さび止め塗料を比較する・第二弾

さび止め塗料の比較の最初はこれだった。
今回はPOR-15とノックスドールを加えて比較する事にした。

テスト開始は2023年10月19日で天候は曇りだった。
結果だけ見たい方は、目次を開いて最後の経年劣化の様子をご覧頂きたい。

テストの概要と各さび止め剤に関して

POR-15はスカイウエイブの整備の時に使ったのが最初で、その時から10年以上を経過した現在でも効力が続いている。
錆の上に塗った部分は強固に着いていて錆が広がる気配はなく、当時錆が無かった部分に塗った所は、POR-15がペリッと剥がれて新たな錆が発生している。
本来錆の無い部分に塗るには、サーフェサで下塗りをしなければいけない。

ノックスドールは自動車用の下部の錆防止などで使われるものだ。
歴史はよく分からないが、POR-15よりも最近のものかも知れない。
ノックスドールにはいくつか種類があるのだが、その違いがよく分からない。

例えば溶剤ありとなしのもので、溶剤だけの違いなのか?それとも浸透性など他に違いはあるのか?違いが無いのであればなぜ一本化されていないのかなど、メーカのサイトに説明を見つけられなかった。

確かにシャーシ用の高粘度タイプとか、閉空間用の非硬化タイプ、産業用の輸送時の錆防止剤など、用途が明確に異なるものはある。
700/750は浸透性アンダーコートとなっていて、最初にこれを塗布するのかな。
300/900/1100/1600は、これらの上塗り用?みたいな感じがする。
今回使用したのは900で300よりも厚塗りが可能、錆の上にも塗装可能となっている。

工具などのさび止めにAZの216hが良いのだが、手持ちのものを使い切ってしまったためテストに加える事が出来なかった。
基本的にはオイルなのだが、金属に対する付着力が強いのか?防錆効果がかなり長持ちする。
CRC556などは早々に蒸発してしまって効果がなくなるが、これは556とは全く異なる。

錆のサンプルは前回通り、ディスクロータを使う。
2年以上も放置していたのですっかり錆びている。

錆の上からそのまま塗る実験と、錆を落としてから塗る実験を行う為に、錆をハンドグラインダーで削り取る。

錆そのままでは浮いた錆ごと塗料が取れてしまいそうなので、スクレーパで取れる錆はそぎ落とす事にした。

取れた錆を落とすとこんな感じ。
表面に錆が付いたままなので、パーツクリーナで錆を落とす。

その後更にアルコールで脱脂した。
前回は何も考えずに塗料を塗ったのだが、今回は油分を排除しておく。

ノックスドール

ノックスドールはスプレーなので、こうした実験にはちょっと塗りにくい。
隣にかからないように、シュッと塗る。
粘度はそう高くはなく塗りにくくはないが、乾くまでにはかなり時間がかかる。

錆の上に塗る事を考えると、少し厚塗りしないと錆に浸透しない。
錆を落とした部分であればもっと薄く塗る事も可能だ。
今回は塗布厚は変えず、厚めに塗る事にした。

POR-15

POR-15は透明のものを使った。
透明以外で黒色や銀色のものがある。
透明と言っても完全な透明ではなく、薄褐色みたいな感じだ。
粘度はノックスドールよりは低い感じだが、さらさらの液体ではない。
錆の上から塗ると、錆の間に浸透するような感じだ。

POR-15はジムニーの後部ドア下部にも塗った。
POR-15は錆が広がる前に塗るのに適している。
錆に食いついて錆の広がりを防いでくれる。

アサヒペンの油性サビ鉄用

定番のさび止め塗料である。
錆の上からも塗れるよと書かれている。
前回の実験で2年経過後も錆が浮いてくる事はなかった。
しかし海水水槽用品を入れておくスチールラックや、狸が小便を掛けていくと思われる後部箱の下部は、繰り返しそれらがかかる事によって塗装が浮いてきてしまっている。

三彩化工のレノバスプレー

三彩化工のレノバスプレーは前回もテストしている。
透明なスプレーで、実使用感からするとさび止め効果はあまり高くない感じがしている。
前回は錆の上からの塗布だったので少し効果がわかりにくく、今回再び実験台に上がってもらう。

錆を取った部分にスプレーすると、錆転換によって黒っぽく変色する。

NAB-ZIのサビキラー

NAB-ZIのサビキラーも錆転換剤で、銀色のものである。
実験開始1年後には少し錆が浮いてきたような感じだったが、単に金属が上に乗っていただけなのか?2年後には綺麗な状態が観測された。
なので、今回もこれを再テストする事にした。

全て塗り終わり30分ほど乾燥させた状態が以下である。
ノックスドールは未だ乾いていない。
1カ所何も塗っていない部分(赤さび色防さび剤の対角あたり)があるが、これは未処理状態での比較用である。
ノバスプレーを塗った部分は、錆転換が起きて黒くなっている。
POR-15はほぼ透明なので錆をサンダーで削った面が綺麗に輝いている。

工具箱に塗った錆止め剤の経過

工具箱下部はこんな感じだ。

赤さび色・銀色の防さび塗料を塗ったが、ボコボコと塗面が浮いてきている。
ここにはノックスドールを塗る事にした。
出来るだけ錆を削り、残ったさび止めや塗料も削った。
スプレーなので塗るのは簡単、ただ乾きが遅く一部ビニールのカバーが張り付いて塗面が荒れてしまった。

これで大丈夫だと思ったのだが、4ヶ月ほどするとノックスドールを押し上げて錆が出てきた。
残念ながらここの錆にはノックスドールは勝てなかったのである。

そこでPOR15を塗ってみる事にした。
POR15は錆の無い部分は剥がれやすいので、あまり錆を取らずに上から塗った。
ノックスドールは錆のない場所には強固に付着していて、スクレーパでは剥がせなかった。
下から錆が浮いてくるような状況でなければ、ノックスドールも効果的と言う事だろうか。

