使いにくい理由はどこにあるのか(2)

マクドナルド注文機が使いにくい件に関しては先日も書いた。
同様に評判が余り良くないものに、BENZのシフトレバーがある。
これはコラムシフトなので昭和の時代に回帰したと言えばそうなのだが、日本においては少し事情が異なる。

コラムシフトとはステアリングコラムから生えたタイプのシフトレバーだ。
手前に引きながら下に引っ張って1速、前方に押しながら上に押し上げて2速、そのまま下げて3速みたいな感じでシフト操作をする。

これに対して現在では一般的なシフトレバーの位置にあるのがフロアシフトと呼ばれるものだ。
昔の車は”4速フロアシフト”みたいな宣伝文句がカタログを飾った。
コラムシフトへの回帰はワンボックスカーで行われ、それはセンターコンソールレスなのでシフトレバーの取り付け場所がなくなったからだ。

コラムシフトはBENZでも採用されているのだが、日本人にとっては使いにくい。
日本車の場合はグローバル規格に反してウインカレバーがステアリングコラムの右にある。
規格ではステアリングの位置にかかわらず、ウインカレバーは左に付けることになっている。
つまりごく一般的な世界では、右にシフトレバーがあっても何ら不思議はない。
でも日本人の場合は日本車に慣れているので、ウインカを出そうとしてシフトレバーに触ってしまう。

メカニカルコラムシフトレバーならある程度の重さがあるので誤操作にはならないが、シフトスイッチの場合は走行中でも簡単にいじれてしまう。
(走行中は反応しない)
ステアリングコラム左にウインカレバーのある車に慣れていたとしても、ステアリングコラム右は(普通は)ワイパーコントロールレバーの筈だ。
でもここにシフトレバーがあるので誤操作が起きる。

テスラ製車両は当初はBENZ同様に、ステアリングコラム右側にシフトスイッチを設けていた。
しかしその後シフトレバーは撤廃され、タッチスクリーンで操作するようになった。
タッチスクリーン操作はやりにくい(特に右ハンドル車では)が、ステアリングコラムスイッチの誤操作防止のメリットは(これも右ハンドル車では)ある。
ステアリングコラムの右側にウインカレバーを移設するためのキットが売られている。
ただし改造は保証を切られる可能性があるので慎重に。

タッチスクリーンの使いにくさは誰もが認めるところで、最近では物理スイッチに戻る傾向がある。
全てを物理スイッチにするというのではなく、ワイパーやラジオ/オーディオの最低限のコントロールとか、空調スイッチの類いだけでも物理スイッチがあれば、操作性は改善される。

この流れに逆らったと話題になったのが新型CX5である。
ベストカーでは「新型CX-5物理ボタンほぼナシ!! 今まで頑なにボタンにこだわってたのになんで!?!?!?」と書いている。

物理スイッチの推奨は、安全性からだ。

Euro NCAPの新しいガイドラインは、走行中のドライバーが、スワイプやタップ、トグル操作を強いられるべきではないとしている。そして、ワイパーやウインカー、ハザードランプなど、基本的な操作は、デジタルではなくアナログ手段で行なえるべきだという。

WIRED

CX60は物理スイッチがあり、好ましいと評される。

現在でも「物理的なスイッチ類がないのは残念だ」という声が、『WIRED』を含む多くの自動車レビューに見られる。しかし、いくつかのメーカーは、程度の差こそあれ、デジタル中心の設計を見直し始めている。例えばマツダの最新モデル「MAZDA CX-60」クロスオーバーSUVには、12.3インチのインフォテインメントスクリーンが搭載されているが、空調やシートヒーター・クーラーの操作には物理的なスイッチが残されている。タッチ操作には対応しているが、走行中や、アプリの種類によっては操作範囲が制限される。また、クリック感のあるダイヤルも備えられている。

テスラ製車両はグラブボックスの開閉一つでも、手間がかかる。

テスラのグローブボックスを開ける方法を解説したYouTubeチュートリアルもいくつか存在する。「まず最初にするのは、クルマのアイコンをタップしてメニュー設定にアクセスすることです。そこから『コントロール』へ進み、グローブボックスを開けるオプションを選びます」といった具合だ

タッチパネル以外でも電動化による弊害はある。
故障や電源喪失時に殆どの機能が使えなくなる。
突然ディスプレイが消えてハザードランプすら点滅させることが出来なかったというレポートもある。

ポルシェ911の一部車種はフロント部トランクリッドが電磁式のロックになっている。
これも電源喪失(バッテリー上がり)で開けられなくなるが、フロントフードを開けないとバッテリーにアクセス出来ない。
そこでメカニカルキーでドアを開け、車室内から補助電源を接続してフロントフードを開けることになる。
メカニカルロックではないのは、走行時に(誤って)開けてしまうと前方視界がなくなり危険だからだ。
中華EVやテスラでは走行中にフロント部トランクリッドが開いてしまった例が報告されている。

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