Jebao Dosing Pump DP-4

珊瑚・魚・猫

購入したが3年も使わず放置していたドージングポンプである。
使い始めたのは2022年4月頃からだ。
久しぶりに電源を入れると日付が狂っていた。
内部にCR1220ボタン電池があるのだが、この電圧が0.3Vしかなかった。
日付は狂っていたが、キャリブレート値は保持されていた。

既にこのドージングポンプは古く、最近のものはWi-Fiインタフェースでスマートフォンのアプリから各種設定が出来るようになっている。

工業用ドージングポンプ

横浜時代から使用しているのはISMATECの工業用微量ポンプだ。
横浜時代(2000年前後)にはホビー用のドージングポンプは皆無で、唯一米国で販売されていたものを何台か個人輸入して使用していた。

ホビー用ドージングポンプであるLitterMeterは、現在のホビー用ドージングポンプの原型とも言えるもので、内部構造は今も余り変わっていない。
マイクロコントローラを使って、定時間だけDCモータを回す。
吐出量はモータの駆動時間で決める方式だ。
LitterMeterは1チャネルのものしかなく、それでいて価格はUS$240と高かった。
チューブの耐久性は9ヶ月となっていた。

ホビー用としてはこれで成立するのかも知れないが、DCモータは回転数も変化するし経年劣化もある。
実際LitterMeterも度々キャリブレートしないと、吐出量が狂ってしまった。

そこで購入したのがISMATECの微量ポンプである。
これは工業用のもので、ローラのコントロールはステッピングモータで行われている。
その為に回転数が変化する事はなく、吐出量の変化も少ない。

ISMATECのポンプは2台あるが、現在使用しているのは1台のみだ。
写真はチューブホルダを付けていない状態のもので、ベークライトのローラが回転してチューブ内の液体を押し出す。
ローラの回転数が規定されるのでキャリブレートは必要が無く、チューブの内径などを設定すれば吐出量を決める事が出来る。
ローラの回転速度、動作時間、インターバル時間などの組み合わせで、様々な設定が可能だ。

モーターの回転数はロータリーエンコーダーでフィードバックされる。

減速にはコグドベルトが使用されている。
これを購入したのは20年以上前なのだが、未だに修理対象であるのが凄い。

当時は米国から個人輸入したのだが、今日本に代理店が出来ている。

ホビー用ドージングポンプ

LitterMeterもJebaoのDP-4も構造は同じである。
マイクロコントローラでDCモータを制御している。

時計が内蔵されているが精度が悪い。
32.768kHzの水晶振動子の不良だろうか。
RTCはPCF8563が使われている。

DCモータは回転数が負荷によっても、駆動電圧や経年でも変化するのでキャリブレートが必要だ。
実際このポンプを動かしていても、微妙に回転数が変化するのが分かる。
ただし構造が簡単で安価な事から、ホビー用ドージングポンプはこの方式を採る。

回転数や回転角度センサなしでも、DCモータの逆起電力や電流波形をモニタする事でフィードバックは可能だ。
一部の機器ではこうした仕組みによるモータの回転数制御も行われているが、少なくともこのポンプのモータはオープンループである。

キャリブレートは各チャネルごとに行う必要があり、添加剤の粘度やチューブの長さや引き回しでも吐出量が変わってしまう。
その為、実際に使用する添加剤と配管、ポンプの設置位置でキャリブレートを行うべきである。
特に高粘度の液体では吐出量が安定しなかったり、温度によって(粘度が変わると)吐出量が変わってしまう。

LitterMeterもDP-4もモータのシャフトで直接ローラを駆動している。
RedSeaのReefDoseは、モータに遊星歯車による減速機構を取り付け、そこにローラユニットを付けている。

これによってモータシャフトからの直接ドライブで見られるスリップ、負荷トルクによるモータ回転数の変動を軽減している。
モータ自体はDCモータであり、負荷による回転数の変動や経年変化等は起きるが、ギアを内蔵する事でそれらを(モータシャフトによるダイレクトな駆動方式のものより)軽減する事が出来るはずだ。
RedSeaによれば吐出量の精度は±0.05mlまたは0.5%(吐出量10ml以上の場合)が実現できたと謳う。
おそらくキャリブレーション直後の誤差だと思われ、経年変化に関しては規定されていない。最小吐出量は0.1mlと小さいのだが、この時の誤差は±0.05mlなので50%になる。

モータ及びギアユニットは部品として購入する事が出来る。
品番はR35346で5千円前後である。

RedSeaのReefDoseはUS$320前後だが、国内で買うと5.5万円くらいに跳ね上がる。
これは為替レートが110円位の時なので、円安が続けば国内価格は上がるだろう。
DP-4は現在はUS$80位、国内価格は1.7万円前後だが、当時US$60位で買った覚えがある。

DP-4の時刻設定とキャリブレート

DP-4の設定は以下のようになる。
最初に電源を入れると日付と時間が正しくない筈なので、これを合わせる。
カーソルキーの中央にあるボタン(仮にエンターキーと称しておく)を押すと、Set Date & Time
とSet Programと表示される。
ここでは日付と時間を合わせるので、Set Date & Time<としてエンターを押す。