スチール物置に塗った錆止め剤の経過

もう一つはスチールラックである。
ここは海水水槽用品を入れていて、塩水がかかるので腐食してしまう。
赤さび色のさび止め塗料も歯が立たずと言った感じだ。

少し削って金属面を出し、POR-15を塗った。

さび止め塗料は綺麗に剥がさず、写真の状態にした。
サンダーで削ってしまえば綺麗になるが、それだとPOR-15が定着しない感じがする。
実際にはもう少し綺麗に塗装を剥がしてからPOR-15を塗った方が気分が良いが、とりあえずささっと補修する、みたいな感じで上塗りする場合を想定してみた。

赤さび色のさび止め塗料が効かず、その下で錆が生長し、赤さび色のさび止め塗料もろともPOR-15を押し上げるのか?

1年が経過した。
POR-15は強固に付着している。

別の場所に塗ったPOR-15も錆に負けていないのはさすがだ。

POR-15は錆部分に塗ると強固に付着するのだが、錆びていない面や塗面に塗ると剥がれる。
これは塗布後約1年を経過したもので、足付けをしないとこのようにペリッと剥がれてしまう。

スチールラックの下の部分、ここも塩水が多少かかるので錆が出る。
上の段より錆は少ないが、ここはノックスドールを広範囲にスプレーしてみた。

これも塗装を完全に剥がしたわけではなく、錆を完全に除去したわけでもない。
面倒だからそのままスプレーしちゃったよ、的な感じにしてみた。

ノックスドールをスプレーして約半年、錆が浮いてきた。
赤さび色のさび止め塗料の上に塗った部分は無事だが、さび止め塗料を剥がして金属面に塗ったノックスドールは、錆に押し上げられてボコボコになった。
スクレーパで擦ると、ノックスドールはサビごと剥がれ落ちた。

物置上面も植木鉢を置いていた所が錆びている。

ここも完全に塗装を除去して塗り直すのではなく、サビを削り取るだけにした。
ただサビが完全に取れたわけではなく、多少残っているところもある。
その後ノックスドールを塗布した。

約1年が経過すると、錆が浮いてきてノックスドールを押し上げ始めた。

ここは再度サビを削り取って、KUREのスーパーラストガードを塗ることにした。

ノックスドール施工店の説明を見ると、毎年塗り直しましょうとか2年ごとに塗りましょうと書かれている。
安価で手軽ではあるのだが、耐久性的には余り褒められたものではない。

ノックスドールをジムニーに塗る

実験に使用するだけではもったいないので、ジムニーにも塗った。
ただこれは経年による錆の具合を定量的には観測しにくい。
あくまでも余ったから塗ったという感じで見て頂きたい。

ジムニーはもう20年も前に製造された車である。
中古購入時に錆はあまりなく、むしろ私が使い始めてから錆が増えたかも知れない。
一時期は下田に海水を取りに行っていて、海水の波しぶきを浴びることも多かった。
このあたりは冬になると凍結予防のために塩化カルシウムが散布されるので、それによる影響も無視出来ない。

大きな錆は見つからなかったのだが、錆びている箇所はあった。
溶接部などが錆びやすい。

ネジの所も錆びている。
こうした多少錆が出て状態の部分には、POR-15が有効だ。
錆にがっちり食いついて錆の増殖を防いでくれる。
POR-15はスカイウエイブに塗り、10年経過後のチェックで効果は明らかだった。

フレームの溶接部もちょっと錆っぽい。

それより錆びているのが室内の、シートのヒンジである。

ノックスドールを塗っていく。
こうした錆が浮いた部分はPOR-15の方が良いと思う。

ノックスドールはスプレーなので、下回りに塗るのに時間はかからない。
錆と周辺の部分は水で泥汚れを落とし、パーツクリーナで油分を落としてから塗った。

ここは錆びていなかったけれど、塗った。

フレームとボディの隙間とか、ここも錆びていなかったが塗った。

フロント部分の溶接やネジ止め部分は錆びていた。

リア周りに比較するとフロント付近の方が錆っぽいかも。

スプレー式で塗るのは簡単だが、スプレー缶を逆さまにするとノックスドールは出てこなくなる。
高さのあるウマやリフトが使えれば良いが、そうでない場合はちょっと苦労する。
なおノックスドールにはストロー的延長パイプが付属してくるので、それを曲げながら塗っていくことは出来る。

海水をかけてみる

屋外に放置しただけではさび止め塗料の差が出にくいと思うので、月に1回の水槽水換水時に塩水をかける事にした。
食塩水ではなく、本物の海水なのでカルシウムやマグネシウムなども含まれている。
海水がすぐに蒸発しないように、ペーパウエスをかぶせておいた。
雨が降れば塩分は流れると思うが、1ヶ月後には又海水をかける。

これは約1ヶ月後の様子だが、ノバスプレーの部分に錆が見られる。
またNAB-ZIのサビキラーも多少さび色が見える。
未処理の部分で錆を削り取って所は、すっかり錆びてしまっている。

経年劣化の様子

テスト開始8ヶ月後の2024年6月の様子である。
2024年3月からKUREのスーパーラストガードも加えた。
レノバスプレーは既に防錆効果を失っている。
サビキラーも錆が浮いているのだが、前回の実験からするとこの状態で留まる可能性が高い。

【8ヶ月後 2024年6月】

【12ヶ月後 2024年10月】

【14ヶ月後 2024年12月】

【18ヶ月後 2025年4月】

【25ヶ月後 2025年11月】

にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ
にほんブログ村

コメント

タイトルとURLをコピーしました