ジムニーJB23Wのプロペラシャフトを交換する

自動車&バイク

車検はコバックに頼んでいるのだが、事前に点検して貰うことが出来る。
出かけたついでに点検して貰うと、プロペラシャフトのゴムブーツが破れているから交換が必要(破れていると車検は通らない)と言われた。

前回の車検の時に「そろそろ寿命かも知れないと」言われていたので、交換することにする。
品番は27103-81A10で、新品部品価格は69,900円との事だ。
ゴムブーツのみの交換は不可能で、プロペラシャフトアセンブリでの交換となる。

ジムニーには3本のプロペラシャフトがあり、ダメなものはリア側だ。
他にフロントデフに接続されているものと、トランスミッションとトランスファを接続しているものがある。

中古のパーツを買う

新品のプロペラシャフトは(この)車より高い、とは言わないが、なかなかのお値段である。
非分解構造のプロペラシャフトを分解し、ドライブシャフト用のゴムブーツに交換する方法もあるのだが、今回は中古パーツに交換することにした。

中古パーツも色々なのだが、オークションなどに出されている多くはショップ扱いのものだ。
状態が不明確だったり価格が高かったりで、今ひとつな感じ。
そんな中で個人出品と思われるものがあったので落札した。
プロペラシャフト1台分(3本)セットなのだが、ショップで出されているものよりも安かった。
同年式の車両からの取り外し品であること、シャーシ番号も近かったので品番は同一ではないかと思った。

ドライブシャフト用ゴムブーツの流用

ドライブシャフト用のゴムブーツを流用して修理する強者もいる。
ただし流用ブーツを通すためには、非分解構造のノーマルのブーツを外す必要がある。
流用ブーツはスズキラパンHE21S用が合致するそうだ。

HE21S用は分割式のゴムブーツも売られている。
これをかぶせるだけで車検は通る。
かぶせるだけならプロペラシャフトを外さなくても作業は出来る。
分割式ゴムブーツの場合は非分解構造の部分を解体する必要は無く、非常に簡単だ。
勿論純正ゴムブーツが破れてグリスがはみ出ている場合は、更にグリスを充填しておく必要がある。
ノーマルブーツ部分を分解するのではなく、ゴム部分をカッターなどで切ってしまってグリスを補充し、この分割式ゴムブーツをかぶせる方法もある。

ただ今回はブーツが破れていると言われたので、グリスが出てしまい等速ジョイントが傷んでいる可能性も考え、そっくり交換することにした。
分割式ゴムブーツはそこそこの価格であり、安価な中古のプロペラシャフトを買うのと余り変わらない。
(ショップ出品のものは高い)

ゴムブーツは蛇腹状になっているものではなく、亀裂が発見しにくい。
車の下に潜って写真を撮ってみたりするのだが、今ひとつよく分からない。

前回の車検の時にも指摘はされたので、懐中電灯で照らしてみたりしたのだがよく分からなかった。
車検屋の整備士は、ここがダメですよと言うのだが(実際の所現場で見ても)どこがダメなんですか?みたいな感じだった。
周りにグリスが飛び散っている様子はなく、指を突っ込んでみても分からない。

ゴムブーツは上の写真の、細い方の棒の左側、太いパイプの内側にある。
この部分に等速ジョイントが入っていて、ゴムブーツはそれを覆っている。

等速ジョイントとユニバーサルジョイント

等速ジョイントは等速回転で力を伝達できるが、ユニバーサルジョイントはそうではない。
ジムニーはデフ側にはユニバーサルジョイントが付いているが、基本的にユニバーサルジョイント側では角度は変わらない。
とは言っても微妙に角度が変わるからユニバーサルジョイントを使っている訳で、ユニバーサルジョイントを使って角度を変えれば必ず不等速になる。
不等速になれば抵抗が増大するので燃費が悪くなり、音が出たりもする。

そこで最近の車(BENZはかなり以前から)ではユニバーサルジョイントを使わずに、ゴム製のプレート(ディスクジョイント)を使う車もある。
ゴムと言っても相当固いもので、かつ強度も十分に確保されている。

ユニバーサルジョイントは2つを対で使わないと、回転速度(位相)が変わってしまう。
これに関してはこちらの動画が分かりやすい。
なおユニバーサルジョイントは安価だが、等速ジョイントは高額である。
この為もあり、ジムニーで等速ジョイントを使うのはトランスファとプロペラシャフトの間だけだ。
トランスミッションとトランスファの間は位置の違いが殆ど無いので等速ジョイントは必要ないが、サスペンションの動きのある前輪デフとトランスファの間は等速ジョイントが望ましい。
しかしユニバーサルジョイントで接続されているのは、4WD走行時は高速走行はしない事、常時4WD走行するわけではないこと、そしてコストダウンが一番の理由だろう。

