ウエルネスリンク対応機器を救済する

家電製品

2012年頃から2016年頃にかけてOMRONはFelica対応の体組成計や血圧計、睡眠計などを次々に発売した。
Felicaインタフェース内蔵のスマートフォンを近づければ、健康管理機器のデータを読み出す事が出来る。
体重や体脂肪率や基礎代謝、内臓脂肪レベルや骨格筋率が自動的にスマートフォンに取り込める仕組みだ。

当時の謳い文句は以下のようになっていた。

通信機能搭載で、パソコンやAndroidスマートフォンで簡単にデータ管理が可能
本体に、おサイフケータイ機能付きAndroidスマートフォンや携帯電話、別売のUSB通信トレイをかざすだけで、当社の健康管理サービス「ウェルネスリンク」にデータを転送することができます。
パソコンやAndroidスマートフォンで、毎日の測定結果をグラフ管理したり、「朝晩ダイエット」アプリや「ゆるぴかダイエット」アプリでダイエットの継続をサポートします。

対応アプリはOMRONがリリースしていたものと、ドコモのわたしムーヴがある。
当初はOMRONから、からだグラフ/ リズムノート/ 朝晩ダイエット/ ゆるぴかダイエット/Jog Styleアプリがリリースされていたが、これらはわたしムーヴに統合するという事で2016年に廃止された。
OMRON製のアプリはさほど難解ではなかったが、ドコモ製のわたしムーヴアプリはかなり使いにくいものだ。

これは元々はドコモのリストバンドのデータ取得用のものだったと思われ、OMRON製の機器登録が今ひとつ手間だった。
本来はFelicaから機器情報が取得出来るので、アプリ側で機器を選択する必要は無い。
しかしわたしムーヴアプリでは、これをまず選択する必要がある。

機器登録は出来るのだが、その機器からデータが読み出せるようにするのも少し苦労があった。
体組成計にはユーザ番号(P1~P4)の設定があるのだが、アプリ側にもその設定があるらしい。
らしい、というのはこの点がよく分からないからだ。
そしてこの、アプリ側の設定番号と体組成計の設定が合致していないとデータが取り込めない。
最初何度やってもデータが取り込めず、体組成計の方でP1~P4を切り替えて体重計に乗って確かめた所、P3に設定すると取り込みが可能になった。
おそらくどこかで設定したのだと思うのだが、設定をどこで行うのかが分からなかった。

そもそも体重計にセキュリティの概念がないので仕方が無いが、他人の体重計でも何でもリンクする事は出来た。

2016年以降は、このわたしムーヴアプリがOMRONのウエルネスリンク機器の唯一のアプリとなった。
そして2022年、ドコモはこのサービスを終えるとアナウンスした。

わたしムーヴの終了によって、体組成計は単体でも動作しなくなるものがある。
他のウエルネスリンク機器は事実上スタンドアロンでしか使えなくなる。
OMRONには代替アプリを作れば良いなどの意見が出されたと言うが、OMRONは体組成計や血圧計の型落ちモデルの割引販売で済ませる事しかしなかった。

OMRONのサポートの悪さは従来から言われていて、保証期間内の自然故障修理でも有償になったとか、新品交換の手続きに1ヶ月待たされたなど、元々個人向けのサポート体制が出来ていなかったのではないかと思う。
そんなOMRONなので利用者の意見に耳を傾けるわけもなく、Bluetooth版に買い換えろと言うばかりだった。

しかし2016年にPC版のウェルネスリンクパソコン向けサービス(無料サービス及びプレミアムコース)終了を案内した際に、スタンドアロンで動作するソフトウエアの提供を開始した。
しかし何故か3ヶ月後にはそのソフトの提供が中止された。

ヘルプなどのリンクをクリックしても「ウエルネスリンクサービス終了のお知らせ」のページに飛ばされるのだが、PC版スタンドアロンソフトのダウンロードページはそのまま残されていた。

公開中止後もバージョンアップなどが行われており、その対応のためだと思う。
いずれにしてもソフトのダウンロードを行う事が出来た。

このソフトとHXX-IT3/HHX-IT4のFelicaリーダがあれば、ウエルネスリンク対応機器とインタフェースする事が出来る。

ただしスマートフォンをウエルネスリンク対応機器に近づけるという手軽さとは無縁となり、USBケーブル付きのリーダライタを引き回さなければならない。

FelicaリーダライタをPCに接続し、ソフトを起動すると機器登録画面になる。
機器の種類などの設定は不要で、Felicaリーダライタを機器に近づければ自動で登録が行われる。

機器登録が完了すると、機器からデータが読み込まれる。

体組成計も血圧計も自動認識された。

血圧計からもデータを取り込めるのだが、体組成計に比較すると取り込み時間が長い。

ソフトはスタンドアロンで動作しているので、ウエルネスリンク対応機器が壊れるまで使えそうだ。
ただ日付が2021年までしかない。
2022年になると新たに選択出来るようになるのだろうか?

