UVカットフィルムやUVカットカーテンの比較ページは数々あれど、実際に紫外線透過率を計測したページは少ない。
タイトルこそ【徹底比較2023】【プロが選ぶ】とか【おすすめランキング】【絶対失敗しない】なんてワードが並ぶものの、単に商品の説明を転記してリンクを張るだけという、何の役にも立たないページが検索上位を飾る。
そんなページの1つに、エアキャップは紫外線カットと断熱効果が両立出来るとか、クリアファイルは安価で手軽に紫外線をカット出来る、書類などの日焼け防止効果が家具を変色から守るなどと書かれている。
本当なのか?
番外編ではエアキャップとクリアファイルも測ってみた。
紫外線カットと言えば日焼け止めスプレーである。
何故日焼け止めを使い始めたかは後述するが、実際に効果があるものか測ってみた。
カーテン屋のページに、紫外線カット率100%としないのは繊維の隙間があり、そこから光が漏れるからだと書かれていたが嘘である。
100%を謳うには100%カットされている事を証明(測定)しなければならず、事実上不可能だからだ。
測定器のダイナミックレンジが60dBあると、入射光が2mW/cm2だった時の最小読み値は2nW/cm2になる。
では漏洩光が2nW/cm2以下ならゼロなのかと言えばそうではない。
下限が測定出来ない以上、表示としては99%以上とか99.9%以上としか書けない。
ただし透過率0%や0.0%とは書く事が出来る。
別のへっぽこページには以下の記述があった。
これはフィルム施工屋のページだと思われるのだが、UV100%カットフィルムはUV99%カットフィルムの3倍の値段だよ、でもUVカット率100%カットのフィルムを扱っているのはウチだけだよ、みたいな宣伝だ。
UVを100%カットするフィルムを施工することで日焼けが一切おきません。 しかし、99%のフィルムでは日焼け対策には程遠い結果となってしまいます。 UV99%カットフィルムの方では日焼けを起こしてしまっております。 ご納得頂けたでしょうか。 紫外線をカットするなら100%でなければ意味がないのです。
今回はUVカットフィルム、アルミサッシのガラス、自動車ガラス、UVカットカーテン、UVカット障子紙の紫外線カット率を実測してみた。
サンゲツのページには以下のグラフ(紫外線による影響の説明)がある。
紫外線強度計
測定にあたっては、SANWAの可視光照度計とSP-82UV紫外線強度計を使用した。
紫外線強度計は紫外域においてリニアなレスポンスを示すものではなく、以下のように感度差がある。
可視光センサに紫外域フィルタを付けたようなものだろうか。
(青い線は書き入れたもの)
SP-82UVの特性で、別のグラフも見つけた。
再確認しようとしたのだが、当該ページにアクセスが出来なくなってしまっていた。
(赤・青い線は書き入れたもの)
CENTER532の感度カーブは以下のようになっている。
下は浜松ホトニクスのもので、型番により校正波長が異なる。
このように紫外線センサは波長によって感度が異なるものなのかも知れない。
測定波長にかかわらずフラットな感度を有する測定器があるかも知れないが、今回使用したものは波長が短くなるに従って感度が落ちる。
太陽光中の紫外線量も、大気などでの吸収により短波長域ほどエネルギは少なくなる。
従ってUV-A域よりUV-B域の紫外線阻止率は甘く計測される。
次に書くが、UV IndexではUV-Aに比較して日焼けに作用しやすいUV-Bの感度を上げている。
波長ごとの通過特性を見るのであれば分光光度計や光スペアナを使う必要がある。
その場合でも完全な白色光源(全域にわたって光度が一定の光源)は存在しないので、演算機能を持った分光計でないと計測が面倒だ。
可視光であればプリズムとディジタルカメラでも簡易的に分かるが、紫外域を見る事は出来ない。
簡易型紫外線計
