ルンバの長期使用レポート

家電製品

ルンバに関しては、びっくりマーク!に関して、家具への攻撃問題に関して書いた。
最近のモデルはLiDERを使用した近接検知により、家具への攻撃は減少している。
ただし完全というわけではなく、椅子の脚など細いものや形状によってはかまわず衝突する。
また衝突回避のために部屋の隅にゴミが残るなどの問題もある。
被衝突物の形状検知や処理の改善など、まだまだやることは多いと感じる。

カメラの搭載は中国製ロボット掃除機が早かったが、ルンバも搭載機がある。
動物の糞を検知すると言うが、軟らかい便や吐瀉物は検知出来ない。
ネコの場合トイレ以外で排泄をすることはまずないが、毛玉を吐くことはある。
これをルンバが吸い込むと結構面倒なことになるので、画像による検知ではなく水分センサの方が有効ではないか。
前輪に電極を付け、その間の抵抗を測っていれば良いのでコストもかからない。
これならこぼした水を吸ってしまう事も防げる。

以前にも書いたようにウチでは4台のルンバを使用している。
初期の頃は500シリーズを使っていて、これはタイマ起動していなかった。
600/700/800シリーズを使うようになってからは、毎日決まった時間にタイマで動作させている。

リビングにはネコが居るので抜け毛なども多く、1日に2回(2台のルンバを各1回動作)掃除をさせている。
一台は600シリーズなので回転ブラシタイプ、もう一台は800シリーズのゴムローラタイプだ。

ブラシタイプのメリットは、動物の毛など細かなものをブラシで掻き出して掃除をするため掃除残りが少ないこと、フローリングの隙間の汚れなども取れやすいことだ。
上の写真はブラシ部分の清掃前のものなのだが、欠点はこのようにゴミが絡まることである。
ブラシを全く掃除せずに使っていると、ブラシに綿埃が絡まり、フェルトの棒のようになってしまう。

ダイソンの掃除機などでも回転ブラシ部分がフェルト的なもので出来ていたりするが、これってブラシに毛が絡まった状態でも結構良いじゃん、だったらフェルトで作ってしまえ、で考案されたものだったりして。

ゴムローラタイプは毛の絡まりなどはかなり少なくなる。
ただし長毛種の犬などを飼っている方の場合は、ローラに毛が絡まってどうしようもなくなることが発生するという。
ウチには長毛種のネコが居るが、ネコの毛はあまり絡まらない。

写真はローラの掃除はしていない状態だが、毛の絡まりは最小である。
吸引力自体は600シリーズより強い(公称1.5倍だが、それほどの差は感じない)のだが、強いと言っても普通の掃除機とは全く違う。
吸引力のために電力を使えない事情があり、iシリーズでは吸引力の必要な絨毯の上の走行時に限り吸引用のモータパワーを上げていて、800シリーズの約7倍の吸引力だそうだ。
なおモータパワー制御のないe5は同約3倍を謳う。

実際フローリングで600シリーズと800シリーズを比較しても、清掃能力にすごく差があるかと言えばそうでもない。
ダストボックスが大きいのでゴミ捨て頻度が下がるとか、フィルタが詰まりにくいなどの違いはある。
800シリーズあるいはiシリーズの時代になっても600シリーズが併売されているのは、回転ブラシ方式にそれなりのメリットがあると言う事だ。
海外の記事では、ペットのいる家庭ではブラシタイプがおすすめだとなっていた。

600/700シリーズは回転ブラシタイプ、800/900シリーズ以降はゴムローラタイプである。
e5やi/j/sシリーズはダストボックスと吸引機構が別になり、ゴムローラの色が緑系になった。
ただダストフィルタが小型化されたので、600シリーズ同様詰まりやすいかも知れない。

ダイソンの掃除機でもモデルごとに○倍の吸引力と宣伝しているが、実際に各モデルを使ってみて著しい吸引力の差は感じない。
というより、相変わらずあまり吸わないなと思うだけだ。
ルンバもモデルごとに吸引力アップを謳うのだが、実際どれほどの違いがあるのか。
私は500シリーズの頃から使っているのだが、すごい性能差というものは感じたことがない。

600シリーズはフィルタが小さいので、こまめな清掃や交換が必要だ。
600シリーズと800シリーズで吸引の風量はさほど違わない感じを受けるのだが、静圧が少し違う。
600シリーズはフィルタが詰まるとすぐに吸引力が落ちる。
800/900シリーズはフィルタ面積が大きいが、iシリーズでは再び小型化された。

写真は600シリーズのフィルタである。

非分解構造の交換式で、これは数ヶ月使用したものを掃除機でゴミを吸引したあとのものだ。
表面に付いた綿埃などは取れるのだが、ヒダの奥に溜まった細かな埃は吸い出せない。
掃除機では吸い出しきれない埃が残るが、エアで吹くなどすればもう少し綺麗にはなる。

