元々は付いていなかった、ステアリングのマルチファンクションスイッチ(MFSW)を有効化した。
有効化は通常のコーディングではなく、VO(Vehicle Order)情報の書き換えが必要になる。
従来はe-SYSなどのソフトウエアでこれを行っていたが、e-SYSとPSdZData、e-SYSのフロントエンドとなるランチャーアプリを揃える必要があった。 これらはソフトの入手が難しいとか、ライセンス料を払ってもランチャーソフトの有効化コードが送られてこないなど、技術面以外でも難しいところがある。
コーディングにはBimmerCodeアプリを使っていたのだが、BimmerUtilityアプリはこのアプリだけでVO書き換えが完結(e-SYSは不要)する事が分かり、アプリを導入した。 書き換えは非常に簡単で、書き換え可能なオプション一覧が日本語表示されるなど、使い勝手は悪くない。
ただし翻訳がちょっとアレで、[VO]書き込みが[音声]なんて表示される。
VOをVoiceの略だと翻訳ソフトが思ったのだ。
BimmerUtilityアプリで書き加えるVO(FA)は、MFSW付きステアリング(コード249)とDCC(コード544)である。 おそらくコード255(革巻きステアリング)は実装されていると思うが、これを消す必要はない。
(消しても良い)
最初はスマートフォンからこれらVOを書き加えていたのだが、うまく行かなかった。
何が悪いのか理由も分からず、BimmerUtilityをPCで動かしてエラーを見てみた。
スマートフォン版より画面が広いので、PC版の方がエラーなどが見やすい。
エラーはMFSW自体を示しているのだが、それが何に起因するのかが分からない。
そこでBimmerCodeアプリで、既に行ったコーディングをイニシャライズしてみようかと思った。
コーディング側でもMFSWステアリングに関する項があり、変更していたからだ。
スマートフォンを接続してBimmerCodeアプリを起動すると、「エラーがあるからバックアップに戻すけど良いかな?」とメッセージが出たので、Yesをタップしてイニシャライズした。 これによりBDC(ボディードメインコントローラ)の変更箇所は全て消え、オリジナルに戻された。
この状態で今度はBimmerUtilityを起動し、VO書き換えを行ったらうまく行った。
e-SYSでの書き換えでは各モジュールのイニシャライズ作業が必要になる。
当初BimmerUtilityでもモジュールのイニシャライズが必要なのではないかと、サポートに聞いてみた。
サポートからは以下が返信された。
Hello, navigate to the module(s) and hit VO code.
BimmerUtilityではVO書き込みを行うだけで良いよと言う事か。
DTC(DiagnosisTroubleCode)も日本語で表示されるし、勿論クリアも出来る。
コーディングが初期化されたので、再度BimmerCodeアプリから設定をし直した。
ENET有線接続なので、伝送も高速でストレスなく書き換えが出来る。
なお一度書き換えた後はアプリを終了し、再度起動するところから始めないとエラーになる。
Bluetooth接続(CAN)では連続して作業が可能だったので、ENET接続の場合は車両側にリセットがかかったことによってIPアドレスが振り直されるなど、何かあるのだろう。
VO書き換え時にコーディングデータを初期化するショップが多いが、コーディングに矛盾がある場合はVO書き換えが出来ない。
コーディングによっては初期化以外では(完全に)元に戻せない項もある。
つまりABCD項のnicht aktivをaktivに変更していたとして、これを再度nicht aktivに書き換えたとしても、それで全てが元の状態には戻らない場合がある。 例えとして適切ではないかも知れないが、WindowsにABCDというソフトをインストールしたとする。
その後ABCDをアンインストールしても、一部のDLLやレジストリデータが残ってしまうようなものだ。
BimmerCodeアプリでは最初の起動時にバックアップが作られる設定なので、バックアップさえ持っていればいつでも初期化が出来る。 管理が面倒にはなるが、都度バックアップを作っておけばその時点まで戻ることも勿論出来る。
簡単に書いているが、実際には手探りで行ったので2時間くらいかかった。
VO書き換えとコーディング戻しだけなら10分あれば済んでしまう。
スマートフォンにENETを接続している状態からPCに接続し直すときは、車両の電源を落として待つ必要があった。
おそらくIPアドレスが振り直されるようになるまで、少し時間が必要なのだろう。
PC⇒スマートフォンへの付け替えはすぐに出来るのだが、スマートフォン⇒PCの場合は車両の電源を切って数分待つ必要があった。
ショップ系YoutuberやBlogを見ると、「ウチは凄いんだぞ、こんな事も出来るんだぞ」と書いたり言ったりしている。
しかし実際にはその内容を見せていないところが多く、次回の動画でお見せしますと言うだけで、実際にはその話は忘れてね、みたいな。 通常のコーディング程度なら誰でも出来ると思うが、VO書き換えとなると(少なくとも従来は)ソフトウエアの面も含めて難しかった。 なので、実際には外注しているのかも知れない。
そうしたショップではコーディングに関しても間違ったことを言ったり書いていたりするので、ショップだから大丈夫だとは言い切れない部分もある。
MFSWの追加装着はショップに依頼すると5〜7万円だそうだ。
純正スイッチだけで3万円以上すると思うので、あとはコーディング代と言う事になる。
今回のMFSW増設で、私にとって最も難しかったのはエアバッグユニットの取り外しだった。 なおこれら一連の作業に関して、Blog_Nにまとめる(新たなことを書く訳ではない)予定である。
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