どこが壊れているのか

ゴムブーツの奥の方はハッキリ見ることが出来ないが、少なくとも漏れたグリスは見えない。
まさかグリスが抜けきったなんて事はないと思うけど。

写真を撮ってもよく分からないのだが、車検屋がダメだというのだからダメだ。

交換はリアを上げて行う。
リアを上げるとブレーキがかからなくなるので、フロントタイヤには輪留めが必要だ。
ちなみに4WDモードにしてもエンジン非稼働時はハブがロックされないので、車は動いてしまうと思う。

この駐車スペースはわずかに前方が低くなっているので片側にしかかけていないが、フラットな場所では前後両方に輪留めが必要だ。
向こう側のタイヤの輪留めは手抜きをして、木を切るときに使うクサビである。
クサビを蹴ってタイヤに挟むと、ギュッと固定される。

プロペラシャフトを外す

交換は簡単なもので、ネジを外して入れ替えるだけだ。
リアデフ側は対辺14mmのネジで締められていて、メガネレンチが使える。
(ピンボケご容赦)

トランスファ側はメガネレンチが入らないので、ソケットを使う。
こちらは12mmである。

ネジを緩めたら(落下防止のため完全には抜かない)、衝撃を与えて固着を取るのだが…
プラスチックハンマーで叩いても外れない。

プロペラシャフトはさほど重いものではないが、落ちると嫌なのでジャッキを軽く当てておいた。
抜けろコノヤロウとかけ声をかけても外れないので、金属製のスクレーパを隙間に入れ、ハンマーで軽く叩いたら外れた。
接合面は若干の錆は見られたが、固着しているわけではなかった。
外れても落ちてくるような構造ではない(少し引っかかりがある)のでジャッキは不要だった。

異常なし?

外したプロペラシャフトのブーツを見てみるが、異常はないように見える。

角度を変えて見ても異常は発見できない。

せっかく外したのだから元に戻すことはしないが、無駄な作業だったことになる。
当然コバックに文句を言う。
コバックは整備担当者の見誤りだと言うのだが、こんな所を見誤るのだろうか。
確かに汚れは付着していたし、砂埃が亀裂に見えないこともない。
しかし整備士なのだから、ウエスで拭ってみるとかエアで吹いてみるなどすれば容易に判断できるはずだ。

下の写真はピクセル等倍にしたものだが、矢印のあたりの部分を「即座に破損の可能性のある亀裂」と判断すれば、車検に通らないことになる。

中古で購入したものも状態は似たり寄ったりだ。
ヒビとは言えない程度、シワは目視できる。
汚れがあったのでウエス拭き取り、パーツクリーナでウエスを湿らせて更に拭き取った後の写真が下のものだ。

コバックに文句を言った

整備担当者の言うことを鵜呑みにした私も悪かったが、整備士を信頼せずに何を信じろというのか。
整備士の言葉を信じず、先ずブーツの具合を見てみれば良かったと言っても、もはや後の祭りである。

普通の客ならプロペラシャフトの交換をオーダすると思われるので、8万円近い売上になる。
そう言う商売をしようとしているのなら悪質だ。
コバックがそうだという話ではなく、車検時に交換が必要だと言われてそのまま交換してしまう人は多いという。

今は殿様商売は出来ないだろうが、ヤナセなど過去にはどうやって車検費用を上げるか、100万円台の整備費用に乗せるかをみんなで考える、みたいな話もあった。
輸入車の定期交換部品価格は国産車と変わらないが、通常交換しない部分が壊れると高く付く。
勿論そうした部分は容易には壊れないのだが、壊れたことにすれば多くの請求が上げられる。

ヤナセが車検費用を無駄に高く出来なくなったのは、3年間の無償保証整備が付くようになったからだ。
つまり定期点検を無料で受けている訳で、車検の時なって急に壊れましたは通用しない。
それでもバッテリー交換は迫られる。
じゃあ無料点検時にはバッテリーは交換しないのかというと、テスターで正常値だから交換しないという。
ならば車検の時だからと言ってバッテリーを交換する必要は無いでしょというと、この先バッテリーが弱る可能性がある、車検時に交換すれば工賃が無料になるからだと。
じゃあ延長保証に入りますねと言うと、バッテリーの話はしなくなる。

ディーラ系だと「車検のための最低限の整備です」とか、「路上で立ち往生などとなると困るでしょう」みたいな事を言う。

日産のディーラで軽自動車を新車で買って初めての車検を受ける人がいた。
車検整備と法定費用などを含めた金額は15万円を少し超えていた。
内容は、交換できるものは全部交換みたいな感じだった。
ワイパーブレードやファンベルト、イグニションプラグやエアクリーナ、ポーレンフィルタ、ブレーキパッド、バッテリーや各種油脂類を総交換しておけば安心は出来る。
しかし保証整備か何かで半年ほど前に見て貰っていて、交換の必要なものはないと言われたそうだ。
保証整備はカネが取れず、車検整備は取り放題という違いだ。

