トヨタのアルファードなどでオルタネータにリコールがかかった。

オルタネータのプーリに内蔵されたワンウエイクラッチが不良になるというものだが、これって結構前から寿命が短いと言われていたものではないのかな。
何故オルタネータにクラッチなど付けたかというと、慣性負荷低減や充電制御との兼ね合いからだ。
充電制御に関係すると言ってもクラッチコントロールで発電量の制御をするのではない。
充電制御された状態のオルタネータ負荷は軽く、エンジン回転数が低下した時にオルタネータのイナーシャで、ドライブベルトに通常とは逆方向のテンションが加わり、場合によってはベルトスリップが起きてベルト寿命が短くなる。
充電制御されていない車両でも、バッテリー電圧が上がっている状態では同様のことが起きうる。
充電負荷が重い場合はオルタネータには負荷がかかっているので、エンジン回転数の低下と共にオルタネータの回転数も下がる。
しかし無負荷で回転している状態だと、オルタネータによってエンジンが回される方向のトルクがかかる事がある。
だったらエンジンの回転数変動時に、それに見合ったオルタネータ負荷をかければ良さそうなものなのだが、制御が難しいのかな。
輸入車でもクラッチ付きのオルタネータは使われていて、故障もない訳ではない。
OEM品などは良く確認しないとワンウエイクラッチ無しのものもあったりするし、ワンウエイクラッチの付いたプーリーだけが交換部品として出てくる場合もある。
ただしプーリーを抜くのは結構大変なものもある。
(ネジで取れる構造のものもある)

オルタネータプーリとクランクプーリの増速比は2:1位(エンジンによって異なる)なので、オルタネータはそこそこ高速で回転している。
なのでワンウエイクラッチを入れた方が良いわけだが、クラッチ部分の機構そのものの耐久性も問題になるわけだ。
ミニはR型はワンウエイクラッチ内蔵プーリだったが、F型はどうなのかな。
発電容量は180A、ジムニーが60Aだと思うので結構違う。

アルファードは130Aのものが使われているそうだが、社外品の強化型と称される150A品の方が新品価格が安いのだそうだ。
大容量オルタネータを付けるとバッテリーが過充電で爆発するぞ!なんて言っている人もいるが、爆発しないのでご安心を。
ワンウエイクラッチは寿命が長くなくオルタネータ交換は手間なので、あえて通常の(クラッチ機構のない)オルタネータに交換する整備工場もあるという。
クラッチレスプーリだとドライブベルトが傷むと言われるのだが、どうやらワンウエイクラッチの方が弱いらしい。
ジムニーではオルタネータは3回交換している。
リビルド品が壊れて2度無償交換になったからだ。
リビルド屋はオルタネータが悪いのではなく車両が悪いと言っていたが、3回目に送られてきたものはその後壊れる事は無かった。
そもそも車両側の何が悪いとオルタネータが壊れるのだろうか?
このジムニー用も強化型とされていて試験成績表も付いて来た。
なので怪しげなリビルド屋とは思えなかった。
ジムニーには電動ファンを追加していたのだが、夏場にその電動ファンを回し、クーラの風量をMaxにすると電圧が12Vギリギリまで下がった。
ブロワモータは結構電流が流れるようで、軽自動車クラスでも15A前後だとか。
電動ファンの消費電流は7A~10Aなので、これら合計で40A近くになるのかな。
これ以外に燃料ポンプだとかイグナイタやインジェクタ、その他もあるので60Aはギリギリなのかも知れない。
電流容量を80Aにアップしたものがあり、能書きは以下のようになっている。
エンジン高回転域における点火の安定により、エンジンオペレーションの安定化にもつながります。
また、電力不足による様々な症状の改善に役立ちますので、電気を多く使うシーンでも、より安心・快適なドライブをお楽しみいただけます。
これから電装品の追加を考えている場合も、発電に余裕があれば安心して電装品を追加できます。
走行中バッテリーから電気の持ち出しが発生しているような場合、オルタネーターの出力アップにより持ち出し分の電力をカバーできますので、バッテリーの負担が減ることで、バッテリーの長寿命化にも影響します。
純正オルタネーターでは物足りない方にオススメです。
ジムニーでは夏場にクーラのブロワ全開が当たり前で、電力消費も大きい。
エアコンのキャパシティの問題、グラスエリアが広く良好な視界と引き換えに直射日光が容赦なく車内を照らす、断熱材などが余り使われていないなどで、夏は暑い。
ジムニーは軽自動車でグラスエリアが広い割には冷房が効くな、程度には思った。
ブロワー全開なら真夏でも乗っていられるのだが、ブロワの音でラジオの音はかき消される。
ジムニーでハロゲンヘッドライトを点灯し、ワイパーも動かせば追加電動ファンがなくても赤字ギリギリかな。
余裕を持ちすぎる設計は、コストにも車重にも燃費にも悪影響になる。
補助灯やハイパワー&低効率オーディオアンプを付ける人も減っただろうから、さほど余裕は要らないのかも。
オルタネータプーリーは他社でも問題を起こしている。
日産の場合↓
日産は2023年9月28日、オルタネーター(発電機)に封入されているグリスの耐熱性能が不足しているため最悪の場合、車両火災に至るおそれがあるとして、セレナならびにOEM提供車のスズキ・ランディの2車種 48,360台のリコール(回収・無償修理)を国交省に届け出た。
マツダは保証期間の延長
ディーゼルエンジン車のオルタネータにおいて、プーリー内部に封入したグリースの耐熱性が不十分なため、低車速での加速と減速の繰り返しや、エンジンの始動と停止を繰り返す運転を頻繁に行うと、グリースが早期に劣化して異音が発生することがあります。また、そのまま使用を続けると、プーリーが損傷してオルタネータによる発電ができなくなり、充電警告灯が点灯することがあります。
このため、当現象については、下記の通り、保証期間を延長いたします。
いずれもグリスの劣化によりワンウエイクラッチが不良となるのだそうだ。
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