空気清浄器・イオン発生器・除菌機・脱臭機の特徴と違い

家電製品

花粉症の軽減、コロナ化に於ける空間除菌、ペットなどの感染症防止、臭いの除去などに様々な機器が使われる。
いずれも空気清浄器と一括りにされる事があるし、例えば脱臭機にしても除菌器にしてもフィルタが付いている。
これによって空気が濾過されるわけだから、空気清浄器と言えないことはない。
ただしその性能や能力は異なっているし、空気清浄器自体でも性能差は大きい。

空気清浄器

ウチではシャープ製のものとPanasonic製のものを使っている。
シャープ製はファンとフィルタで構成されているもので、ファンによって室内の空気を吸い込み、フィルタを通して濾過するだけのものだ。
このタイプは本体が安価でフィルタが高価、フィルタの寿命は一般的に余り長くはない。
集塵能力はフィルタの性能に依存するわけだが、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)など微細な目のフィルタは当然詰まりやすくなる。

そもそもHEPAフィルタなどは、環境粉塵の少ない場所で使用されるものだ。
粉塵の少ない状態から、更に微細な粉塵までをも取り除く用途であり、一般家庭の室内などでは粉塵が多すぎて目詰まりが早い。

目詰まりを遅くするには表面積を増やすしかなく、フィルタの価格が上がる。
また目の細かなフィルタは通気抵抗が増える。

Panasonicのものは電気集塵方式だ。
これは微細な埃を帯電させ、それを吸着させる仕組みである。
電気集塵方式は物理フィルタと違い、目の細かなフィルタは必要が無い。
そのためフィルタの寿命は長く、5年ごとの交換など手間とコストが節約できる。
ただし電気集塵機には埃が付着するので、定期的に洗浄する必要がある。

無塵環境、クリンルームで作業をされた方なら分かると思うが、いったんクリンルームが汚れるとそれを綺麗にするのは大変だ。
従ってクリンルームには埃を持ち込まない、埃を発生させない事が重要だ。
紙は当然使うことは出来ないし、鉛筆もダメだ。
タバコを吸ったら30分は入室できないなど、決まりがある。

こうした環境を作り出したり、こうした環境を汚さないようにするのがHEPAフィルタやULPAフィルタであり、埃の多い普通の部屋で使えば目詰まりするのは当然だ。
一時期はより集塵能力の高いULPAフィルタ搭載の空気清浄器があったが、さすがにフィルタがすぐに詰まってしまうと言うことで市場から消えていく運命になる。

どのような場合に空気清浄機が必要か?
室内に空気清浄機を置いても、空気清浄機を通過する空気は部屋のほんの一部のものでしかない。
例えば目に見えるくらいの粒状の埃とか粉塵が部屋にあるとすると、空気清浄機によって除去はされるが、除去されない埃は床などに堆積する。

これは、ウチでは猫トイレ部屋で実感出来る。
猫トイレはいわゆるシステムトイレなので、固まる猫砂よりも粉塵の発生は少ない。
それでも空気清浄機のフィルタには沢山の粉塵(セラミックボールの粉、シリカゲルの粉など)が付着する。
猫トイレ部屋(3畳くらい)には2台の空気清浄機が置いてあるのだが、電気集塵式空気清浄機により多くの粉塵が吸着される。
ではもう一台の空気清浄機は汚れないかと言えばそうではない。
電気集塵式空気清浄機で取り切れない粉塵がフィルタ式空気清浄機に補足され、それでも取り切れない粉塵は壁や床に堆積する。

空気清浄機がない場合より猫トイレ部屋の空気は綺麗だとは思うが、たった3畳程度の部屋に2台の空気清浄機を置いたとしても、完全な清浄性は得られない。
それでも空気清浄機を崇拝しますか?という事なのだ。

イオン発生器

これは針状電極に高電圧を加えて無声放電させるものだ。
若干量のオゾンが発生するので脱臭効果や除菌効果がある。
イオン発生器と簡易なフィルタの組み合わせでは、電気集塵式の空気清浄器風の動作が期待できるものの、帯電量が少ないので空気清浄器としての効果をフィルタに依存する製品が多い。
電気集塵式と混同しやすいが、別物である。

オゾン発生器

イオン発生器と似ているが、オゾン発生器はガラスやセラミックを通した無声放電によってオゾンを発生させる。
また紫外線灯によってオゾンを発生させる機器もあるが、紫外線灯はコストアップになるので余り使われていない。

ガラスやセラミックを使った中華オゾン発生器は何台も使ったが、いずれも寿命は短い。
ガラスを使ったタイプではリークが起き、セラミックを使ったものは電極が蒸発した。

オゾンは強力な酸化作用で、脱臭や除菌、防かび効果が高い。
特にアンモニア臭などは強力に分解するので、ペット用トイレのそばに置くと効果が実感できる。

なお高濃度オゾンは人体にも有害なのと、ゴム類の劣化が進むので取り扱いには注意を要する。
オゾンは活性炭を通すとすぐに分解されてしまうので、オゾン発生器のそばに活性炭を置いておくと、残留オゾンを分解できる。