カーソルキーを使って日付と時間を合わせ、エンターキーを押して完了である。
ESCキーで初期表示に戻る。

初期画面からカーソルキーの上又は下を押すとキャリブレートモードになる。

キャリブレートしたいポンプの番号にカーソルを合わせてエンターを押す。
ポンプ番号が8まであるのは、拡張ユニットを購入すると8台までのポンプ制御が可能なためだ。

キャリブレートモードでは100mlの吐出を行う時間を計る。
実際の添加剤や配管を使用し、送液を受けるためのビーカやメスシリンダを用意する。
レスポンスの良いディジタルスケールがあれば、それで重さを量る事で100mlを知る事も出来る。
(比重が1の液体の場合)

カーソルキーの↑を押すと送液が開始される。

100ml=001の001の部分がカウントアップしていく。

100mlの送液が行われたら、カーソルキーの↑を押してポンプを止める。
その時の表示は200前後になっているはずだ。

これでキャリブレートは完了である。
キャリブレートは実際の設置条件を模すべきで、チューブの長さや引き回しが異なると吐出量が変わってしまう。

私はエア抜きバルブ付きの洗浄瓶を使っている。

これは机の上に置いているが、実際に設置する場所でキャリブレートした方が良い。
瓶からポンプまでの高さ、距離、パイプ内径によって吐出量が変わる。
エア抜きを十分に行い、キャリブレートを行う。

ワンステップがおおよそ0.5mlくらいになる。

何度か試してみると、送液量の誤差は±0.3mlくらいになった。
1回の添加量が10ml程度であれば誤差は相対的に小さくなるが、1mlの添加となると誤差は無視できなくなる。
従って添加量が10ml以上になるように、添加剤を希釈する必要がある。
特に高濃度の添加剤や、水槽水量が少ない場合には添加量自体が少なくなり、精度が怪しくなってしまう。

水の場合はそのまま重さで換算できるが、比重の異なる添加剤などの場合は補正が必要だ。
補正しなければならないほどの吐出量精度があるかという問題もあるけど。

長期安定度を見るのであれば、CH1で吸い上げた水を溜めたカップの水をCH2で元に戻すような配管にして、両方のカップの水量に変化が無いかを確かめる方法がある。
ただしどちらのチャネルに誤差が出たのかは確認できない。

チューブは内径3φのものを使っている。
添加量からすればもっと細いチューブでも良いが、太いチューブは適さない。
チューブが太いと内部にエアが入った場合に抜けにくいし、チューブを下に向けた場合に表面張力に負けて液体が落下してしまう可能性がある。

4φのチューブはRedSeaからカラーチューブが発売されている。
各3m×4色、アクセサリが付いて6千円前後だ。
シリコンチューブの小売価格は1m単位で買うと400円位するので、極端に高額とは言えない。
ただ10mで買うと1,500円位なので、それと比較すれば高い。
なおチューブは透明か半透明のものが良い。
内部の液体の状態、チューブの汚れ、エアが入っていないかなどが分かりやすいからだ。

添加量の設定

添加量は、どれだけ添加するか、何時に添加するか、何回添加するか、何日ごとに添加するかの設定が可能だ。

エンターボタンを押し、矢印キーを使いカーソル(<)を SetProgram側にする。

どのポンプの設定を行うかを選択する。

一日何回添加するかを設定する。
複数回を設定した場合は、添加時間の設定と添加量の設定も、それぞれに対して行う。

何日に一度添加するかを設定する。
ゼロにすると毎日動作、1にすると1日おきに動作する。

1回動作あたりの添加量を設定する。
最小は1mlなのだが、誤差は規定されていない。
一定の誤差があるので、吐出量が多いほど相対的に精度が上がる。

何時に添加するかを設定する。

1日複数回の添加を設定した場合は、添加量と添加時間の設定がその回数分だけ表示される。

ヨウ素など酸化力の強いものは、それ用のチューブを使う必要がある。
一般的なシリコンチューブでは、ヨウ素がチューブを透過してしまう。
3%程度の過酸化水素水はシリコンチューブでも大丈夫だったが、ヨウ素はダメだった。
ただし即座にダメになるわけではないので、数ヶ月ごとのメンテナンスを許容するのであれば使う事が出来る。

RedSeaのIODINE+は透明な液体で、シリコンチューブに対する攻撃性は少ないそうだ。
三ヨウ化物を主成分とするものだと褐色になる。
ポビヨンヨード(三ヨウ化物)の使われているものは酸化(殺菌)作用が強いが、IODINE+はポビヨンヨード系ではない。
ただポビヨンヨードが有効だとする記述もあるので、RedSea(ヨウ化カリウム?)のものの有効性がどうなのかはよく分からない。

ヨウ素はポリプロピレンやポリエチレンなどに染み込む。
PTFEには殆ど染み込まず、シリコンチューブの接続用に使っていたPTFEチューブに色は付かなかった。

シリコンチューブは酸或いはアルカリにも弱い。
送液チューブとしては各種あるので、添加剤に応じたものを使うようにしたい。

ポンプの交換用としてはノープレン(ノルプレン)チューブが使われる。
これもいくつか種類がある。

にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ
にほんブログ村

コメント

タイトルとURLをコピーしました