人工セーム革は劣化するのか?

車を吹き上げるにはセーム革を使った時代があった。
セーム革とは鹿の革で、柔らかく細かな繊維質のために吸水性に優れていて傷を付けにくい。
メガネ拭きだとか腕時計の清掃用などにも用いられる。
伊豆半島には鹿が沢山いるので、セーム革が道を歩いているようなものなのだが…
なめし工程を経なければ使うことが出来ないので、鹿を捕ってきてもダメである。

天然のセーム革は放っておくと乾いてカピカピになってしまう。
水に浸ければ復活するのだが、乾いた状態で固まっているものに無理に力を加えると割れたり破れたりする。
そうした天然物の難しさを解消したものが人工セームとよばれるものだ。
人工セームも乾くとカピカピになってしまうが、天然セームのような脆さは少ない。
AIONのPLASSENU(プラスセーヌ)は、日本でもっとも売れた人工セームではないだろうか

今でこそマイクロファイバタオルだとか、強力なブロワで水滴を吹き飛ばしたりするが、昭和の時代にはみんなこれを使っていた。
マイクロファイバタオルも良いのだが、吸水してしまうと絞るのが面倒、ちゃんと乾かさないと吸水性が悪くなり、洗濯にも気を遣う。
雑巾を衣類と一緒に洗うなと、きっと奥様にも怒られる。
柔軟剤を使うと吸水性が落ちるので、専用の柔軟剤を使ったりする。
そんな時のために自分用の洗濯機を用意する、なんて事を考え始めなければいけないかも。

タオル系が乾いた状態で使用するのに対して、セーム革は濡れた状態で使う。
絞るのも簡単だし(泥汚れなどが付着しない限りは)、絞りながら使うので都度綺麗になる。
そんな人工セーム革なのだが、古くなると吸水性が悪化する。
と言うことに気づいたのが最近なのだ。
余り使っていない、新品に近いプラスセーヌを使ったら驚くほど良く吸水した。
そうか、最初はこうだったのか。
経年劣化によって吸水性が悪化していたのだ。

劣化したものにはkaneboと書かれているので、AIONが引き継ぐ前の初期製品だ。
kaneboは1960年代に人工セーム革を開発し販売、その後カネボウグループのAIONから販売されている。

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