日焼け防止などを目的とする、紫外線インジケータは以前から売られている。
一般的紫外線強度計が高価だった2000年頃、水槽用照明器具の紫外線量を測るために使っていた事がある。
TANITAのUV-miraEC-960はW/m2で計測が出来た。
またUV-AとUV-Bが別々に測れるなど、価格を考えれば十分過ぎる機能だった。
UV-Aは1W/m2~51W/m2(100μW/cm2~5.1mW/cm2)、UV-Bは0.1W/m2~1.1W/m2(10μW/cm2~110μW/cm2)まで測る事が出来た。
分解能こそ低かったが、簡易測定は可能だった。
現在売られている簡易型はUV Indexを10~16段階の数値で表示するものが多い。
UV Index=CIE紅斑紫外線強度(mW/m2)/25となっている。
気象庁によるUV Indexの解説は以下になる。
気象庁でのUVインデックスの計算方法 気象庁の紫外線情報におけるUVインデックスは、計算機によるモデル計算をもとに作成しています。モデル計算では、オゾンによる吸収、空気分子やエーロゾルによる散乱、太陽高度、標高などの要素を考慮して、晴天時の波長毎の紫外線強度を求めており、これをもとに晴天時のUVインデックスの予測や、天気を考慮した場合のUVインデックスの予測、気象実況を考慮したUVインデックス(実況の解析)を算出しています。 観測から得られるUVインデックスは、ブリューワー分光光度計を使用して、290~325nmの波長範囲で0.5nm毎の紫外線強度を測定した観測結果に基づいています。このUVインデックスの算出にあたって、観測を行っていない325~400nmの波長域の寄与分については、モデル計算の結果に基づき324nmの観測値を使って推定しています注2。これは、この波長範囲ではオゾンによる吸収をほとんど受けず、雲やエーロゾルによる散乱の影響を波長によらずほぼ一様に受けるからです。この推定部分によるUVインデックスの誤差は0.1以内であり、実用上問題はありません。 なお、UVインデックスは、計算上は小数点以下の数値もありますが、紫外線情報の分布図ではわかりやすさのためすべて四捨五入した数値として公表しています。また、環境省の「紫外線環境保健マニュアル」や世界保健機関(WHO)で示している紫外線対策の解説では、UVインデックスのランクを1から11+とし、11以上はまとめて11+と表記しています。気象庁の紫外線情報では、これらに加えて紫外線のごく弱い早朝や夕方の値を表現するために0を、また、日本ではしばしばUVインデックス12や13といった値が観測されるため、実情に合わせて13+まで表示しています。数値を算出する定義は全く同じです。 注2 紅斑紫外線のうち325~400nmの波長域による寄与分(mW/㎡)は、324nmの波長別紫外線強度[mW/(㎡・nm)]に0.0722を乗じて算出しています。
UV Indexの計算には波長が関係しているのでややこしい。
紫外線強度計は近紫外側で感度が上がるのだが、UV Indexは短波長側で数値に対する影響が強くなる。
紫外線強度が4mW/cm2の時のUV Indexが9~10位になり、3mW/cm2の時が4~5位ではないかと思う。
簡易型UVチェッカーの価格は500円~1,500円と安い。
分解能と感度は低いが、紫外線の量によって日焼け度数的な数字を表示する。
日焼けするかどうかの指標なので、UV Indexが1でもそこそこの紫外線量となる。
簡易型紫外線チェッカの光学センサには紫外線域のバンドパスフィルタ(おそらくUV-B帯にピークがある)が付けられているが、この樹脂フィルタには寿命があって経年で劣化するそうだ。
特定波長のLEDとフォトダイオードを組み合わせた、透過率測定器もある。
赤外域として950nm、可視光域として550nm、紫外域として365nmのLEDが光源とされている。