無理矢理ケースを開けてみる。
これは”モータ側”つまり、埃が入ってきてはいけない側だ。

一方で埃が溜まる側には、大量の細かな埃が付着している。

掃除機で吸ったりエアを吹くとある程度ゴミは取れるのだが、使用経過時間に応じて取り切れない汚れが蓄積され、吸引力が低下する。

800/900シリーズ用のフィルタはフィルタの大型化と、ペーパフィルタ手前にメッシュフィルタが付いた。

メッシュフィルタにより大きなゴミがペーパフィルタの隙間に入り込まないようになった。
これも掃除機で吸うなどして掃除しながら使うのだが、メッシュがあるので内部の汚れが吸い出しにくいデメリットがある。

分解してみれば分かるとおり、ヒダの間にはゴミが溜まっている。
このゴミは中々吸い出すことが出来ず、背面からエアで吹くとメッシュフィルタが剥離してしまう場合がある。

過去にあったフィルタ式家庭用掃除機では、このフィルタの汚れを落とすために物理的振動を加えるなどする機構が付いていたが、そうでもしないとこの手のフィルタは中々綺麗に出来ない。

800/900シリーズ以降は後退(ゴミが多い場所では同じ場所を繰り返し掃除する)機能が付いた。
制御の変更により掃除時間も短縮された。
清掃能力が吸引力×掃除時間だとすれば、その積は600シリーズも800シリーズも大差がない感じがする。
制御に関してはe5で、更にはiシリーズで変更されている。
iシリーズの一部では直線的動作をするようになったのだが、これだとブラシや排気で拡散したゴミを取り切れない。
直線的な動きは掃除時間の短縮になるが、ゴミの取りこぼしが増えたことで複数回掃除をするモードが追加された。

ブラシでもそうなのだが、ゴムローラは絨毯に対する攻撃性が低くない。
バンパーによる家具への攻撃、ローラによる床や絨毯への攻撃と、便利ではあるがリスクもある。
畳などはささくれてしまう可能性があるので、畳の部屋でローラタイプは常用しない方が無難だ。

糸くずや毛髪はブラシなどにも絡まるのだが、あらゆる回転部分に絡まる。
ブラシやローラの軸受けに絡まれば、やがて抵抗が増してトラブルになる。
ルンバは軸受け部にベアリングやメタルを使わないので、摩耗が加速する。

写真は800シリーズ以降のゴムローラなのだが、右の2本は黄色のプラスチック部分のツメが減っている。
本来は本体と嵌合しているので黄色の部品は動かないのだが、軸受けの抵抗が増えるなどすると駆動力に応じて黄色のパーツも多少動くようになる。
それが繰り返され、数ヶ月後には爪の部分が摩耗してしまう。
ツメが摩耗すると位置決めが不正確になり、ゴムローラが暴れるように動くのでルンバ本体側もダメージを受ける。
何故このような機械的に弱い形状なのかは謎だ。
黄色い部分は回転しないものなので、角形にすれば済む話だ。
なおブラシタイプのものも同じ形状だが、黄色いパーツの直径が大きいのでツメの摩耗は少ない。

シャフトは金属同士、金属のシャフトを金属のスリーブで受けているので、メンテ時には注油した方が良い。

ゴムローラは一応消耗品扱いなので未だ良いとして、問題はコーナブラシである。
コーナブラシも軸が回転するので、その軸に汚れが絡まる。
糸くずや毛髪が絡まると(巻き付いてしまうので)自然に取れることはなく、回転抵抗となり続ける。

コーナブラシは軸も筐体もプラスチックで、その軸に糸くずや毛髪が絡まりつくので抵抗が増大する。
抵抗が大きくなるので発熱し、プラスチックが溶けてしまう。

写真はコーナブラシ駆動部だが、矢印のシャフトに毛が絡みつくと筐体(ブルーのもの)の穴が広がってしまう。
ギアはこの穴で支えられているので、穴が広がるとかみ合わせが悪くなりギアの歯が削れる。

これに関してもゴムローラの軸受け部分同様、設計の甘さによる障害だ。
プラスチックの成形ものなので、少しガイドを付けるなどするだけで絡まりは防止出来る。
国産家庭用掃除機の回転ブラシの軸に糸くずが絡まることはあるが、それによって樹脂が溶けてしまうことは皆無だ。

中国では消耗品扱いとして、フィルタやローラとセットで売られている。

消耗品セットを買って定期交換するのも良いのだが、私はジャンクを買って部品取りに使っている。
バンパーのゴムも剥がれてくる場合があるし、ゴム自体も徐々に削れて薄くなる。
こうした部分も含めてジャンクが一台あると、結構メンテナンス用に活用が出来る。

前輪も同じように糸くずなどが絡まると、それによる抵抗で壊れてしまうことがある。
金属シャフトに繊維が絡まると、回転に伴って繊維が前輪のシャフトの中央部にまで入り込む。
するとシャフトと前輪の回転抵抗が増して、シャフト自体が回転するようになる。
シャフトは回転しない前提で固定されているので、そこが回ることによって固定部のプラスチックが摩耗する。

