていて、その火災発生率は0.02%~0.03%程度だという。
ICEの火災発生率は0.01%前後であり、EVはICEの2倍以上燃えることになる。

しかも発火してから爆発的燃焼に至るまでには1分もかからない。
ICEの車両火災では脱出の余裕があるのだが、EVはそうではない。

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