電動インパクトドライバ(3)

中華電動インパクトレンチを買う事にした。
ONEVAN製にしたのだが、このメーカのハンディブロワも使っている事から酷い嘘はないかなと思った。
ブロワに関しては、販売店広告の最大風速200m/sも、15万回転もウソである。
なので1200Nmも嘘だろうが、RYOBIの代替としては300Nmも出ていれば良い。
他にはSeeSiiは最近良く聞くブランドで、Amazonで買っても余り価格は変わらない。
過去にはPROSTOMERやHandifeが絶大な評価を受けている時期があったが何故か今は消えた。

ONEVANもSeeSiiも古めのものは実トルク値が公称トルク値の1/2~1/3だったが、簡単に嘘が見破られるようになったからか?最近は多少は誇大表現が減っている。
たとえばこれは重さが890gで1600Nmを誇る。
最近のモデルは重さが1.1kgで700Nmのカタログ値になった。
1300Nmのモデルは1.7kgなので、1600Nmのモデルの嘘くささが分かる。
ONEVANの1200Nmモデルの重さは1.8kgとなっている。

中華メーカはプロモーションに力を入れていて、Youtuberが一斉にそのメーカを宣伝し始めるのは良くある事なので、まあ話半分くらいに見ておいた方が良い。
海外系Youtuberではトルク測定を行ったりしているが、測定器が高額なので日本のYoutuberは中々手を出さない。
またプロモーションだと複数機種の比較も出来ないので、単独のインプレッションで凄い!鬼トルクだ!と紹介する動画になってしまう。

中華ではブラシモータの事を平気でブラシレスモータと呼んだりする。
↓は2千円で買えるインパクトレンチで、ブラシレスモータと速度の連続可変を謳っている。

これのレビューで分解写真を投稿している人がいたが、どう見ても(小さな)ブラシモータだ。
RYOBIのものはブラシ交換が可能な仕組みになっていたが、この中華製のモータはラジコン用?みたいな。
トリガスイッチの所にPWM制御回路が入っている可能性がちょっとだけあるが、発熱を考えると無理がありそう。
とすると、単なるON/OFFのスイッチかも知れない。
ブラシモータでも良いのだが、これってインパクト機構は付いているのかなぁ??

こんな調子なので、無名メーカのものはキケンがアブナイ。

ONEVANは海外の動画ではワンバンと呼ばれているが、日本人だとローマ字読みなのか?オネバンと言っている人がいた。
これを聞いて、過去のASUSの読み方の謎を思い出したのだった。

今はデザインがマキタとは異なるのだが、以前のONEVANはマキタデザイン丸パクリの筐体に、ONEVANのロゴを入れたものを作っていた。
当然中身(メカ部品)もマキタ同様だったが、モータ制御系は独自(中華スタンダードのパーツ)だったとか。
数年前は安かろう悪かろうのパクリメーカイメージだったが、マキタデザインから独自(なのかな?)デザインを採るあたりから、誇大仕様が少しマシになった感じもする。

ONEVANが良いという事ではないが、良く聞く?(マキタのコピーで有名になった?)メーカなので、いわゆるノーブランド(一時的なブランド名を付けただけのもの)よりはマシかな、程度の感じだ。
ONEVANはバッテリーユニットも作っているのと、バッテリーユニット自体はBMS内蔵で普通に作られているので、多少安心感はある。

マキタバッテリー(インタフェースと物理規格)はデファクトスタンダードだ。
日本のメーカは互換性排除が大好きで、従来型携帯電話の頃は充電器すらメーカが異なると使えない仕様だった。
一方でグローバルな市場で見れば、多く使われているものが事実上のスタンダードになっていく。

マキタのバッテリーも、マキタのバッテリーを使う機器も、色々な互換品が売られているし偽物もある。
写真はマキタ純正品で、18650を2並列にしたものが5ユニット直列になっている。
BMS内蔵でバッテリーユニットの出力電圧が14.5V(セルあたり2.9V)以下になると出力を遮断するタイプのものもあるし、過放電制御は負荷側(電動工具側)に任せ、バッテリー側では制御していないものもある。
マキタの初期型14.4VバッテリーにはBMSが付いていなかった。

ONEVANのブロワ付属の928Vfバッテリーは18Vタイプで6Ah表示だったかな。
makita純正バッテリーに比較すると高さがあるのは、18650の3並列だからだ。

ONEVANのバッテリーの内部抵抗は約90mΩに対して、makita純正バッテリーは新品ではないにもかかわらず70mΩと低かった。
(交流微少抵抗計による測定値)

筐体を見て想像できると思うが、物理的強度が全く違う。
落としても蹴飛ばしても壊れない強度を持つマキタに対して、衝撃を加えればすぐにヒビが入りそうな928Vfバッテリー。

バッテリーパックは単品でも色々売られているが、セットだと割安で買う事が出来る。
なのでバッテリーは588Vfが2個付属するものを注文した。

マキタ互換バッテリーはバッテリーの出力端子の他に信号端子の付いたタイプを(一般的には)言うと思うのだが、88Vf/98Vf/128Vf/388Vf/588Vf/928Vf(18650の並列数やセル容量が異なる)は、電圧出力端子と形状は互換だが信号互換ではない。
従ってマキタの急速充電器では充電が出来ないし、マキタの電動工具には使えない可能性がある。

