GEXのサーモ一体型ヒータ(SH-220/セーフカバー ヒートナビ 220)は購入後に温度調整が狂い、無償交換して貰った。
交換して貰ったときには当然使用できたのだが、やがて又実際の温度と設定の乖離が起きた。
それでも狂いが大きくはなかったので継続して使っていたのだが、今年使ったら制御が効かない状態に陥った。
最初はダイヤル目盛りが狂っている程度だったのだが、そのまま使っているとヒータが入りっぱなしになった。
ダイヤルを最低温度である15℃まで回しきってもヒータは切れない。
幸いにしてクーラが作動したので魚を煮てしまうことはなかったが、危ないところだった。
水草水槽で当初使っていたGEXの温度固定型のものも壊れた。
これもヒータが入りっぱなしになった。
GEXのサーモ一体型ヒータは発火によるリコールが行われているのだが、今回壊れたものは対象外だ。
ウチにあるこのヒータ固有の故障と言うことではなく、GEXのサーモ一体型ヒータの暴走(温度制御不能)は他のページでもレポートされている。
観賞魚が全滅してしまった方もいる。
水槽用ヒータはいくつも使っているが、こんな酷い製品は初めてである。
経年劣化による断線は経験があるが、加温しっぱなしになるのは怖い。
ダイヤル部分を分解してみる
外観は比較的コンパクトでカバーに入っている。
カバーは簡単に外すことが出来る。
サーモコントローラのダイヤル部分はネジで留まっているので、このネジを外すと基板が見える。
電線接続部はシリコンが充填されているが、写真ではシリコンは排除したあとだ。
当初このダイヤル部分に回路が組まれているのかと思ったが違った。
ここは可変抵抗とヒューズ、バリスタ、LEDと抵抗が入っているだけだ。
動作時に点灯するLEDはヒータへの電流を見ているのか?LED用に配線が来ているわけではない。
配線まで見ていないがACの片側と温度調整VRの片側を使う、なんて面白そうなことをやっているかも知れない。
ここに部品がないとすると本体側に回路があるのか。
本体側はシリコン充填されていて分解が面倒だ。
本体側を分解する
本体側のカバーは爪で止まっているだけなので簡単に外すことが出来る。
長い方がヒータで、短い方に回路が入っている。
当初はダイヤルの付いている部分に回路があると思っていたので、なんで温度センサがこんなの大きなガラス管に入っているのかなと思っていたのだが、回路はここに入っているのだ。
2本のガラス管は接着されているが、コジると剥がれる。
プラスチック部分に充填されているシリコンを剥がしていく。
これが結構面倒で、途中まで剥がしてヒータの線を切断した。
サーモコントロール回路の入っている、小さい方のガラス管がこれだ。
これもシリコンが充填されていて、これを掘り出すのは大変だ。
まずは銀色のシールを剥がす。
このシールは遮熱板の代わりだろうか?
シリコンを掘り出すのが大変なので、力を加えて割ることにした。
シリコンでくっついているのでガラスが飛散することはない。
割れたガラスをラジオペンチで引っ張りながら剥がしていく。
これまた大変で、ガラスが取れても更にシリコンを剥がさなければいけない。
シリコンが焦げている…
シリコンが焦げるのだから、それなりの温度になった訳だ。
焦げた箇所は少なくとも2箇所あった。
ピンセットなどを使いながらシリコンを除去した。
5.6kΩの抵抗が見えるが、これはAV100VからICの動作電圧を作るためのドロップ抵抗だろう。
電圧を抵抗でドロップさせ、半波整流してから電解コンデンサで平滑する。
多くのサーモ用ICは似たような電源回路だ。
センサはサーミスタではなくダイオードかな。
シルクがTHだからガラス管封入のサーミスタかな。
見た目からするとこれと同じ感じだ。
半田面には温度制御用のICとサイリスタ(トライアック)と思われるものが実装されている。
トライアックの型番は見えなかった。
シリコンの焦げはトライアックの近くだったので、これが発熱したのだ。
なおトライアック自体は短絡していなかった。
制御用ICの型番は不明だ。
ICの電源を作っている辺りの部品にも目視で異常はない。
電解コンデンサは85℃品だが、トライアックとは離れているので、そこまで温度は上がらないと思う。
NISSOでも同じなのだが、サーモコントローラの回路はかなり長期にわたって使われる。
横浜時代に分解したサーモコントローラと、最近購入したものでは同じICが使われていた。
IC自体の品種が少ないこともあるが、設計の変更は余程の不具合でもない限り行われないのだろう。
だとするならば、GEXのサーモ一体型ヒータの信頼性は悪いままなのか?
最近になって2年補償を謳うようになったのは、やはり1~2年での故障率が高いと言う事か。
ウチではGEXの単体サーモも使っているが、これは壊れていない。
ただしいつ壊れるか分からないという不安があるので、逐次廃止していこうとは思っている。
ヒータ部分を分解してみる
開口部にはシリコンが充填されている。
内部はマグネシア(酸化マグネシウム)の粉末が充填されている。
NISSOのヒータでは充填剤無しでニクロム線が入っているものもある。
酸化マグネシウムは40W/mK~60W/mkと熱伝導率が高く、良好な絶縁性を示す。
ヒータ部分はごく常識的なものだ。
この大きさで220Wなので、中華ヒータの半分くらいの長さ、1/3位の容積だ。
ニクロム線は比較的細く、全長は短い。
高温になりやすいが、マグネシアの熱伝導率で放熱を助けている。
それでも夜間など真っ暗にして水槽内を見ると、ヒータが赤熱しているのが分かる。
マグネシアの入っていない中華製は、太めで長いニクロム線がそのままガラス管に入っている。
マグネシアはサラサラした粉だ。
ヒータの断線など、温度が下がる方向の故障に対してはヒータの二重化で対処できる。
しかし温度が上がる方向に対する保護は難しい。
30℃位の温度スイッチを付けるとか、サーモの二重化をしている人もいる。
ウチではWi-Fi温度計経由でスマートフォンに通知が来るが、家を留守にしている時には何も出来ない。
故障とその保護を考え出したらキリがないわけだが、消極的対策としてはGEXのヒータ類は使わないことになる。
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