ディジタル時計のセグメント欠けを直す

家電製品

キッチンに置いてあるディジタルクロックの表示がおかしくなった。
猫が何度か落としているので衝撃によって壊れたのだろうか?
置き時計なんて相当丈夫だとは思うのだけれど。

分表示の+の位のセグメントが欠けている。
eセグメントとfセグメントが点灯しないのは、0と4を表示した場合だ。
実は2と3を表示するとbセグメントが不点灯、cセグメントが点灯しっぱなし、eセグメントとgセグメントが点灯しないという、これは接触問題ではなくてLSI異常の可能性が疑われる。

多少怪しげなのは、その時々で欠けるセグメントが変わると言う事。
接触不良やショートの可能性も捨てきれないか。

全て違うパターンで表示するなら、そのパターンを覚えれば時刻は分かる。
しかし別の数字が同じパターンで表示されるとなると区別出来ない。
で、内部を見てみる。

意外に部品が多い。
基板の上の黒いエポキシはCOB(ChipOnBoard)で、大きい方が時計のLSIで小さい方が電波受信部だと思われる。

小さい方のCOB近くに水晶振動子的な部品が2つ付いている。
水晶フィルタでも構成しているのか?2周波数対応だから2つ?
まさかこの周波数なのでスーパーヘテロダイン用の局発と言う事もあるまい。
電波時計の受信性能を上げるには、アンテナゲインを大きくすることと帯域を狭くすることだ。
帯域を狭くすることでS/Nが向上する。

NPCの電波時計用ICの仕様を見ると、水晶フィルタ端子なるものがある。
狭帯域なので水晶振動子をくっつければ良いと言うことなのかも知れない。
水晶振動子をそのままくっつけると、直列共振による通過帯域が出来、それより少し高い周波数の所に並列共振による阻止帯域が出来る。
この直列共振部分を使えば簡単にフィルタができる。

水晶振動子1個でフィルタを作ると、非常に狭帯域かつシェープファクターの悪いものが出来る。
狭帯域フィルタに信号、つまりCWではない変調波を通すと波形が鈍ってしまう。
繰り返し周波数が50Hzの矩形波を50Hzの狭帯域フィルタに通せば正弦波になるのと同じだ。

フィルタによって通過帯域幅以外の成分が削られてしまう。
電波時計用のJJYは1bpsなので、まあ水晶振動子を付けても(波形は鈍るけれど)受信出来る感じかな。
L/Cを入れれば通過帯域幅を少し稼げるけど。

ロジックデバイスと思われるものの水晶振動子的なものはクロック源だ。

これは温度センサと湿度センサだ。
基板から距離を取っているのは、基板の熱(発熱するようなパーツはないが)などから離すためか。

筐体の大きな置き時計なのでフェライトバーアンテナが使われている。
これも感度アップに貢献する。

液晶はフレキシブル基板で接続されているのかと思ったらゴムコネクタだ。
まずはゴムコネクタと液晶部分はそのままにして、ゴムコネクタと基板の接触を確かめる。

ゴムコネクタの中身はこんな風になっている。

画像は信越ポリマー株式会社より

ここと基板側をアルコールで清掃して組み直す。

しかし何も変わらなかった。

そこで基板を抑えているネジを外した状態で液晶と結合させ、指で押したりしながらセグメントが点灯するかどうかを確認した。

ダメである。
どこを押してもセグメントは黒くならない。
ショートや断線ではなくLSIが壊れたとか、デコード用の何かが書き換わったとか、いずれにしても壊れたと言う事だ。
ついでなので、液晶板とゴムコネクタの接合部も分解してみる。

シマシマの部分を拡大すると下の写真になる。
黒く見える部分が導電部でピンクの部分が絶縁部である。

液晶ガラスの透明電極が分かると思う。
ここにゴムコネクタが接触するわけだ。

Amazon価格約1.9千円、こんなものなのか。
同じものでもブランドが違うと千円ちょっとで買える。

安物なりの信頼性と言う事で諦めるか。
なお購入したのは2018年7月24日なので、2年ちょっとで壊れたことになる。

組み立ててしばらくすると数字表示が正しくなっている。
直ったか?と思うと又駄目になる。
そしてこの故障は他のセグメントにもおよび、湿度表示がおかしくなった。

次は何を買うか?
同じものを買っても面白くないので少し調べてみた。
するとリズム時計のものが980円だった。
まあ中身はセイコー製と同じようなものだろう。
レビューを見ても液晶表示欠けや表示しなくなるなどとある。