ただ充電制御回路だとか温度検出やセルバランサなど、一応ちゃんとした回路は付いていて過放電保護も行っている。
出力端子からの線が細いのは大いに気になるが…
第Ⅰ世代のものはデバイス数が多かったが、今はワンチップのBMSデバイスになっている。

セルは公称2Ahのものなので、3並列ではあるが実容量としては6Ahに留まる。
マキタ純正では3Ahのセルを使ったものがあり、2並列で6Ahを実現している。

128Vf/388Vf/588Vf/928Vfには充電回路が内蔵されていて、外部から25V程度を印加すると充電されるが、急速充電ではない。
更に最近の中華バッテリー(特にメーカ製)の特徴で、100%まで充電しない仕様が増えている。
5セルだと21Vが最大電圧になるが、19.6V位で充電が止まるものがあるとの事。
100%まで充電しない制御のものは表示容量より実容量が少なくなる一方で、寿命と安全性が高まる。
充電には数時間かかるので、中華バッテリーのみで使用する場合は予備のバッテリーは必須である。

マキタ純正バッテリーはBL1860B(18V/6Ah)で1.6万円前後、保証付き互換品が1万円前後、中華ノーブランドが3千円~5千円と言ったところ。
928Vfは3千円~5千円の価格帯になるが、6Ahと書かれたものあり9Ahやそれ以上のものもあったりと色々だ。
中華ものの常で18650のバッテリー容量×本数で、30Ahなどと表示しているものもある。

マキタ互換バッテリーはマキタの純正充電器で充電できる。
しかしDC18RFではピークで10A程度の充電電流を流すので、互換バッテリーによってはトラブルが起きる。
互換充電器の場合は最大電流が3A前後なので、互換バッテリーにも優しい。
その反面充電には時間がかかるのだが、互換バッテリーを使う際には互換充電器を使わないと危険な場合がある。

EVの失速でLi-ionバッテリー価格が下落、18650にもその影響が出ている。
今後大容量セルの価格も下がると言われている。
一方で安全性を重視したLiFePO4人気が高まり、中華メーカはLi-ionバッテリーを使いながらLiFePO4表示をして売っているモバイルバッテリーや、ポータブル電源がある。

ウチにはハンディブロワ用の928Vfバッテリーや、多少容量は減っているが純正バッテリーもある。
中華電動機器が増え、マキタ互換というかマキタタイプのバッテリーも増えてきた。
ちなみにハンディブロワはフルパワーで使うと10分位しかバッテリーが保たない。
ハンディブロワの消費電力は2kWで、そこそこ風量はあるが電力消費量はダイソン並みで、本体もバッテリーも発熱する。

ハンディブロワは1.5kW~4kWまで販売されているが、4kWタイプは18650の3並列タイプのバッテリーでないと動作させる事が出来ない。
ダイソンの掃除機は18650の6本直列だが、MAXモードで使うと5分位しか使えない。

インパクトレンチの最大トルクは公称1200Nmなのだが、実際のトルクは不明だ。
インパクトレンチの公称トルク値は目安にはなるが、ピークトルクの出ている時間は短い。
エネルギとしてみればトルク波形の積分値という事になる。
ピークトルクを大きくするには、回転数を上げるかハンマーを重くする。
時間平均トルクを上げるには時間あたりの打撃数を多くするが、そうするとピークトルクを上げにくくなる。

購入したインパクトレンチのモータは1.1kWだそうで、そこそこパワーはあるのかも。
一応パワーコントロールが付いているが、エアインパクトのようなちゃんとしたピークトルク制御ではなく、モータの回転数を変化させて時間あたりの打撃数を変えるだけの仕様なのかな。
このあたりはエアインパクトやブラシモータタイプのようには行かない。

最初はもっと低トルクで軽いものをと思ったのだが、売れ筋商品ほど価格が安いのか?300Nmクラスのものは割高だった。

低トルクタイプはバッテリーパックが小容量型(18650×5直列)になり、連続動作時間が心許なくなる。
連続使用ではモータ部分の発熱が大きいとのレポートもあるので、あくまでもアマチュア用でありプロ用のツールではない感じだ。

小さく軽いインパクトドライバが欲しくなったら又考えるという事で、今回は1200Nmのものにした。
中華カタログトルク値が150Nm~500Nm程度のインパクトドライバだと、バッテリー無しで3千円前後、なので軽いものが欲しくなったら買えばいいかなと。

RYOBIの電動インパクトではφ10の木工用ドリルでも結構厳しくて、φ30の木工用ドリルだと刃が木材に中々入っていかない。
数年前、未だバッテリーがさほど弱っていない時にφ30の穴を開けていると、その途中でバッテリー切れになった。
インパクトドライバ自体もかなり発熱した(回転数が上がらないので内部のファンでの空冷効率も落ちる)ので、トルク的に無理があったのだ。
なので実力値として300Nm位は欲しいかなとは思った。
なおドリルの刃はインパクト用と連続回転用で、刃先が違う。
配達されてきたらまたレポートする予定だ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました