中華デスクチェアの金具が破断した

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何年か前に、20年以上使っていたカリモクのデスクチェアが壊れた。
長く使っているから寿命だなと諦めて別の椅子を買ったのが今回壊れたものである。
カリモクの椅子は、既に部品はなくなっているけれど別のモデルのパーツを使って修理が可能だと、カリモクに聞いた。

カリモクの椅子は腰痛に悩まされている時に購入したもので、椅子を変えてからは腰痛に悩まされることもなくなった、まあ思い出の品でもある。
ずっと使っているのでボロボロなのだが、カリモクに修理に出すことにした。
引き取りや配達までしてくれて、修理代は2万円前後だったと思う。

修理期間中に使っていたのが、今回壊れた中華デスクチェアだ。
当時色々調べた上で購入したもので、ゲーミングチェアではないが通常のデスクチェアより背もたれ部分が大型のものだ。
この中華デスクチェアは別のデスク用に使っていたのだが、それが壊れた。

壊れたのは座面底部の金具で、背もたれに体重をかけるとテンションが加わる部分だ。
2mm厚くらいの鉄板なので丈夫そうなのだが、折れた部分はピンの入っている支点になる部分であり、ピンの入る丸穴からクラックが広がったのかも知れない。

修理が可能かどうか分からなかったので、別の中華ゲーミングチェアを購入した。
新たに購入したゲーミングチェアは(壊れた椅子より)だいぶ進化している。
勿論メーカなどは違うのだが、剛性が上がり座り心地も良くなっている。

とりあえずはこれで椅子は揃ったので、ダメでも仕方がないと思いながらも溶接にチャレンジした。
溶接はアルゴンと半自動は経験がある。
アルゴンはバーナー的もので母材を温めて付けていくので、いわば半田付けの親分である。
なのでこれは難なく行うことが出来た。

半自動は溶材の発熱自体で溶接していくもので、私にとっては少々難易度が高かった。
溶材の切れ端が溶接物に張り付いてしまったりとか、苦労した。

今回は家庭用の溶接機でアーク溶接をする。
ちなみにアーク溶接は今回が初めての経験である。

アーク溶接機も最近のインバータ方式のものは、アークの持続性や電流調整などが細かく出来るのだが、これはトランスが入っているだけのものだ。
もう1年以上前になるが、たまたま入ったリサイクルショップで500円だったので買ってきてみた。
動作未確認と書かれていたが、普通に使うことが出来る。
ただしケースに割れている部分があったので、それは補修した。

溶接には溶接用のマスクが必要だ。
これも昔ながらのものとは違い、最近のものは液晶シャッタ式になっていて使いやすい。
だがそんなものは持ち合わせていない。
しかし溶接用マスクなしで溶接部を見れば目を痛めてしまう。
そこでCDを使う事にした。
CDによる遮光はこちらの実験の時に確認している。

破断した部分をハンドグラインダで綺麗にする。
パキッと折れた感じではなく、引っ張られながら壊れた感じで破断面が綺麗ではない。

一応磨いてみたのだが、隙間が一定ではなく押さえても隙間が閉じないというか、隙間の広さに差がある。
写真をよく見るとレバーのシャフトが貫通していないことが分かる。
しかしこの時点でそんなことに気づいているはずもなく、溶接作業を進めた。

板厚があるのでこの隙間はどうしようもない。
この部品をバラバラに出来れば良いのだが、これ以上の分解が出来ない。
隙間を開かせることが出切ればヤスリで削ってしまうのだが、それも出来ない。
テンションを変えるためのバネの強さの調整部も外せない。

仕方がないので、この上から溶接をするというか溶材を盛ってみる。

何とも美しくない仕上がりは、単に腕が悪いだけである。
出来るだけ隙間に溶材を入れようとするのだが、これも中々うまくは行かない。
そこで溶接した部分を削って、巣が出来ている部分を再度埋めようと試みる。