可視光照度計
可視光照度計はSANWAのLX20を使用した。
波長に対する感度は規定されていない。
次にLX20で近紫外線LED懐中電灯の明るさを測ってみた。
一応近紫外領域でも感度がある。
今は中華照度計が千円台で買える。
紫外線域まで感度があれば、これと紫外線LEDライトで紫外線透過率が測れる。
レーザーパワー計
ついでにレーザパワー計でも測ってみた。
一応400nmあたりでも10%の感度がある。
これで近紫外LEDを測ってみると、2.623mWとなった。
測定値を10倍にすると26mW、意外とパワーが出ている。
デジカメで見てみる
紫外線LEDライトをデジカメで見てみた。
シャッタ速度は1/640に固定し、レンズの明るさはF4である。
デジカメの設定を変えないまま、紫外線カットフィルムを通してみた。
フォーカスが怪しくなったが、真っ暗になった訳ではない。
この紫外線LEDライトは目視で結構明るく見えるので、公称波長と異なるかも知れない。
なおノーブランドUVカットフィルム(2)は赤外線遮断も謳われていて、赤外線LEDとデジカメで確かめてみると、赤外LEDの光は全く写らなくなった。
赤外線透過率は別途測定しているが、デジカメには赤外域遮断フィルタが入っているので、赤外域の感度自体がかなり低いと思われる。
紫外線遮蔽率とは何か?
日本産業規格(旧日本工業規格:JIS)L 1925:2019で紫外線遮蔽率の計測方法が規定されている。
波長は290nmから400nmまで1nmごとに計測するとある。
各波長に於ける入射光と、サンプルを通過した光の強度さから算出する。
UPFは計測値に太陽分光放射照度の相対エネルギー値を加味して計算し、紫外線遮蔽率を算出する。
太陽分光放射照度の相対エネルギー値とは、太陽光に含まれる各波長のエネルギ値で、400nmが最も大きく、波長が短くなるにつれて減少する。
GoogleでJIS L1925を調べても宣伝ページみたいな所しか出てこないが、Bingで調べると一番上に規格書が出るので、詳細はそれを参考にされたい。
なお今回はJISに基づいた測定は行っていない(出来ない)。
光源は太陽光線なので、波長が短くなるにつれて強度が下がる。
オレンジの線が地表でのスペクトルだ。
紫外線強度計も波長が短いほど感度が下がる。
UVカット製品は波長が短くなるほど透過率が下がる。
従ってJISでの測定よりも太陽光と紫外線強度計を使った測定では、数値的には有利に出る。
アルミサッシのガラスの紫外線透過率
太陽光で測定するので、日差しが安定している時を選んだ。
明るさは101.1klx(キロ・ルクス)で、紫外線強度は1924μW/cm2だった。
次に窓を閉めてみた。
窓は普通のガラス製で1枚である。
明るさは83.0klxに減少したので可視光透過率は82%ほどになる。
紫外線強度は926μW/cm2になったので、紫外線透過率は48%程度だ。
一般的な3mm厚のフロートガラスの紫外線透過率は30%~60%程度、5mm厚の場合は50%~80%程度とのことだが、材質や添加物で透過特性が違ってくる。
いくつかのデータを見てみたが、ガラスそのものの特性(メーカ)によって数値は様々だ。
メーカによってはクリアガラスと称するものなどもあり、それも光学特性は異なると思われる。
ペアガラスの場合はガラス板2枚分の減衰量となり、Low-Eタイプは紫外線吸収と赤外線反射膜がコーティングされており、紫外線透過率は5%~15%位だ。
紫外線遮断フィルムを挟んだ合わせガラスの紫外線透過率は2%程度と低い。
Low-Eタイプのガラスを2枚使い、その中間に通常のガラスを挟んだトリプルガラスが、断熱性と紫外線遮断性を両立させていると言える。
これもメーカによって紫外線透過率や赤外線透過率が異なる。
