テスラの車作りは、物作りの原点から完成形に向かっての、時代の流れを見ているようだ。
日本の高度成長期がそうであり、今の中国がまさにこの路線を歩んでいる。
最初に作った車両は立て付けが悪く、チリが合わず、パネルが脱落した。
そこでテスラは考えた。
接合部を無くしてしまえば良いと。
こうして生まれたのがギガキャストだった。
ギガキャストによって組み立てコストも安くなり、強度を上げることも可能になった。
中華メーカは勿論、トヨタもギガキャストに興味を示した。
トヨタは新開発EVでギガプレス(鋳造ではなく鍛造なのかな)を使うと言っている。
車両の組み立てコスト的にギガキャストにメリットはあるのだが、自動車の修理がほぼ不可能になるデメリットがあった。
アルミ鋳造なので、いわゆる板金的修理が出来ないのだ。
こうしたこともあり、テスラはギガキャストを捨てることにした。
立て付けの悪さもテスラの特徴で、ガタピシと低級ノイズが車内に響く。
低級ノイズがなければテスラに非ずという事で、テスラ乗りは諦めていた。
しかしテスラも研究は続けていて、内装パーツの加工精度や組み付け精度が上げられないのなら、クリップを工夫して抑えつけてしまえと。

内装部品の加工精度や組み付け精度が普通の自動車メーカ並みになれば、こんな高価なクリップなど使っていられるかと闇に葬られるだろう。
既存のテスラ車両にこのクリップは使えないのか、ガタピシ音が直せるのかと語られている。
もう一つのクリップの工夫は、斜めに挿入出来るものだ。
製造精度や組み付け精度が悪いと、穴の位置が合わずにクリップが斜めになってしまう。
すると結合が十分ではなくなり、脱落などが発生する。
そこで斜めに入れてもロックがかかる構造のクリップにした。

このクリップの欠点は、穴位置の合わないもの同士を無理に結合させる事で、クリップ自体が壊れる事だとか。
いやはや…
サイバーキャブは無着色のプラスチックボディだ。
無着色の理由は、プラスチックへの塗装が(テスラにとっては)難しいことがある。
現行車両でも金属部分と樹脂部分では色や質感が合わず、二昔前くらいの日本車が20年経って日焼けしたみたいな色違いになっている。
そこでテスラは有色プラスチックを使ったのだが、過去の流れからすればこれもやがて消えるかも知れない。

テスラは塗装工程を省くことで大幅なコストダウンが実現出来たとする。
成形時にポリウレタン系の着色剤を使って色を付けるのだそうだ。
既存の車両の塗装に関しては、塗装品質の低下をカバーするために硬化後も柔らかい塗料を使っている。
テスラは磨けないのはこの塗料の性質のためで、通常もコンパウンドでは塗膜が薄くなってしまう。
1979年に発売されたOLYMPUS XAはプラスチック成形に非常に苦労したと言われる。
平面はまだしも、曲面ではわずかな歪みが光の反射で目立ってしまう。

塗装工程を経れば目立たなく出来るものも、無塗装樹脂は難しかったそうだ。
金型の問題や成形時の温度管理など、製品化までには様々な苦労があった。
今でこそ曲面も難なく作れるようにはなったが、自動車レベルの品質の維持は中々大変で、バンパーなどの樹脂パーツにはそれなりにお金がかかっているそうだ。
塗装の質感向上のため、日産ではプラスチックパーツをボディに取り付けた状態で、最終塗装を行う。
プラスチック製のボディ部品はBENZのAクラスでも使われていた。
見た目で質感の違いは分からなかったが、叩けば音が違った。
その後プラスチックフェンダーの話は余り聞かないので、金属に戻ったのだろう。


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