2022年度以降も使えるかどうかは、後日又追記する事にする。
※追記:2022年も使える事を確認した

測定値の編集は、このソフト上で行う事は出来ない。
エディタなどを使うのであれば可能で、ソフト上からファイル出力を選びCSV形式でデータを出力する。
出力されたデータをエディタなどで編集し、ファイル→測定記録をファイルから取り込むで取り込む。
こうすると、それまでのデータが上書きされて新たな測定値(エディタで編集した値)が表示される。

このソフト上でグラフを出力出来るが、月をまたぐ事が出来ない。
データをファイルに出力してExcelなどで管理をすれば良いのだが、少々面倒である。
グラフの出力自体はpdfに書き出すようになっている。

通信機能付きの健康管理機器は非常に便利なのだが、OMRONのように方針自体が変更されてしまうと、購入した機器がゴミになってしまう。
体組成計は現時点で新品在庫が3千円程度、中古だと100円~500円くらいで買う事が出来る。
実はHBF-252Fも入手している。
これは被測定者の自動判定(単に体重で見ているだけ)機能が付いたもので、本体400円/送料800円で入手した。
HBF-252Fは体脂肪率計測用の電極がガラス電極になっていて、耐久性に乏しいとも言われる。
この辺りもちょっと見てみたいなと思った次第で、ハードウエアにも興味があり買ってみたわけだ。

HBF-252Fは分解能が50g単位になっている。
仕様による誤差は±100gである。
OMRONの体重計は重力補正のために地域を設定する必要がある。
これが県単位なのだが、南北に長い県の端に済んでいるような場合はどこを設定すれば良いのか迷う。
伊豆市だと山梨とか長野に設定するのが良いかな、とか。

HBF-252Fの分解能は50gなので、50kgの人に対する最小分解能は1/1000だ。
誤差という事に関しては幅で200gなので0.4%になる。
では重力差での誤差はどの位かと言えば、極と赤道でも0.5%ほどだ。
北海道と九州では0.13%程度の違いなので、50kgの人に対して65gくらい、1カウント(50g)動くかどうかでしかない。

透明電極は液晶に使われる電極と同じような感じだ。
透明電極は半導体(半導体と言うよりも導体に近づけるために、様々なものを混ぜる)が多く、スズ添加酸化インジウム或いはフッ素添加酸化スズ等が使われる。
テスターで抵抗を測ってみると100Ω/cm位だった。

透明度は高いが、完全に透明なわけではない。
本体色が白や黒などだと余り目立たないが、中間色などでは少し目立つ。

透明電極は耐久性に乏しいという話もあるので、今後も見ていきたい。
使い勝手として、透明電極のものは電源を入れる事なく体重計に乗れば測定されるので手間がない。
HBF-215Fの場合は、まず電源を入れて番号(P1からP4まで選べる)をセットしてから体重計に乗る必要がある。

HBF-215では靴下を履いたままでも計測は完了する。
体脂肪率の計測値もそれっぽくなるが、厚手の靴下ではダメかも知れない。
透明電極の方はエラーになって測定が出来ない。
体重だけで良いんだけど、と思った所でエラーが表示されるだけなので、靴下を脱ぐ必要がある。

測定値記録HBF-215FからHBF-252Fに移すのは簡単だ。
ソフト上でHBF-215Fのデータをファイルに書き出し、それをHBF-252Fの所で読み込めば良い。
少なくともHBF-215FとHBF-252Fに関してはファイルの項目などを含めフォーマットは同一だった。

多少の使いにくさを我慢してもコストパフォーマンスを取りたければ、Felica搭載モデルを買う価値があるとは思うが、利便性という点ではWi-Fiインタフェース内蔵の体組成計がベストだ。
Bluetoothインタフェース型もあるが、多くのモデルは体組成計の電源を入れておかないと通信が出来ない。

Wi-Fiインタフェース内蔵型やFelicaインタフェース型では、体組成計の電源を入れる事なく通信が出来るので手間がない。

中華体組成計はWi-Fiインタフェースモデルでも2千円くらいで買う事が出来る。
管理ソフトは汎用のGoogleFitなどが使えるのは良いのだが、計測誤差が大きい。
安価な体組成計では体重の測定誤差が±0.5kgほどになるものもある。
また体脂肪率の測定精度は更に低い。

体脂肪率は人体のインピーダンスと抵抗の比から求めるが、身長や体重その他によって誤差を小さくする様々なテクニックがあるのだそうだ。
体脂肪率は水中体重秤量法や空気置換法、二重エネルギーX線吸収法などがある。
これに対して生体インピーダンス法は簡単に体脂肪率を推定出来るのだが、体内水分量の変化で測定値が大きく異なるので、毎日の測定時間を揃えるとか体内水分量の変動を少なくする(飲酒などで計測値が変化する)など、注意が必要だ。

脂肪の水分量は約20%なのに対して筋肉は8割ほどが水分なのだそうだ。
従って水を沢山飲んでインピーダンス法で計測すると、体脂肪率は低く出るそうだ。
毎日決まった時間に体重を量るなど、誤差を小さくする工夫が必要になる。

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