TESLA semi

semiがやっと正式販売される。
9年前にマスク氏はsemiを18万ドルで売ると約束したのだが、実際には約30万ドルになった。

37tを引っ張れるTESLA semi自体の重さは約10tある。
ディーゼルエンジンのトレーラヘッドの1.5倍の重さだとか。
バッテリーはセルだけで4t分くらいは積んでいるはずだ。
この重量によって道路や橋の耐荷重が不足するなんて問題もあった。

モータ出力は約1.1k馬力で、カタログ電費は1km/kWhとなっている。
市街地燃費で比較するとディーゼルエンジンのトレーラヘッドより低コストになるが、高速道路燃費だと軽油代と余り変わらない。
急速充電を行おうとすれば充電コストは軽油代より高くなってしまうが、6kWで充電したら満充電までに1週間かかる。
バッテリー容量は548kWh(LR:820kWh)と大きい。

価格は5千万円前後と見られているので、既存のトレーラヘッドの2倍の価格だ。
イーロンマスク氏はランニングコストで投資が回収出来るとしているが、それは米国の電気代が安かった時代の発言だからだ。
現在は当時の電力価格の4倍前後になっており、EVにとって厳しい状況である。
バッテリー寿命が有限なので、長距離移動が主となる大型トラックとして輸送コストの低減になるとは考えにくい。

カタログ上の航続距離がロングレンジバージョンで約800km、積載重量にもよるが実質的には500km位は走れそうだ。
2022年頃には国内のトラックメーカも電動化に向けた研究をしていたようで、燃料電池も検討されていたとか。
その理由としてMNC系のバッテリーでは実質寿命が30万km程度であり、バッテリーの交換コストが許容出来ないとされたからだ。
ただし乗用車の10倍くらいの容量のバッテリーを積むので、相対的に負荷が軽くなりバッテリー寿命は延びる方向だ。
これもありsemiでは8年又は160万kmの早い方までの保証が付での、8年後の容量低下が3割以下になると見積もっているのだろう。

航続距離に余裕を持たせると重く高額になる。
新品時のバッテリーで航続距離を想定した場合、走行距離と共にバッテリーの劣化で航続距離が短くなり、ユーザの使用条件を満たさなくなってしまう。
日野によれば”30万kmごとにバッテリーを交換するのはコスト負担が大きい”となる。
しかし燃料電池では高圧タンクの寿命があり、更には水素単価が高くて現実的には採用出来なかった。
各社は大型トラックのEV化にメリットはないと考え、近距離用小型トラックのEV化に舵を切る事になった。

日野はノルウェーのヘキサゴンプルス社との協同で、PanasonicのLi-ionバッテリーを搭載したRC8を北米で発表している。
予定では昨年末には発売されている筈なのだが、どうなったのだろうか?

日野は国内市場向けには、三菱ふそうから供給を受けてEV小型トラックを販売している。

semiは2019年に発売が開始される予定だったが、遅れに遅れたあげくつい先日量産が開始された。
予定通りに事が運ばないのはテスラやスペースXにとって珍しい事ではない。
なお予約してしまった顧客にはプロトタイプを納入したのだとか。
未だ形にもなっていないものを売る(売った)のがテスラらしいところである。

日本には導入されないと思う(車重などの制約により)し、何より信頼性の問題があるので商用利用としては中々手を出しにくい。
semiの稼働率は(稼働台数が少ないので誤差は多いが)95%程度だそうで、24時間以内に修理の出来る可能性は7割となっている。
日本の大型トラックの場合の稼働率は97%程度で、タイヤのパンクやバーストなどを除く稼働率は99%台に入るという。

宅配便などの小型トラックではEVの可能性もあるが、ICEとEVではトルクの発生特性が違うので運転しづらいという意見が多かったとか。
そこでICEに近い加速特性を得るような設計をするそうだ。
モデル3でもいわゆるワンペダルなので、慣れるまではギクシャクした運転になってしまいがちである。

EV Smartblogではテスラの高度なトラクション制御は、トレーラ構成車のジャックナイフ現象を完全に防げると書いている。
例のミリ秒単位の制御があれば雪道でも滑らない論と同じで、物理法則すら超越する。
充電は専用の施設が必要だが750kWでの充電が可能、30分間の充電で548kWhのバッテリーに6割ほどの電力を補充する事が出来る。
ロングレンジ版では同4割のチャージが可能だ。
750kWの充電器で30分間充電すると、200km以上の航続距離が得られる。
乗用車EVでは30分充電して1~2時間走り、又30分充電してを繰り返すわけだが、semiにおいてもそれと大きくは変わらない。

トラックの場合は430規制があるので、最低でも4時間走れることと30分間で4時間走行分の充電が出来なければいけない。
これであればロスタイムが発生しないので、少なくとも充電に於いてはディーゼルトラックと変わらなくなる。
ただし大阪を出発したトラックは浜松から静岡辺りで4時間目の休憩になるので、充電設備が沢山必要だ。
トラックの収容台数が200台前後なので、合計150MWの電力をどうにかしないと。

エンジンをかけっぱなしで休憩するトラックの騒音はかなりのものだ。
トラックドライバーはエンジン音があった方が眠れると言うのだが、端から見れば迷惑な話である。
EVトラックなら騒音はゼロ、いやエアコンのコンデンサを冷やさなければいけないのでファンの音がうるさそうではあるが、ディーゼルエンジンよりマシか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました