寒い日に車に乗ると、乗って10分位異音がする。
その後は異音がなくなってしまうのだが、音は車内でラジオを聞いていてもわかる程度の音量だ。
何かな?と思っていたのだが、サスペンションのダストブーツ交換時にそれが分かった。
フロントサスペンションのロアアームのブッシュから音が出ている。
一般的にはロアアームだが、miniではウイッシュボーン、BMWはコントロールアームと呼ぶ。
夏頃にも足回りから音が出たことがあって、その後音は消えてしまった。
あの時はもっと小さな音だったのだが、音の感じからするとこのブッシュからのものだったと思う。
ゴムと金属の摺動がスムーズでなく、ガコッと動く感じ。
或いは動かなくても良い部分が、緩くなってガコッと動いてしまうのか?
見た感じ液入りブッシュから液体が漏れた痕はないが、いずれにしろ動きが渋いと言う事になる。
温まってゴムが幾分柔らかくなると音が出ないのかも。
すぐに壊れるというものではないし、走れなくなるわけではないが整備することにした。
コントロールブッシュの中身は↓のようになっているそうだ。
緑の斜線部分にオイルが充填されている。

ロアアームからコントロールブッシュを抜くためのSSTがある。
中間のネジの付いた部分でロアアームを挟み、右側のU字型の切り欠きのあるものでブッシュを押し出す。
左側のネジを回すと右側のU時切り込みのいたが動く、それだけのものだ。

コントロールブッシュは固くて抜きにくいそうだ。
コントロールブッシュは単体購入可能、1個6千円~2万円で品番は31126882843だ。
アルミの部分を含めたものではなく、丸い金属の筒にゴムの入った本当のブッシュ部分だけの販売MEYLEであり2個で1万円位だ。

ロアアームは1.5万円~3.5万円(片側)で、コントロールブッシュは付属しない。
コントロールブッシュは下の写真の左側の棒状の所に付く。
ブッシュを入れるのはプレスがなくても、プラスチックハンマーで叩けば入っていくようだ。
ロアアームの品番は31126879841だ。

フロント側のブッシュはロアアーム一体型なので、たぶん単品交換は出来ない。
一方でMEYLEのアルミ鍛造・強化ロアアーム(純正は鉄)が1セット左右で約5.5万円、これはコントロールブッシュもボルト(ボールジョイント部分のボルトのみ)も付属している。
パーツ番号はMEYLE-3160500136HDで、4年の保証が付いている。
MEYLEは有名なOEMパーツメーカで、純正部品を強化したタイプ(HD)の色々な部品を供給している。
能書きによればノーマルより20%軽量の4.2kgで、TÜV NORDによる耐久テストではノーマルの2倍以上の負荷テストに耐えたとなっている。

現在は未だ発売されていないと思うが、金属3Dプリンタで製造するとノーマル比4割の重量削減が可能なのだそうだ。
ハニカム中空(内部ハニカム)による軽量化と強度確保は、色々な分野で実用化されている。
コントロールアームとロアアームはガッチリ嵌合しているわけではないが、経年での固着があって結構抜きにくいそうで、破壊して取る場合もあるという。
某整備工場の記事ではブッシュが抜けずに、プレスで押したらロアアームの軸(中空)の先端が変形したと書かれていた。
コントロールブッシュだけが抜ければ簡単に試せるのだが、コントロールブッシュはリア方向には抜けず、ロアアームを外して前方に引き抜く感じかな。
コントロールブッシュは赤矢印の距離までしか動かない。
もっとも固着していたら、いずれにしても抜けないんだけど。

ロアアームごとの交換ならさほど難しくはなさそうで、素人でも2~3時間で出来そうだ。
この動画はコントロールブッシュを交換しているのではなく、コントロールブッシュは抜いたものを使い、ロアアームを交換しているように見える。
動画の概要にも”コントロールアームの問題”だと書かれている。
と言うことで、MEYLEのアルミ鍛造ロアアームを買うことにした。
そっくり交換だと前側のブッシュも、ボールジョイントも新しくなる。
購入価格は54,911円、午後に注文し翌日には入手出来た。

ロアアームが車に付いた状態だとさほど大きくは見えないが、単体で見ると結構大きい。
アルミ製なので3cm程の厚さがあってもそう重いものではないが、コントロールブッシュを見ると簡単には抜けそうにない。
サスペンションの横力を支えているのだから、簡単に抜けないのは当たり前か。
コントロールブッシュを車体に付ける部分は、純正はアルミ製だがこれは鉄で出来ている。
アーム自体はアルミなのに何故?と思うのだが、強度的な問題とも思いにくいのでコストダウンかな、ボディ側に付くところなのでバネ下重量には影響がない。
OEM品は鉄製のものの方が多いが、アルミ製のものもある。
コントロールブッシュの直径は70mmで、ノーマルと同じである。
ノーマルと異なるもう一つの箇所は、ボールジョイント部分が取り外し可能なことだ。
一体でも成形出来そうなのだが、何故か別部品になっている。
このブッシュの部分の鋳鉄ブラケット?は、穴部分が機械加工されている。
その機械加工部分は防錆油か何かが塗られているが、何か錆びそう。