シチズンで安いものを見つけた。
というかシチズンとリズム時計とどう区別しているのだろう?
ソフトバンクに対するYモバイルみたいな感じ?って、余計分かりにくいか。
安いという事は中国製で信頼性は低いのだろうが、表示不良の書き込みがない。
だったらとこれにしてみた。

うちには何台もの電波時計がある。
時計は正確でなければいけないわけで、現時点では電波時計やGPS同期時計が最も正確だ。
ウチにある古い電波時計は(古いので)40kHzにしか対応していないはずだ。
10年以上前のアナログ電波時計も、SEIKOのディジタル電波時計も異常なく時を刻み続けている。
同じ機能のものは作れても、まだまだ中華時計は日本の信頼性には及ばない。

2Fに置いておくと電波をうまく受信するのだが、この部屋はPCやら何やらのノイズが原因か、なかなか同期してくれない。
そこでJJY Emuratorアプリを使って、スマートフォンの時刻に同期させてみる。

同様のソフトはPC版や、ブラウザで動作するものもある。
ただ周辺ノイズの多いこの部屋の環境では、電波時計は同期しなかった。

マンションなど電波時計がJJYをうまく受信出来ないような環境で、このエミュレータを常用する場合はアンプを接続した方が良い。
最も簡単なのはCMOSのインバータを(HC04など)を使う方法だ。
インバータの入出力を100kΩ程度の抵抗で接続してバイアスを加える。
その入力にコンデンサで絶縁してPCやスマートフォンからのスピーカ出力を接続する。
高調波が沢山出るので、出力側には40KHzの直列共振を入れておく。
ここはLPFを構成した方が良いが、部品が増えるので直列共振だけ。

コイル(L1 100μH)とコンデンサの合成容量で40KHzあたりに共振させている。
このコイルの代わりに電波時計用のバーアンテナ(C2/C3/C4の容量はそのアンテナに合わせて変更)を使えばスマートだ。

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コメント

  1. JerryBard より:

    HCU04の間違いかな?

  2. FnF より:

    アンバッファータイプでも使えると思いますが、高調波をより多く出すという点ではバッファータイプの方が良さそうです。

  3. JerryBard より:

    あぁなるほど、RCA 4000シリーズが出た頃から、アンバッファーじゃないとアナログ領域では使えないって刷り込まれてましたが、このケースだと方形波が必要なんですねぇ
     しかし初段の消費電流は結構きびしいかも?(無信号時だけかな)

  4. jerrybard より:

    ふっと思い付きですが、ハイレゾ対応のオーディオアンプ(-3dBポイントが100kHzぐらい)使うと、隣近所まで校正できる似非標準電波が出せるかな?2mのホイップアンテナで、輻射効率 100ppmぐらい出るかな?
    ここまで書いて、アンテナに 40kHz 100Wぶち込んで、輻射効率 1%だったら、無駄な 99Wはアンテナ エレメントで消費されますかねぇ、反射波としてアンプに逆流しちゃうかなぁ?アンテナチューナーでインピーダンスだけでも整合させると、どうかなぁ??

  5. FnF より:

    磁界アンテナを使った方が良いような気がしますねぇ。
    空芯でコイルを巻くと結構な巻き数が要りそうですが、それとCで共振させて。
    コイルの直径は大きい方が良いですね、1mとか2mとか。
    フラフープを芯に使うとか。

    アンプの出力が8Ω以下なので、コイルにはタップを作らないといけないですね。
    アンテナのインピーダンスが8Ωより大きく低いと、ミスマッチ分はアンプの負荷となってアンプが壊れそう。
    アンテナのインピーダンスが高すぎると、アンプの出力がアンテナに入らずに(アンプの出力が出ないだけ)実効出力が低下します。

    周辺1km圏内の時計を全部狂わすことが出来たら凄いですけどね、巨大なアンテナが要りそうです。

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