ある住宅関連サイトのページでは、紫外線透過率の単位がnmになっていたりする。
まあ一般的知識?は、その程度なのだろう。
人間の肌は500μW/cm2程度の紫外線でも日焼けすると言われているので、ガラス越しの室内でも陽が当たっている場所では(時間はかかるが)日焼けすることになる。
UVカットカーテンの紫外線透過率
紫外線カットを謳うレースのカーテンはどうだろうか。
模様の濃い部分と薄い部分で測ってみた。
模様の濃い部分は可視光透過率が13.8%で、紫外線透過率が12.4%だった。
紫外線99%カットが謳われているが、特別紫外線域がカットされている訳ではない。
色の薄い部分は可視光透過率が43%で、紫外線透過率が15%だった。
可視光透過率にかかわらず、紫外線遮断率は余り変わらない。
繊維による透過特性に、着色による減衰量が加わった感じか。
カーテンに関してはこちらのページに実測値がある。
透明でないものの場合、直射日光が遮られる(拡散される)ので可視光透過率は低めに出る。
窓用フィルム3種類の比較実験
ノーブランドUVカットフィルムの紫外線透過率(1)
窓用フィルムはこれを使用した。
可視光透過率96%と紫外線カット率99%が謳われている。
PET製で厚みが100μmあれば、そこそこ紫外線はカットされるのではないかと思った。
説明文の強飛散防止がちょいと意味不明だが、まあ中華製と言うことで。
なお同一のものが複数のブランドで販売されていて、説明文はほぼ同じだ。
価格はまちまちで、サイズによる価格の差が大きかった。
可視光透過率は能書きの96%に近い90%だったのだが…
紫外線透過率は72%と、カットされているとは言えない。
厚みは100μmなのでシッカリした感じだが、紫外線は通してしまう。
触った感じは固めで、PETと言われればそんな感じもする。
見た目は窓用フィルムの一般的な感じの透明なものである。
適当な表示は中華フィルムの常なのか?
例えばこれはUVカット率90%が謳われているが、商品説明では紫外線遮蔽率20%と書かれている。
ノーブランドUVカットフィルムの紫外線透過率(2)
もう一点、商品写真ではブルーに色の付いたフィルムを試してみる。
紫外線カット率は99%が謳われているほか、赤外線カット率60%となっている。
ブルーの着色は赤外線域のカットのためではないかと思う。
説明文の「 87%超 度」が意味不明だが、どうやら可視光透過率が87%以上と言うことらしい。
このフィルムも複数ブランド・複数の販売社から別名で売られている。
販売元によって可視光透過率は80%だったり90%だったりするし、紫外線カット率も90%~99%くらいで表示されている。
結構適当と言うことだ。
現物は商品写真通り薄いブルーだ。
ガラスに貼り、貼っていない部分と比較すればわずかにブルーだが、全体に貼ってしまうとほぼ透明に感じる。
100μmのフィルムよりは明らかに柔らかく、PETというよりもビニール系あるいは塩ビシートのようなしなやかさがある。
まずはフィルムを通さずに紫外線量を測ってみる。
明るさは106.3klx紫外線量は3.08mW/cm2と強かった。
フィルムを通すと紫外線量はゼロになった。
これにより紫外線カット率は99.97%以上と言う事になる。
可視光透過率は約86%となった。
下の写真でフィルムが受光部から外れているように見えるが、何度か計測しているので数値に間違いは無い。
中華フィルムは全てインチキかと思ったが、ちゃんと使えるものがある事が分かった。
近紫外LEDでも測ってみる事にする。
近紫外LEDでも懐中電灯の紫外線強度は726μW/cm2だった。
紫外線カットフィルムを通すと値がゼロになった。
従って紫外線カット率は99.9%以上と言う事になる。
このフィルムは赤外線も吸収する仕様なので、それも能書き通りかも知れない。
