欧州車のヘッドライトは、国産車と異なりブチルゴムでシールされている訳ではない。
最近の国産車の一部もシリコンで接着されているが、欧州車も同様だ。
果たしてシリコン接着の強度はどの程度なのか?むしりとれる程度なのか?
今回はヘッドライトカバー(レンズ)とヘッドライト本体の接着部を破壊してみる。
たまたまジャンクでヘッドライトが入手出来たので殻割り実験をしてみたが、それでも送料を含めて3千円ほどかかっている。
分解する為だけの支出と考えると高い気もするが、構造が知りたいのでやむを得ないか。
なお中身も入っているので、プロジェクタライトの構造だとかLEDユニットなども観察出来る。
ヘッドライトユニットの中身は入っているが、LEDドライバは付属していない。
またヘッドライトを車体に付ける為の部分は折れていた。
ヘッドライトを外すのは結構手間なので、無理矢理むしり取るとここが破損する。
破損するとヘッドライトの固定が出来なくなり、ヘッドライトとしての価値は大きく低下し、ジャンクとなる訳だ。
最初に行ったのはヘッドライトのカバーと本体の間にマイナスドライバーを突っ込んで、力を加えてみることだった。
しかしビクともしない、接着部が動くこともなかった。
次にヘッドライトカバーとライト本体の間にカッターナイフを入れ、シリコンを切ってみることにした。
これでシリコンを切ることは出来るのだが、だからといって外れる気配は見えてこない。
試しにヘッドライト本体側にヘッドライトカバーが差し込まれている、その一部を切断してみた。
この部分にシリコンが充填されていて、本体とカバーが接着されている。
接着後に規定の位置に納まるように、何カ所かにパチっと嵌まるような構造が作られている。
接着は3面、つまりヘッドライトカバーの裏と表と断面(厚さ)で着けられていて、中々強力だ。
次にこの接着されている部分を更に大きく破壊し、シリコンをかき出すことによって接着強度を下げようと思った。
こうして接着されている部分を切り取ると、カバーの表側と厚み方向を着けているシリコンはかき出すことが出来る。
しかしヘッドライトカバーの内側とヘッドライト本体を留めている部分のシリコンを取り除くことが出来ない。
細いワイヤーのようなものを通してシリコンを切っていくことが出来ないかと思ったが、ワイヤーソーを自在に通すことの出来る、何らかの方法を見つけなければ不可能だ。
接着を外せないかとかなり頑張ったが、外せなかった。
そこでヘッドライトカバーを切断してしまうことにした。
リュータにダイヤモンドカッタを付けて、温度が上がらないように注意しながら切っていく。
短冊状に切り、強度を下げておいて接着部をむしり取れないかと思ったがダメだった。
この状態で短冊状に切ったものを引っ張ると、接着されているヘッドライト本体側がむしれてしまった。
ここまでやってもダメなら、外すことは出来ないだろうと判断した。
残るはヘッドライトカバーを切断してしまうことだ。
これは非常に簡単だった。
ダイヤモンドカッターでどんどん切っていくことが出来る。
予め寸法を決めて線を引き、その線に沿ってカットしていくだけだ。
交換用のヘッドライトカバーも同じように切断し、接着すれば元通りになる。
接着は防水出来れば良いので、ブチルゴムでもシリコンでも、あるいはテープで留めておくことも可能だ。
ヘッドライトカバー部分は単体で販売されている。
これであれば磨きなどを行わずに新品状態に出来るので、おそらく耐久性も高いと思う。
今回切り取ったヘッドライトレンズは、ヘッドライト磨きのサンプルとして、またコート剤の耐久テスト用に使う予定である。
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