タイヤのゴム部分は、日本家屋では摩耗は少ないがビニタイルなどの上を走行させると意外に減る。
ルンバは総じて耐久性に乏しいと思えば間違いはない。

そんなルンバではあるが、ウチでは活躍している。
床などに落ちたネコの毛を吸い取ってくれる。
猫砂(システムトイレ用のセラミックボール)位になると、吸引力の問題で取り残しが起きる。
これはダイソンの掃除機でも吸うことが出来ない(吸引力が足りない)が、普通の掃除機なら近づけただけで吸い取れる。

毎日ルンバを動作させていれば、隅の方などを除いてはそこそこ綺麗にはなる。
毎日のルンバによる掃除と、週に一度は普通の掃除機を使えば、部屋の綺麗さは保てる。

問題は床や家具への攻撃性なのだが、これは諦めるしかない。

毎日同じ所にぶつかり、擦れるのでバンパーの跡が付く。

アルコールで拭けば綺麗になるが、キリがない。

家具のみではなく、置いてあるもの全てに跡が付く。

家具の足の形状によってはバンパーのゴム部分が当たらず、プラスチック部分が当たるので傷が付く。

四角の足の場合は角部分が削れてしまう。
衝突時にルンバが上下に動くので、広い範囲で損傷が広がる。
ドカンドカンと何度も当たるので、音も衝撃も損傷も大きい。

こうした害を我慢出来る人、床に電線などがない部屋、ペットを飼っているなどで毎日掃除をしたい人はロボット掃除機が便利だ。
寝室(毛布などの綿埃)なども効果を感じやすい。

しかしそれ以外だとロボット掃除機の恩恵は感じにくい。
絨毯は掃除をすれば必ず遊び毛が取れるのだが、それは本来取れなくても良い毛を取っていることでもあり、絨毯の傷みは加速する。
絨毯がスカスカになったり、パイルが抜けたり切れたりほつれたりする。
特にゴムローラタイプでは絨毯の傷みが激しいので、長期使用を前提に購入した絨毯にルンバは使わない方が良い。
フリンジがコーナブラシやローラに絡まってしまうこともあり、絨毯もルンバも酷いことになる。
畳の部屋も(気づいた時に使う程度なら良いが)やめた方が良い。

遊び毛が出にくいポリエステル製などでも、ほつれや抜けが生じて徐々にボロボロになっていく。

絨毯敷きや畳の部屋専用で使うのであれば、ゴムローラや回転ブラシを外してしまう。
これだと吸引力だけで表面の埃を吸い取るようになるので、絨毯や畳の傷みは軽減される。
ルンバは基本的にはローラでゴミを掻き出して吸引する機械であり、吸引力そのものはかなり弱いので、掃除能力は激減する。
ブラシタイプのものの、ブラシを短く切ってしまう方法もある。
絨毯の毛足に合わせてブラシをカットすれば、絨毯にも優しく埃もそこそこ取れるルンバが出来上がる。
なおゴムローラは径を変えることが出来ないので、やるとすればゴム部分を外してしまうくらいだ。

ウチでは以前はラグを使っていたのだが、ルンバ優先と言う事で今は何も敷いていない。

中国製の数千円のロボット掃除機は、そもそも回転ブラシの搭載されていないものがある。
こうした機種であれば絨毯や畳の傷みは最小に抑えられるが、表面に浮いたゴミしか捉えない。

バッテリーは数年の寿命がある。
ウチではこれを、のべ4個買った。
もっと安いものもあるのだが、トラブルがなかったと言うことでリピートしている。
勿論このバッテリーがベストと言う事はないと思うのだが、信頼性が心配な中華バッテリー故、トラブルなく長期利用出来るのが一番良いかなと思った次第だ。

メンテナンス無しで使った場合は、バッテリーの寿命=本体の寿命と考えて良いかもしれない。
ルンバのリピート(買い換え)率は高くないと言われる。
買って使ってみたが、それが不調になったら買い換えずに捨てるだけというわけだ。
こうした事もあって中古やジャンク品が豊富に出回っている。

家具や絨毯への攻撃問題、掃除時間の長さ、騒音問題など使いにくい面は色々ある。
集合住宅の場合は家具にルンバが当たる音が階下に響くなど、使用者のみの我慢では済まない事も起きる。
複数の部屋を一台のルンバで掃除することも不可能ではないが、走行アルゴリズムがさほど優秀ではないので、かなり効率が落ちる。
椅子の脚の間に挟まって抜ける迄に相当な時間を要するなど、何故こういう動きをするのか不思議になる事もある。
隙間に挟まった場合に少しずつ向きを変えればすぐに抜けられるのに、180度くらいの転回を繰り返すので、いつまで経っても隙間の壁にぶつかり続ける。

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