ただし赤外線吸収フィルムはフィルム自体の温度が上がり、赤外線の再放出が行われる。
赤外線防止には、赤外線反射フィルムを使うべきだ。
赤外線遮断率も測ってみた。
赤外線ライトがあれば良いのだが、無かったのでリモコンを使った。
可視光照度計は赤外域にも感度があるので、相対値としてして比較した。
受光センサに赤外線リモコンの発光部を近づけると124lxとなった。
同じ条件でフィルムを挟むと36lxとなったので、赤外線カット率は約61%となった。
こちらも能書き通りと言えるだろう。
透明度は高いのだが屈折率というか表面の平坦度というか、ガラスと違う物質がそこにある感はする。
リビングのガラスにも貼りたいのだが、ガラス1枚に貼るのにフィルムの大きさとして 200cm×250cmほどが必要なので、このフィルム(幅180cm)では足りない。
複数枚をつないで貼る事も出来るが、出来れば一枚で貼りたい所だ。
貼った部分と貼られていない部分の境目はさほど目立たない。
下の写真はフィルム面にピントを合わせて撮ったものだ。
フィルムの色も余り分からない。
無限遠にピントを合わせると下のようになる。
多少青っぽく見えると言えば見えるが、特に気になるような変化ではない。
アサヒペンUH-11の紫外線透過率
国内メーカ扱いで可視光透過率の高いものを探し、アサヒペンのUH-11も試してみた。
紫外線カット率は約99%が謳われている。
陽の当たる所での紫外線強度と可視光強度を測る。
この日の紫外線強度は2.63mW/cm2で明るさは97.3klxだ。
フィルムを通すと、紫外線量はゼロになった。
可視光透過率は86%程度となった。
紫外線カット率は99.96%以上になるので、紫外線は通さないと判断して良いだろう。
公称395nmのLEDを使って測った。
紫外線照度計では705μw/cm2が9μw/cm2になったので、遮断率は約99%になる。
比較的長波長に於いても遮断効果があることが分かる。
中華フィルムは計測値がゼロだったので、中華フィルムより紫外線カット率は悪い。
可視光透過率は9割程度だが、この位の透過率があるとほぼ透明に見える。
浴室に貼ったフィルムの余りを2Fの窓に貼ったのだが、実はサイズが足りていない。
サイズが足りないのでガラスの途中でフィルムが終わっている(端はカーテンがあるから良いかなと言うことで)が、その境目は目立たない。
フィルムは少し固め、ブルーの中華フィルムよりは明らかに固いが100μmのフィルムよりは柔らかい。
フニャフニャと言うよりはパリパリした感じとでも言えば良いだろうか。
表面は傷つきやすいので、固いへらで貼ると傷が付いてしまう。
フィルム面にピントを合わせるよりも外の木々にピントを合わせた方が(写真では)境目というか、背景の色の変化がわかりやすかった。
上の写真の木の枝(上の方)を見ていただくと分かるが、少し青っぽいと言うか色収差が出た写真的というか、そんな風に写っている。
この辺りがフィルムを貼った感が分かる部分だ。
メーカ品のガラス用フィルム
3Mなどは規格が公表されているので、安心して使う事が出来る。
ただし一般には小売りがされておらず、取扱店などに注文して(大きさを指定して)切ってもらう。
長尺で買う事は出来るが1.27m幅×30m巻で30万円~40万円の価格になる。
施工も請け負う業者であれば、貼り付けまで任せる事が出来る。
価格はそれぞれだろうが、公称1.8m×90cm×2枚の掃き出しのサッシで3万円~5万円だそうだ。
自動車ガラスの紫外線透過性
自動車用のガラスは紫外線や赤外線カットが普通だと思っていたが、コストの厳しい軽自動車ではそうも行かないようだ。
そこで自動車のフロントガラスとサイドウインドゥガラスの紫外線透過率を測ってみる。
まずは太陽光線の紫外線量を測る。
次にフロントガラス越しに紫外線量を測ると、ゼロを示した。
