トヨタの変なもの

記事によれば「このサメ肌により、サイドミラーまわりの空気が剥離しにくくなり、乱流の発生を抑制できる。」とある。
ゴルフボールのディンプルの小さいようなものと考えれば良いかな。
ドアミラーに表面がザラザラのアルミ箔を貼るのだそうだ。

効果に関しては『実際に影響は計測したとのことで、その効果は「最高速度は1km/hアップしました。空気抵抗係数も計測しましたが0.0005下がっています」』だそうだ。

トヨタの空気抵抗測定器の精度は凄い。
通常空気抵抗の測定はロードセルなどで空気抵抗を直接測るのだが、空気抵抗とは渦の集まりみたいなものなので、常に変動している。

精度を高めるためにその渦を観測する(光学空気密度計測)とか、気流の音(密度変化)を計測するなどする装置もある。
いずれにしても再現性を得るためには値の平均化や、最近では機械学習を用いた推測も行う。
こうした積み重ねによって分解能が向上し、数年前には論文レベルではあるが空気抵抗係数0.001を(再現性のあるデータとして)計測できる(確度としては±0.005前後だったらしい)とした。

トヨタの計測はこの1桁上を測ったわけだから、相当なものだ。
風洞はそれ自体も誤差要因となるため、気流の平行性というか均一性を得るには大きな装置が必要になる。
被測定物が小型のものの場合は小型風洞の方が精度を高めやすいのは、気流のコントロールや絶対風量が小さくて済むからだ。

記事では最高速度が1km/h上がるとなっているが、200km/hに対して1km/hなのか?300km/hに対して1km/hなのかは不明だ。
記事中でアルミ箔効果に関して聞いているが、CD0.0005の違いが分かる計測装置を以てしても「そのあたり(注:アルミ箔効果)についても聞いてみたが、「その効果も狙っていますが、数字としては確認できていません」との事で、中々面白い。

ところで、何故これをボディ全体とか、渦の発生しやすいリア回りとか、ホイールやタイヤに貼らないのだろう?

以下はこちらのページより引用したものだ。

こちらはホンダの風洞実験装置の説明だ。
温度変化で空気密度が変わってしまうので、温度制御も重要だと書かれている。

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