錆びるのは嫌なので、機械加工部分にはPOR-15を塗っておくことにした。
機械加工部分は写真の雌ネジとネジ穴部分、ブッシュが圧入されている部分だ。
ロアアームのフロント側のブッシュの金具部分も、MEYLE製は鉄で出来ている。
純正はここもアルミだ。
ブッシュ類の寿命は8万km~10万kmと言われているのだが、地味な部品だけに壊れるまでそのままという人が多いはずだ。
BMWでは定期交換部品扱いで、液入りブッシュは寿命が余り長くないとか。
OEM品では全てゴムで出来た液封入ではないタイプがある。
エンジンマウントでもそうなのだが、液体封入ものは寿命が短いんじゃないのかな。
減衰特性などは優れているのかも知れないが、液体が入っているのでいずれは漏れる。
しかも欧州車のゴム品質はどうも今ひとつなんだなぁ。
異音は発見が難しく、ヤナセは複数のマイクを怪しげな場所に取り付けて走行し、その音をチェックして異音発生箇所を特定するようなことをやると言っていた。
ミニの整備記事で、最初にスタビライザブッシュを交換、スタビライザリンクを交換、アッパーマウント交換、ショックアブソーバ交換を行うも改善せず、足回りからの異音ではないとのことでエンジンマウント交換、ペンドラムサポート交換、ミッションサポート交換、ドライブシャフトの交換と進むがダメ、ここまで来ると換えるところがなくなり最後にロアアームとコントロールブッシュを交換して直ったというものがあった。
そのショップでは異音の発生を確認はしたものの、どこのパーツの不具合かが分からなかったのだそうだ。
そこでオーナに確認を取りながら、怪しいところを順番に交換していったと書かれていた。
ショップの経験にもよるのだろうが、原因が特定出来ないと高い整備になってしまう。
片っ端から交換した訳だが、それぞれ要因がないわけではない。
スタビライザブッシュが硬化すると、スタビライザとの摩擦で音が出る事がある。
→スタビライザリンクを両側共に外して、アンチロールスタビライザを手で動かせば分かる。
スタビライザリンクはボールジョイント部のガタで音が出ることがある。
→ボールジョイントを外して、手で動かしてみれば分かる。
アッパーマウント不良で音が出るのはステアリングを切った時などだ。
→ストラット下部を外し、上下に揺すってみれば分かると思う。
ショックアブソーバからは普通は音は出ないが、壊れれば音も出るかな。
へたりはゆっくり進行するので、劣化自体はなかなか体感出来ない。
それこそブッシュが壊れてガタ付きが出れば、故障という形で分かるけど。
ブッシュの打ち替えはそれなりの工具がいるので、壊れていない(劣化ではなく破壊されていない)ブッシュを交換するのは後回しにされがちだ。
ジムニーの場合はシミーに直結するので、ウレタンブッシュやピロボールに換える人もいる。
ミニのリアサスはマルチリンクで、リンクのアームは(ブッシュ単体は部品が出ず)そっくり交換だ。
アッパーリンクは7千円くらい、ロアリンクが1万円位、何やら複雑な形のトレーリングアームはブッシュが単体であり、5千円くらいで品番は33326850395である。

どうせならトレーリングアームブッシュも換えたいのだが、リアはバラすとアライメント調整が必要になるので、この点でちょっと敷居が高い。
ネジを元の場所に戻せば概ね合うとは思うが、最終的にはチェックしないと。
トレーリングアーム自体を外すのは難しくはないが、ブッシュの打ち替えはプレスを使うか専用或いは汎用工具で押し出すかだ。
構造的に見るとフロントロアアームのブッシュよりは抜けやすそうに見える。
ブッシュ類を換えるのならば、ショックアブソーバも換えてリフレッシュと行きたいところではある。
純正ショックアブソーバだとフロント2本で3万円前後、TEINのものは1台分で5.5万円位、ビルシュタインは同10万円位だ。
フロントのアンチロールスタビライザブッシュは1万円位だ。
これも換えたいところではある。

ダストブーツ交換記事はこちら、動画はこちら。
動画では異音を聞くことが出来る。
ロアアーム交換は近日中に行おうとは思っている。
この時期寒いから、頑張ってヤル気を出さないといけない。
ロアアーム交換は動画で公開予定である。
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