フロントガラスは合わせガラスなので、紫外線遮断性の樹脂が使われているのだろう。
サイドウインドゥは若干ブルーの強化ガラスで、紫外線透過率は約4.5%だった。
この程度の紫外線量では日焼けの心配は要らない。
ブルーのガラスは単純に不純物が多いだけかも知れないし、銅やコバルトなどの金属によって色づけされているのかも知れない。
軽自動車などコストの厳しい車両では、エアコンのパワーを上げるより安価な着色ガラスが使われていた。
東南アジアを走る車もフィルムが貼ってあり、ワンボックスカーなどはフロントガラス以外は全部真っ黒みたいな感じだ。
一時期日本でも着色ガラスが流行り、高価格車以外は着色ガラスが使われた。
そんなブームも去って今は着色ガラスが余り使われていないが、たまに見かける古そうな車はガラスが真っ黒で、当時の面影を残していたりする。
なおガラスの色の濃い薄は可視光透過率であり、紫外線や赤外線透過率はまた別の話だ。
確かに可視光透過率が低いと(一般的には)紫外線透過率も比例的に下がりはするが、極端に変わる訳ではない。
サイドウインドゥにフィルムを貼るには、透過率70%以上が必要だ。
しかし現実にはガラス自体の透過率が8割前後なので、さらにフィルムを貼ると数値的にはかなり厳しくなる。
網戸や障子紙はどうなのか?
網戸と障子紙の紫外線透過率も測ってみた。
まずは窓を開けた状態での光量を測る。
可視光が100.4klxで紫外線量が2.31mW/cm2だった。
次に窓を閉めて測定する。
可視光が66.2klx(可視光透過率66%)で紫外光が926μW/cm2(紫外線透過率40%)となった。
なお最初に計測をしたのとは違う窓(ガラス厚さが同じかどうかも不明)である。
窓を開け、網戸だけを閉めて測定してみる。
可視光は25.3klx(可視光透過率25%)で紫外光が325μW/cm2(紫外線透過率14%)だった。
同じく窓を開けた状態で障子のみを閉めてみる。
障子紙はアサヒペンのプラスチック製(猫による破壊対策)で、公称紫外線カット率は95%となっている。
可視光は4.1klx(可視光透過率4%)で紫外光は26μW/cm2(紫外線透過率1%)となった。
カーテン同様に直射日光を遮断し、光は拡散するので可視光透過率は低く計測される。
番外編 エアキャップとクリアファイルは?
へっぽこページには、エアキャップは断熱性と紫外線・赤外線遮断性能を備えた万能素材だみたいな事が書かれている。
エアキャップを窓サイズにカットして両面テープを付けたようなものも売られている。
なお通常のエアキャップではなく、紫外線透過防止効果のある素材が使われている商品があるかも知れない。
普通のエアキャップとクリアファイルの紫外線透過率を測ってみた。
明るさは95.2klxで紫外線量は1741μW/cm2だった。
話題の?エアキャップを通してみた。
ブルーのものは赤外線も遮断すると書かれている。
確かに波長透過特性から行けば、半透明なものよりもブルーのものの方が赤外線遮断性能は高そうだ。
可視光透過率は約78%、紫外線透過率は約67%であり、紫外線遮断能力は余りなかった。
クリアファイルはどうか。
使用したのは乳白色のもので可視光透過率は約85%、紫外線透過率は約66%だった。
日焼け止めスプレーの紫外線透過率
日焼け防止用の紫外線遮断スプレーも試してみた。
日焼け止めスプレーはKOSEのSUNCUT SPF50+と書かれているサンカット® プロテクトUV スプレーである。
まず最初に陽光を測る。
次にOPPフィルムをかぶせて測る。
OPPフィルムの可視光透過率は約84%で紫外線透過率は約77%だった。
OPPフィルムに日焼け止めスプレーをかける。
流れるほど塗布した訳では無く、ごく一般的に使う感じで軽く吹き付けた。
可視光透過率は80%に低下し、紫外線透過率は約0.09%となった。
