富士通PLAZION脱臭機の寿命と分解清掃

家電製品

ウチには4台の富士通プラズマ脱臭機がある。
2台はDAS-303Wというモデル名の古いものだ。
残りの2台はDAS-303E(2018年製)で303Wよりは新しく、303Wのリプレイス用に用意したのだが、実際には303Wばかり稼働させていて303Eは余り使っていなかった。
今回は古い方のDAS-303Wを分解してみる。

富士通の脱臭機は吸着プレート(触媒)による脱臭と、オゾン脱臭を組み合わせたものだ。
効果は比較的高く、猫のトイレ部屋に置いているこの脱臭機の電源が切れている(猫が上に乗って切ってしまう)と、臭いの差がすぐに分かるほどだ。

しかし最近その脱臭能力が低下しているのではないかと思えてきた。
紫外線灯によるオゾン発生器は寿命は長いのだが、紫外線灯には当然寿命がある。
富士通によれば6年の使用でオゾン発生効率は半分まで低下するという。

吸着・触媒にも寿命があるようで、現行モデルの”高速メガフィルターIII”では寿命が長くなったそうだ。
なお吸着触媒ユニットも交換部品はある(このモデル用は既に廃番だと思われる)が、吸着触媒ユニットを交換するなら新しい製品を買った方が良い。

DAS-303Aの能書きとして「10年間使用しても、90%以上維持することができます」とあるが、少なくとも紫外線灯は劣化が進む。
無塵状態で10年間使用できるとしても、一般環境に於いては物理フィルタをすり抜けた微細な粒子が吸着フィルタを目詰まりさせる。
従ってメンテナンスを行わずに使用できるのは4~5年ではないかと思う。

富士通の脱臭機は型番のサフィックスのアルファベットが年式(年代)を表している。
今年(2022年)のモデルは”K”だ。

2010年:DAS-303W
2011年:DAS-303A
2012年:DAS-303B
2013年:DAS-303C
2014年:DAS-303D
2015年:DAS-303E
2019年:DAS-303K

紫外線灯は交換可能ではあるのだが、まずは分解して中を見てみることにする。

このモデルは脱臭機と加湿器が一体となっているものだが、加湿機能は殆ど使っていない。
フィルタは後方にあり、メッシュフィルタと紙製のフィルタが装着されている。
一応フィルタがあるので多少の空気清浄効果もある。
モデルによってはオプションで、フィルタ効果の高いものを装着することも出来る。

2010年製なので10年も使っている。
おそらく能力は1/3位に低下しているのではないだろうか。
不織布フィルタはさほど汚れていない。

この不織布フィルタの向こう側に吸着脱臭プレートがある。
吸着脱臭プレートは定期的に加熱され、吸着した臭いを加熱分解する構造だ。

加湿器は蒸発型なので能力は低い。
ずっと使っていなかったので動きが渋くなっている。
カルシウムなども付着していたので、濃硝酸で洗って綺麗にした。

慣れれば何と言うことはない分解だが、最初は少々戸惑った。
パズルと言うほどではないが、嵌合部がどこにあってどことくっついているのかが分かりにくい。

これは上部パネルを浮かせた状態だが、この分解方法は正しくない。
写真右側のフロントパネルを外してから上部パネルを外す。
右側フロントパネルはACコードが邪魔になるが、コードを曲げるくらいまで下に引っ張って開くようにして外す。
フロントパネルは向かって左側、写真のグレーの部分を外側に曲げてネジ止め部分のかみ合わせを外す。
次に前面のカバーを上方向に引っ張りながら手前に開くようにして外す。
これは上部カバーと嵌合しているのを外すためだ。

上部のパネルを外すと紫外線灯のケースがある。
これを開けると紫外線灯が見える。
紫外線灯はCFLの専用品だそうで、同一品番の部品は入手が出来ないが流用部品は入手できる。
ただ価格が4,000円程度と高いので、あえて交換して使い続けるメリットがあるかどうか。
このモデルは現行品ではないが、現行品だと1.5万円前後で買うことが出来る。

紫外線殺菌灯ケースのエアの出口には活性炭のハニカムフィルタが付いている。
これは臭いを吸着するためではなく、残留オソンを分解するためだ。
従って寿命は長い。

紫外線灯はこんな感じで点灯する。
これも数年後にはLEDに利用が一般的になるのかなと思う。
現時点では短波長(253.7nm)のLEDはコストが高く、光出力も足りない。
また185nm波長のLEDは(現時点では)ないと思う。

水槽用の殺菌灯は寿命が1年だと言われる。
それは余りに短い感じがするのだが、蛍光灯型の寿命曲線で行けば1年経過後でも80%程度の出力があるとされる。

紫外線発生用CFLはガラスに付着した汚れを拭き取って組み戻した。

隅の方にイオン発生器が付けられている。
中は埃だらけだ。

これを綺麗にクリーニングする。

放電しているのが見えるかと思ったのだが、全くその気配がない。
線を近づけても放電しない。

下の写真がイオン発生器用の基板の部品面だ。

ハンダ面にはSMDが沢山乗っている。
電源電圧は12Vで、もう1本線が来ている。
パネル操作でも電圧は変化しなかった。

イオン発生器は基板とセットで補修部品として購入できるようだが、これも数千円だとのこと。

同じケースにはCFL用の電源基板も実装されている。

イオン発生器は壊れているのか?
壊れるとすればトランジスタだろうが、少なくともDC的には正常だった。

どのような動作をするものなのかがよく分からないので、故障かどうかが判断できない。
間欠動作なのか?定時動作なのか?常時動作なのか?
そこでもう一台の同モデルもバラしてみたのだが、そちらも放電していない。
2台とも壊れている可能性があるが、だとすれば壊れやすい設計だ。

