ダイソン掃除機のサイクロン抵抗を測ってみる

家電製品

サイクロン掃除機は、渦を作るためにかなりのパワーを使ってしまう。
その為に吸引力が低下する。
吸入口が塞がれると渦が発生しなくなり、その後吸入口が開放されると、内部に溜まったゴミが一気にモーターに吸われていく。
サイクロン式のゴミ分離装置は、特定の条件下で最大効率を発揮するものであり、時々刻々と吸引状態の変化する掃除機用としては扱いが難しい。

ダイソンの掃除機は渦を作るためのパワーを大きく取ることで、一定のゴミ分離能力を得ている。
ただしフィルタ式の掃除機に比較すると、ゴミ収集能力は低い。

ではサイクロンがどの位のパワーを食っているのか。
これをいかにして測るかは難しいところなのだが、排気の風量を測ってみることにした。
いわゆるエアフローメータ的なもので単位時間あたりの風量を測る。
ただこれが、毎分何リットルというように単位付けできないというか、メーターに単位が書かれていないので、あくまでも相対値である。

掃除機の後方の排気口にレジ袋をテープで付け、その先に風量計を付けた。

風量計はプロペラとメータが付いているもので、製品としては風速計と書かれている。
風量を風速に変換して使うものだと思う。
メーターはプロペラの回転数に比例して指針が動くだけで、指示値が風速や風量を直接を示しているわけではない。
例えば1分間にどれだけ指針が動いたから風量がどの位だとか、風速がどの位だとかを計算で導くものだと思う。

測ってみたのだが、何だかよく分からない測定結果になった。
モーター出力と風量は比例していない。
これは10秒間に風速計の針がどれだけ進んだかを見たものだ。
風量だけではなく静圧も見なければいけないのか。

通常モード(21W)MAXモード(100W)
サイクロンなし5782
サイクロンあり4049
サイクロン+ポストフィルタあり3945

サイクロン部分を付けると風量が落ちることは分かったが、データとしてはその程度の意味しか無かった。
掃除機の吸入口の負圧を測って凄いだろ!という画像はダイソンも使っている。
しかしこれはサイクロンがあろうがなかろうが負圧は一定になる。
負圧測定時は流量がゼロなので、サイクロンの抵抗もゼロになるからだ。
上の表でもパワーを大きくするとサイクロンの損失が増えているのが分かる。

少風量の時でも渦を作らなければいけないので、最低風量時のノズル径などが決まる。
その状態でモータパワーを上げると、ノズル径による抵抗が大きくなる。
風量に合わせた可変ノズルにでもすれば良いのだろうが、実際にはノズル径は固定だ。

次期モデルでは是非、吸い込み空気量によってサイクロンユニットのノズル径を可変し、常に最高の渦を最高の効率で作りますみたいなものにしてほしい。
一時期のターボチャージャーだって可変A/R(ノズル径やスクロール半径を化変する仕組み)が流行ったわけで、確かにマルチサイクロンユニットのノズルを全部可変するのは大変だとは思うが、リンクさえ作ればサーボモータは1つで出来る。

この写真のテスト時は、テスト用の制御プログラムを入れているものと推測できる。
通常のダイソン掃除機は、入り口を塞ぐと(渦が出来なくなるので)やがてモーターが停止する。
水を吸い上げる実験では、吸入口を塞いでいるのと同じなのでモーターは停止するはずだ。
掃除機が停止してしまったのでは宣伝にならないので、停止しないようなテスト用のプログラムで稼働させているのだろう。
もしかしたら負圧測定用に(風量よりも到達負圧優先で)モーター回転数の最適制御をしているかも。

負圧のすごさを見せつけるのなら、真空ポンプが良い。
吸入空気量は少なくても、負圧は十分に出るからだ。
日本の掃除機でも雑誌を吸い上げたりして負圧のすごさを示したものがあったが、吸い込む力としては風量も必要になる。

ダイソンの掃除機では10円玉も吸い込めない。
ウチでは猫トイレにセラミックボールを使っているのだが、その軽いセラミックボールがやっと吸い込めるくらいである。
普通のフィルタパック式掃除機ならば、セラミックボールにノズルを近づけるとセラミックボールが転がってきて吸い込まれる。

MAXモードにすれば吸引力は増えるのだが、動作電流を見てしまうと使う気になれない。
バッテリーにとって余りに過酷だからだ。

V10以降は写真のようにクリアビンが水平になった。
この写真のように吸込み口を上に向けて使うと、クリアビンに溜まった埃がモータに吸い込まれてしまう。
回転ブラシなどを使う場合は吸込み口が下を向くから良いのだが、隙間ブラシを使う時などはどうしても掃除機全体を上に向ける事が増える。
そして掃除機を上に向ければ、内部の埃は重力にしたがってモータの方に移動する。

ダイソン掃除機はDC35当時のものが最もフィルタが詰まりにくく、世代を経るごとにゴミ分離能力が低下している。
DC35はフィルタ面積も大きく通気抵抗が少ない。
次の世代ではプリフィルタが円筒形となり詰まりやすくなった。
フィルタ能力も低下したのか、ポストフィルタを使うようになる。
そこにフィルタを付けると言う事は、そこにゴミが来るわけで、フィルタが詰まる。

V10ではポストフィルタとプリフィルタを同軸上にして、交換(清掃)を一度に出来るようにしたのかも知れないが、通気経路の複雑さと上に書いたようにゴミ分離能力の減少で、より使いにくくなった。
V8以前とV10以降では、V8以前のものの方がフィルタが汚れにくい。

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