表面を削って再度溶接すると、亀裂で貫通している部分は溶接した時に音が変わる。
削ってダメそうな部分を溶接し直してと、何度か繰り返した。

更にその上に溶材を盛ってみる。

母材と溶材が溶けて合金層が出来ていないといけないと思うのだが、母材が厚いので家庭用溶接機でどこまで(ちゃんとした)溶接が出来ているか分からない。
いわゆる天ぷら半田みたいに、表面だけに溶材が乗っている状態かも知れない。
それでも何とか付けることは出来た。

溶接が出来たので椅子を組み立てる。
組み立てが完了して座ってみると、リクライニングのテンションが弱い。
バネを強くしても余り変わらない。
よく観察してみると、バックレストに力を加えると溶接で直した金具の一部が歪む。
その原因は、支点?となるシャフトが抜けているからだ。

写真左側に銀色のシャフトが見え、そのすぐ下に溶接箇所がある。
銀色のシャフトはブッシュのようなものが入っている感じで多少動く。
対して黒色のシャフトは固定されている。
このシャフトは椅子の高さを変えるための、ダンパーの先端のバルブを押すためのプレートが付いている。

しかしこの位置がずれるとはおかしいではないか。
黒のシャフトの位置も銀のシャフトの位置もほぼ固定されている。
溶接箇所は銀のシャフトよりも左側なので、ブッシュ?や全体の熱変形以外で位置関係が変わることはない。

赤矢印と緑矢印の位置関係だ。
外側の金属も一体、内側に入っている部品も一体ものだ。
亀裂は銀のシャフトより左側なので、溶接によって位置が変わることはない。

もっとよく観察してみる。

シャフトは1~2mmは動かすことが出来るが、金具を通過する所までは動かせない。

位置関係もそうなのだが、そもそもシャフトが金具に届いていない。
このシャフトはダンパーを押すプレートで位置が固定されているので、押し込むことも引き抜くことも出来ない。

では今まではどうなっていたのか?
金具が割れる少し前からバックレストの動きに違和感があった。
その時にこのシャフトが外れたとも思える。

カリモクの椅子も金属部分が壊れたのだが、徐々に金具が曲がって溶接部分が外れた感じだった。
カリモクの椅子も壊れるかなり以前から、リクライニング角度がおかしいなと感じていた。
更には座面が低くなるような変化があり、木材でスペーサを作って凌いでいた。

この椅子も金具が割れる10日くらい前から、リクライニングのテンションに異常が感じられていた。
このシャフト、そもそもギリギリに引っかかっている状態で、それが何かの拍子に抜けたのか?
それともシャフトの先端が欠けたのか?
断面を見る限り欠けた風でもないが、よく分からない。

シャフトが抜けたことで、この金具に想定外の力が加わって割れたのだろうか。
金属の厚み的には簡単に割れるような金具ではないし、そもそもバックレストに過大な力をかけるのは無理だ。
しかし壊れたのは事実なので、想定外の力が加わったのだろう。

シャフトを移動させるためには内部のプレートを削るしかない。
フレートが引っかかってシャフトが出てこないからである。
プレートがネジ止めだとしたら、ハンマーで叩いたらシャフトが動くかも。
そう思って力一杯叩いてみたが、位置関係は全く変わらなかった。

と言うことでこの椅子はゴミになった。
シャフトの異常に気づいていれば、溶接作業をしなくて済んだのに。
ま、溶接の練習をしたと思えば良いか。

椅子はバラバラにしてゴミに出す。
椅子の脚の部分、この椅子は5つのキャスターが付いているのだが、その部分が車のタイヤ/ホイールを乗せるのにちょうど良い。
キャスターがあるので移動も簡単である。
樹脂製で錆びることもないし、耐荷重も十分だ。
最初は捨てようと思ったのだが、意外な所で再利用が出来た。

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コメント

  1. 腰痛 より:

    そのシャフトはシートの遊ぶを調整するための物ですね。
    貫通させればロックされ、写真のように貫通させなければ遊ぶができて振り子のような座り心地になります。

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