Model Sを300万km走らせた

これは実用的に走行したというわけではなく、耐久テスト的に走らせたもののようだ。
短時間に多くの距離を走ったので、経年劣化的な部分は少ない。
300万km走行で13回のモータ交換を行ったとの事で、現在は14個目のモータが載っている。
ICEで言うと20万km強ごとにエンジンを載せ替えたみたいなことだ。

修理ではなく交換なので、軸受けが傷んだ的なものではない気がする。
永久磁石モータだとすると磁力の低下は確かに起きるのだが、21万kmで交換するような事になるのかなぁ。
冷却系統が壊れたのは冷却系統のシールが原因らしいのだが、冷却系統が壊れたのなら冷却系統を直せば良い。
それとも非分解構造でモータアセンブリ交換を要する冷却部分が壊れたのだろうか。

例えばモータを分解してシールを交換したというのであれば、サーモスタットハウジングから冷却水が漏れた程度の感じになる。
しかしモータを交換したとなると、エンジンのウォータジャケットにクラックが入ったからエンジンごと交換した、みたいに聞こえる。

バッテリーは4回交換している。
どのくらいまで容量が減って交換しているのかは不明だが、現在のバッテリーは85%まで容量が減っているとなっているので、少なくともそれ以下まで容量が減ってから交換しているのだろう。
4回の交換だと平均75万kmになるが、保証の範囲?での交換は約40万km毎に行われているようだ。
40万kmだと平均充電回数が千回ちょっとだと思われるので、サイクル寿命的にもそんなものかな。
60万kmの走行で残容量が65%という情報もあったので、定速走行の多い使い方であればその程度だと考えられる。
一方で日産リーフなどを見るとかなりバッテリーは劣化しているし、モデル3の6万km走行で1割ほど残容量が減少した例もあるので、シビアコンディションではそれなりに厳しい。

LFPは容量減少は少ないが、内部抵抗が増大する。
日本の道路での10万km/10年で実容量が1割減少くらいになれば、バッテリー不安も少なくなるはずだ。

モータは工賃を含んで交換に約100万円が必要だそうだ。
海外では中古品があるようなのだが、リビルドに関しては不明。
バッテリーが300万円だとすれば、300万km走行するのにかかった修理代は2.6千万円程度になる。
これは1kmあたり約8.7円のコストなのだから、壊れる前に車を乗り換えた方がお得だ。
勿論これ以外にタイヤだとかサスペンション、ブレーキなど通常のメンテナンスコストがかかっている。
他にもボディパネルが外れるとか、ガラスが割れるとか、ディスプレイモニタが映らなくなるとか、サスペンションアームが割れるとか、色々な事が起きているはずだ。

タクシーの生涯走行距離が50万km、トラックが100万km以上だと言われる。
勿論これを超えても走る事は出来るが、整備費用を考えるとお得ではなくなる。
ジャパンタクシーのエンジンをリビルド品に積み替えると50万円くらいかかる。
50万kmごとにエンジンとトランスミッションを積み替えると、80万円くらいかかるかな。
積み替えるより不具合部分を直した方が安価だが、積み替えたとすると300万km走るのに480万円かかる。

部品点数の違いだとかエンジンオイルの費用など、EVとICEを比較するのは大変だ。
そもそも輸入車とトヨタ車では信頼性が異なるわけで、故障率も全く違う。
個人的にこのあたりはどうでも良いというか、現実問題として比較のしようが無い。
単純に比較が出来るのは主要コンポーネントの載せ替え費用くらいなものである。

特別な思い入れのある車は別として、通常は車両の残存価値と修理費用のバランスを考える。
EVの場合は残価率が低いので、修理費用がかさむ場合は手放す事になる。
ICEの場合でも年々価格の上がる補修部品を考えると、古い車を維持するのは難しい。

BCNR33 (スカイラインGT-R)のトランスミッション価格が、約18万円→約100万円に値上げされる。

信頼性という点では未だ日本車が一番だろう。
それは考え方の違いもあって、日本では手間をかけず、ある程度の距離まで乗り続けられるのが良い車とされるからだ。
その距離が過去には10年/10万kmとされ、タイミングベルトにしてもウォータポンプにしても、10万kmまでは壊れないようにと設計された。

欧州車の場合は少し違っていて、壊れたら直して乗る文化であったと言える。
それは合理的と言う事よりも、むしろ信頼性が足りなかったからではないのか。
消耗品類や交換の必要な部品価格が安く、滅多に壊れない場所の部品は割高なのもそんな事からかも知れない。
日本車からしてみれば結構下らない場所というか、なんでこんな所がそんなに壊れるんだみたいなレベルではあるが、そこを直せば又乗れる事が合理性であると(きっと今でも多くの欧州の人たちは)思っている。

アメ車の場合は多少壊れても走れるから良いんじゃないのみたいな、不具合はあってもエンジンは止まらない的な設計がされる。
壊れて走れなくなると襲撃から逃げられない可能性があるので、最低限の走行は出来るようになっている。
しかしそんなおおらかな(え?)設計は日本をはじめとしたアジア諸国でも欧州でも余り好まれず、日本に入ってくる車は少ない。

こうした事を考えると日本製のEVは燃えない(いや、燃えにくい)し壊れないかも知れない。
部品点数の圧倒的な少なさ、信頼性の高い電子部品(意外と今はそうでもないんだけど)、組み付け精度や整備性の向上で、10年後にはある程度のシェアを取っているかも知れない。
ゴーストップの多い日本の道路で使っても、10年経ってバッテリーの劣化が1割くらいであれば、それはそれで良いんじゃないかな。

ただLIBの限界みたいな話もあって、エネルギ密度より安全性が必要だというもの。
だったら水素で良いんじゃないかと、10年経って一周回った感もある。
水素を原発で安価に作るならともかく、現状では非効率すぎて自動車には使いにくい。
水素の価格が下がるのなら、水素を燃やさないで合成炭化水素燃料の方が使いやすい。

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