日焼け止めスプレーは完全な透明ではなく、多少曇ったようになる。
スプレー塗料と同様の膜厚だとすると、15μm~30μmだと思われる。
SPFを測定の基準量は1cm2あたり2μlなので、均一な膜が出来れば20μm厚になる。
紫外線遮断ガラスなどの蒸着膜厚は1μm以下のものが多いそうなので、それに比較すると十分な厚みだと言える。
人間への紫外線の影響
横浜にいた頃は、夏場にスクータに乗る時だけ日焼け止めを使っていた。
グローブとシャツの間とか首のあたりだけ焼けるのが嫌で。
しかしここに引っ越してきてからは、外に出る時には日焼け止めスプレーを使う事にしている。
山の中で紫外線が強い事もあり、すぐに肌が赤くなってしまう。
私は元々余り日焼けしない方で、赤くなって黒くならずに元に戻る。
しかしムラに日焼けしてシミが出来るなど、なんとなく汚らしい感じになってきた。
これは日光性色素斑と言われるもので、肌の一部の色が濃くなるので余計に日焼けする。
それが残ったままになり、やがては老人性色素斑になるわけだ。
女性と違ってスキンケアなどした事がなかったが、さすがにシミが目立ってきたのでケアしたいと思った訳だ。
とは言っても一度出来たシミは日焼け止めを塗ってもどうにもならない。
そこでトレチノインとハイドロキノンを塗ってみた。
最初は半信半疑だったし、薄シミは消えても濃いシミやホクロ状のものの色は抜けないと言われているで、おまじない程度のものかなと思っていた。
だがこれらを使い始めて1ヶ月ほど経つと明確にシミが薄くなり、ホクロ状の濃いシミもかなり薄くなってきた。
使用しているのは以下のものだ。
国内でもハイドロキノンは売られているのだが、濃度表示がハッキリしない(添加物も含めての濃度だったりする)。
また濃度5%以上のものは白斑(色が抜けて白くなりすぎる)が起きると言われているのだが、高濃度競争的に?10%を超える濃度のものもある。
この手の化粧品?は能書きがどうにも怪しかったりするので、個人輸入で購入した。
トレチノインは国内では売られていない(非保険診療で医者で買う事は出来る)と思われる。
トレチノインは皮膚の新陳代謝を促すもので、色素が沈着した皮膚を新しい皮膚が押し上げ、そこにハイドロキノンを使う事で色素の沈着除去が促される。
また新陳代謝そのものを促進するので、薄シワも消えるらしい。
ようするにピーリングのようなものだ。
洗顔後にトレチノインを気になるシミの部分だけに塗り、2~3分したら同じくシミの部分だけにハイドロキノンを塗る。
このハイドロキノンであれば、ある程度広範囲に塗っても(私の場合は)問題はなかった。
医師が処方する場合は別として、ハイドロキノンは5%以下、トレチノインは0.03%以下が安全と言う事なので、写真のものを使ってみた。
トレチノインは0.025%でも多少刺激があったり、塗ったあと30分くらいは肌が赤くなったりする。
ハイドロキノンは刺激は感じないが、ハイドロキノンを塗ったあとで紫外線に当たるのは良くないそうなので、昼間に使う時には日焼け止めも併用した方が良い。
シミが消えても陽に当たると新たなシミが出来るので、洗顔に低濃度ハイドロキノン入りのものを使うことにした。
人間以外への紫外線の影響
紫外線によってフローリング材が色あせする。
横浜では住宅密集地で余り日当たりが良くなかった事もあり、日焼けを気にした事はなかった。
しかしここでは朝から夕方まで日が差している。
写真下側は敷物があったので床の色が濃いが、上の方は薄くなっている。
猫がいる所が境目で、これが紫外線による色あせだ。
ちなみに猫は紫外線を浴びると被毛にビタミンDが合成され、それを毛繕いで舐め取る事で(体内で合成出来ない)ビタミンDを吸収している説がある。
一方で紫外線による皮膚炎や皮膚ガンの影響が、最近は言われ始めた。