DAS-303Wは2台とも放電が見られないので、DAS-303Eを開けてみた。
少なくとも放電部は同じ部品が使われている。
暗いところで観察すると中心電極から放電の光が見える。

DAS-303Wは回路が壊れているか?
放電部のセラミック基板?を外してみると、接点で基板に接触する仕組みになっていた。

埃は付いていたが特に何と言うことはなく、基板の方も単純なものである。

いずれにしても壊れたことには違いないのだが、部品を買って直すほどでもないので放っておく。

ついでにファンも掃除した。
余り汚れていなかったが、外して洗浄することにする。
ファンを止めているナットは逆ネジなのでご注意を。

次に吸着脱臭部を開けてみる。
金属触媒の吸着脱臭ユニットだそうで、それを加熱再生する。
多くの吸着剤は加熱すると吸着した物質を放出するが、それを金属触媒で無臭化させている感じだろうか。

富士通は化学的に分解すると説明している。
化学分解させるなら加熱再生は何かと言えば、表面に残った汚れを加熱分解するのだとか。

このフィルタは低温脱臭触媒と呼ばれるものかも知れない。

このユニットはネジ止めされているものではなく、引っ張れば取れる。
両側に鉄板のカバーがあり、それは2本のビスで留められている。

金属板→フィルタ→吸着材&加熱部→フィルタという順で空気が流れる。
このフィルタは水槽用の上部フィルタなどに付いているものと同じ、と言っても分かりにくいか。
合成樹脂の細い繊維を固めたようなものだ。
これが両側に付いていることから、フィルタというより断熱材なのかも知れない。

吸着フィルタは活性炭なのか、黒色だ。

この吸着材は金属フレームに爪で止められている。

この吸着材の裏側にヒータが付いている。

サーモスタットが付いているが温度は不明。
しかし125℃で加熱という文言が出てくるので、その程度の温度なのは確かだ。

触ってみた感じではそう高温ではないと思うし、金属フレームがプラスチック部に接触していることを考えると、周辺温度は100℃以下ではないだろうか。

電源部やコントローラはこのユニットの上の部分に付けられている。

まず吸着剤の両側に付いているフィルタを洗う。
1Fで使っていたものは多少砂埃的なものが付着していた程度だったが、猫のトイレ部屋で使っていたものは、猫砂(システムトイレなのでセラミックボール)の粉塵が多量に付着していた。
セラミックボールは白色なのでフィルタの色に変化は無いというものの、水洗したら水が濁るほど汚れが取れた。

吸着材を洗うかどうしようか迷った。
洗って良いものかどうか分からないからだ。
活性炭は洗っても何と言うことはないが、金属触媒はどうなのだろう。
金属だから大丈夫と言えばそうだし、空気中の湿気でも大丈夫なのだから水につけても良いか。
と言うことで洗剤を入れた水に浸けた。

すると水が茶色になる。
フィルタに茶色系の汚れは付いていなかったので、吸着した成分が茶色なのか?残留成分が加熱されて茶色くなったのか?それともカーボンが落ちて茶色に見えるのか?
実際カーボンの小粒は落ちてくるので、カーボンが微粉になって水に溶けてきたと考えられなくもない。
何度か洗浄を繰り返してみたが、洗浄水が透明になることはなかった。

洗浄後はヘアドライヤーで水を飛ばす。
少し風を当てれば内部に入った水はすぐに抜ける。
試しにヒートガンで隅の方をあぶってみると、そこが少し茶色に変色した。
ヒートガンの温度には耐えられないようだ。

洗浄時に60℃位の湯をかけた。
60℃は給湯器の最高温度で、大きな鍋でもあれば煮てしまった方が良かったかも。
加温すれば吸着した臭いを放出するからだ。

ただ化学分解と富士通は言っていて、何かしらの化学物質が塗られているとか?
それが洗浄されてしまったら触媒作用はなくなるのか?などと考える。

分解清掃後は脱臭能力が明確に上がった。
清掃後は明らかに猫トイレ部屋の臭いが消えた。
猫トイレ部屋には大型の猫トイレが3台置いてある。
粉塵回収と消臭のために、Panasonicの電気集塵式エアクリーナと富士通の脱臭機を置いている。
猫が排便したとき以外はさほど臭いはしない(砂が臭いを吸着する)が、脱臭機清掃後は殆ど無臭になった。
そう言えば最初の頃はこうだったなぁと思い出す。
富士通脱臭機は生活臭も消してくれるが、アンモニア臭などには特に効果がある。
新品時の性能には及ばないのだろうが、吸着再生ユニットの清掃は素晴らしい効果を上げたと言える。

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