ここで使用する活性炭は空気中の臭いを吸着させるためではなく、オゾンを分解するために使われているので、寿命は非常に長くなる。

除菌機

ウチでは旧三洋電機の除菌機を使っている。
猫が真菌性感染症になったときに、他の猫への感染防止などの意味もあり導入した。
現在製品として販売されているものはPanasonicのジアイーノなどがある。

いわゆる空間除菌は、非常に酸化力の強い次亜塩素酸水を噴霧するというものだ。
これはアルコールでは破壊できない細胞膜も破壊出来るため、除菌能力が高い。
なお猫の感染症の治療と予防には、ヨウ素(ヨードチンキ)と次亜塩素酸水による殺菌を行った。
通常感染症の治療には時間がかかるのだが、これによって動物病院の医師も驚くほどの早期治療が出来た。

反次亜塩素酸水派がいて、コロナ化に於ける次亜塩素酸水の使用に反発していた。
これは反電磁波派と同じようなもので、高濃度の次亜塩素酸水は危険だみたいな、ごくごく当たり前のことを大げさに言っていた。
なおアルコール過敏な人などへの消毒用に病院でも使われているし、口腔殺菌のために歯科でもうがい用に次亜塩素酸水が使われている。
ちなみに現時点に於いて反次亜塩素酸水派は、殆どが自然消滅したと思われる。

三洋電機の除菌機は、水道水中の次亜塩素酸ナトリウムを使って触媒電極(タンタルらしい)で電気分解を行い、次亜塩素酸水を生成する。
Panasonicのものは塩水を隔壁を通して電気分解することで次亜塩素酸水を生成する。

最近は病院などでも除菌機が使われている。
院内感染の防止などが主目的ではあるが、大型の機械を複数台設置しないと効果が上がらない。
次亜塩素酸水は細菌などに触れると、それを酸化して水に変わる。
人間の皮膚に触れても水に変わってしまうので、継続的な殺菌効果は期待できない。
アルコールなどでは皮膚に留まる時間があるので、その間は殺菌効果が継続する。

例えば一般家庭で玄関に除菌装置をセットしたとすると、おそらくその周囲数メートル内でしか効果が無い。
何かに触れると水になるわけで、空気中のゴミや有機物に触れて次亜塩素酸水は水に変化していく。
更には低濃度の次亜塩素酸水なのと、湿度が上がるほどの量は噴霧しないので、除菌能力には限りが有る。

除菌機は細菌やウイルスのみではなく、花粉やカビなども分解する。
どの程度分解(酸化)されるかは対象物によって異なるとは思うが、花粉症対策として有効だとする人もいる。

プラズマクラスターやナノイーも除菌機に分類される。
いわゆるOHラジカルというものだが、ナノイーに関してはオゾンの発生も認められる。
プラズマクラスターの欠点は寿命である。
プラズマクラスターユニットが2年程度で寿命となるため、ユニット交換の必要がある。
無限化改造をしたとしても、電極の摩耗により4年くらいで使えなくなる。
プラズマクラスターは少量のオゾンが発生し、その為か消臭効果がある。
部屋の臭いを消すのは大変だが、クローゼットとかトイレくらいの容積であれば何とかなる。

ナノイーはプラズマクラスタの電極摩耗という寿命の点を改善したものだが、実は半年程度で壊れてしまう。
電極の摩耗を防ぐために、電極の先端に水滴を生成し、水滴から放電させるようにした。
しかし水滴を作り出すためにペルチェで低温にするので、電極以外にも結露が生じて腐食が進む。
もしかすると現在売られているものは改善されたかも知れないが、以前のものは酷かった。
連続稼働で半年もするとペルチェ周辺に腐食が起こってボロボロになる。

OHラジカルによる細胞膜などの破壊効果はあるものの、ではOHラジカルが出ているのか?その量はどうなのかなど、不明な点も多い。
ナノイーはプラズマクラスターよりもオゾン発生量が多く、消臭効果は高い。

脱臭機

脱臭機に関して、現在売られているアクティブタイプのものは富士通ゼネラル製のみではないだろうか。
空気清浄器の中には活性炭を使用した、フィルタ式脱臭機もある。

富士通製の特徴は、吸着した臭気フィルタを加熱再生するところにある。
活性炭などは加熱すると吸着したものを放出し、再使用が可能になる。
これを応用したのが富士通ゼネラルの製品で、加熱再生を自動で行うことによって吸着フィルタの非交換を実現した。

脱臭効果は高くペットのトイレ臭や、キッチンでの料理の臭いなども強力に除去してくれる。
なお化学性の臭い(降水や芳香剤、石油やアルコール臭など)は除去されにくい。

吸着触媒と共にオゾン脱臭装置も内蔵されている。
オゾン脱臭装置の出口には活性炭フィルタが付けられているが、わずかにオゾン臭が感じられる。
オゾン発生器の項でも書いたが、オゾンによる脱臭効果は大きい。

脱臭器の活性炭ユニットの寿命は長いとカタログに書かれているが、実際には汚れの付着によって微細な詰まりが起きる。
使用環境によって異なるとは思うのだが、分解清掃(活性炭ユニットの洗浄)を行うと明確に脱臭能力が回復する。

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