これは乳幼児の日光浴の是非と同様で、紫外線強度が高くなっている現状では余り陽に当てない方が良いらしい。
フローリングの色あせは、塗料を塗る方法や薄板(フローリングの上に貼る床板のようなもの)を貼る方法がある。
一枚板の場合は表面研磨とニス塗りなどで復活させる事が出来るが、合板の場合は難しい。
工数としては薄板を貼る方法が楽なのだが、必ずしもコストが安いとも言えない。
カラーワックスは失敗してもやがて剥がれてしまうので、手軽に試す事が出来る。
フローリング用のカラーニスは一度塗ると剥がす事が難しいので、目立たない場所で実験してみる必要がある。
各素材の紫外線カット率
可視光透過率 | 紫外線遮断率 | 備考 | 有用性 | |
窓ガラス | 82% | 52% | 材質や厚みで異なる | △ |
網戸 | 25%/60% | 86% | 通常のグレーのもの | ○ |
障子紙 | 4%/26% | 99% | アサヒペンUVカット | ◎ |
カーテン | 43%/76% | 85% | UVカットを謳うレース | ○ |
中華フィルム1 | 90% | 28% | 0.1mm・紫外線カット | × |
中華フィルム2 | 86% | 99.9% | 50μm・ブルーのもの | ◎ |
アサヒペンUH-11 | 86% | 99.9% | 透明・50μmUVカット | ◎ |
クリアファイル | 85% | 34% | 乳白色のもの | × |
エアキャップ | 78% | 33% | 薄いブルーのもの | × |
日焼け止め | 80% | 99.9% | 多少透明度が落ちる | ◎ |
可視光透過率で値を2つ書いているのは以下の理由による。
網戸や障子紙、カーテンの透過率は直射日光遮断率として測るか否かで変わってくる。
直射日光はこれらで遮断されるため見かけの透過率が低くなる。
しかし元々散乱光の曇天時などは、単に網戸の開口率が支配的になる。
可視光透過率で左の数字が直射日光遮断率で、右の数字が曇天時の透過率だ。
散乱や反射を伴うものに関しては光束(ルーメン)として測れば透過率は一定だが、そのポイントでの明るさ(ルクス)で計測すると違ってくる。
では計測されない光はどこに行ってしまうのかだが、例えば散乱光や反射光が天井を照らすなど、入射光の向きなどによっても変化する。
ブラインドで直射日光を遮ると、直射日光透過率は理屈の上ではゼロになる。
しかし散乱光や反射光は入ってくるので部屋は真っ暗にはならない。
こうした傾向があるので、実際の使用状況に近づけるため直射日光での測定時には被測定物と照度計の距離を少し離している。
散乱光で距離を離せば照度が下がるので、可視光透過率は低く計測される。
いずにしても評価の仕方が難しい部分であり、参考程度にお考えいただきたい。
フィルムを貼るための道具
ガラスにフィルムを貼る手法自体は他のページを参考にされた方が良い。
道具に関してはヘラがあれば良いのだが、その硬さなどは重要だ。
ガラス掃除用のヘラはガラス掃除に使ったもので、フィルムを貼るには適さない。
青いもの、赤いものはセットで売られていたもので、これは役に立った。
主に使ったのは青い長方形のもので、青い側はプラスチックのエッジがあり黒い部分は布が貼られている。
ガラスに洗剤と水を吹きかけてフィルムを乗せて位置を決め、ヘラの青い側で空気を追い出していく。
残った気泡はヘラの黒い側で力を入れて追い出す。
布が貼られているので力を入れてもフィルムに傷が付かない。
エッジの精度の悪いヘラを使うと、フィルムには簡単に傷が付いてしまう。
赤いゴムヘラは柔らかいので、大きな気泡を追い出す時に使える。
ただ水色のものや赤いものでも代用出来るので、絶対必要という訳ではない。
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