最初の車検で保証整備もしているのなら、ユーザ車検で良いんじゃないの?と言うことで、ユーザ車検に付き合ったことがあった。

この場合は詐欺っぽいが詐欺ではない。
それを交換しないと車検に通らないよとは言っておらず、安心のためのパッケージですみたいな言い方だからだ。
ユーザ車検を受けた後に、再びディーラから様子伺いの電話があり、パッケージを外すと7万円で出来ますみたいな案内だったとか。
これはディーラ価格としては普通で、車検屋で4万円くらいが相場だ。

今回のコバックではプロペラシャフトを交換しないと車検に通らないよと言っていたので、これは悪質である。
事前に、「前回車検の時にプロペラシャフトのゴムブーツがそろそろダメかもねと言われたんです」と言ったことで、一気にネギを背負った鴨に見えてしまったのか?
ま、悪質と言うことで国交省に報告ですねと言ったら、それだけは勘弁してくれと。

これは想像でしかないが、整備士にもノルマがあるのかも知れない。
整備費用や部品の発注額で成績が決まるみたいな。
病院の事務から医者に、薬を沢山出せ、手術をしろと暗黙の圧力がかかるみたいなものだ。

愛想の悪すぎる整備士への不満もあったし、この際だから十分に文句を言わせていただいた。
営業担当者も調子の良い言い訳を繰り返したが、訳の分からないことを言い続けるなら国交省に報告するよがマジックワードになった。

本来指定工場(車検整備に必要な技術を有する認証工場の中で、更にその工場内で車検を完了できる設備を持った工場)とは厳格であるべきだ。
違法改造車を車検に通すなどは論外だが、指定工場だから絶対だ的な立場に於ける嘘はいけない。
「これを交換しないと検査に通りません」と言われたら、それを整備するしかない。
今回は社内教育などを徹底すると約束してくれたので、今後は同様な事がないであろうと期待することにした。

なお同様なクレームはないのかと聞いたところ、把握しているだけで数件あったという。
コバックの整備士は交換が必要だと言ったが、客は行きつけのディーラや工場に持っていき点検を依頼、その結果異常なしと判断されたそうだ。

ひび割れ補修材は有効か?

外したプロペラシャフトは清掃し、この小さなヒビ?シワ?にシリコンをすり込んでみる。
シリコンを充填してしまっても良さそうだが、動きに(シリコンが)耐えられないかな。
ただ同様の処置を施した先人のレポートを見る限り、数年経過後にもコート効果は継続していたとのこと。

一般のシリコンが良いか専用?品が良いか分からないが、一つの実験としてゴムのひび割れを埋めると謳われたものを使ってみることにする。
普通のシリコンとどこが違うのかはよく分からず、臭いも粘度もシール用シリコンと差が無い。
しかし価格は10倍(同じ価格で容量が1/10以下)である。

ゴムブーツを脱脂してこれを塗ってみた。
奥まったところなので綺麗に塗るのが難しい。
出来るだけ薄く塗った。

拡大してみると、ヒビの中にシリコンが入りきっていないことが分かる。
もっとすり込むべきだった。

上からまた塗ってみたのだが、写真を撮るために(シリコンが乾く前に)シャフトを動かすことでシリコンがひび割れ的になる?
ゴム手袋をしてシリコンを塗るのと、隙間が狭いので難しい。

このシリコンを塗った効果があるのかどうかはよく分からないが、何も塗らないよりは良いと思っておこう。

中古で購入した方も、保護剤代わりと言うことでシリコンを薄く塗っておいた。
これがペロッと剥がれてしまうかどうか、今後点検してみたい。

ユニバーサルジョイントのベアリング

車に付いていたプロペラシャフトも、中古で買った方も、ユニバーサルジョイントを動かすと少しコロッとした感じを受ける。
中古で買った方は動き自体は軽いが、元々付いていた方は少し抵抗がある。
ユニバーサルジョイントのベアリングのアウタリースが摩耗しているのだろうし、元々付いていた方はグリスが固まっているとか抜けているとかかも知れない。

ガタがあるわけではないが、状態を知ってしまえば気になるというもの。
ただユニバーサルジョイントを抜く/嵌めるにはプレスが要るような…
万力でも抜けるかなぁ。
プロペラシャフトは2本になったので、気が向いたらユニバーサルジョイントが外せるかどうか、やってみようと思う。

ユニバーサルジョイントはリアプロペラシャフトは1個、トランスファとトランスミッション間は2個、フロントプロペラシャフトも2個付いている。
純正パーツは3千円くらいだが、全部交換すると1.5万円くらいになる。

今回は1台分のシャフト(計3本)を買ったので、不具合部分が出ればそっくり交換出来る。

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