カブアンド問題

まずはじめに、基本は自分で考えること。
BlogでもXでも投資を勧めるアカウントは沢山ある。
投資詐欺はダイレクトに金をだまし取る訳だが、それ以外にも投資を勧める系や副業系は山ほどある。

詐欺ではない投資アカウントにしても何が何でも投資させたい、何が何でも株を買わせたい、飯なんか食わないで投資をしろ、車を買うよりまずは投資だ、マンションを買う金があったら投資しろと狂ったように勧める。
それは何故か?
そんなに投資したいのだったら自分がやればいい話で、他人を引き込むことはない。
それでも投資だ投資だと叫ぶのは、それによって勧誘者にメリットがあるからだ。
これは証券会社の営業マンも、投資用マンション売りも、投資詐欺師も同じなのである。
↓は医者を名乗る投資アカウント、AI画像がバレて恥をかく。

カブアンドはサービス開始から1年が経過したようだ。
そんな中、と言うよりも1年前から言われ続けて、前澤氏も鬱陶しく思い始めたのか?
ITmediaは以下のように書いている。

さらに翌11月1日には、「我慢の限界です。削って僕が5個出たら10万円あげるので誹謗中傷はやめてください!」と、自身が関わるイベントでのやりとりと絡めながら、改めて誹謗中傷の停止を強く訴えた。これは、自身に向けた批判だけでなく、カブアンドのサービスを利用し、同社の成長を支える人々への配慮を求めるメッセージと受け取れる。

ようするに、カブアンドのビジネスモデル批判が後を絶たないという事だ。
何が誹謗中傷に該当するかだが、同記事は以下のように書く。

前澤氏は、カブアンドの顧客や株主を「ビジョンを共有する大切な仲間」と位置付けており、「その仲間を『情弱』だの『信者』だの侮辱する行為は断じて許しません。粛々と法的手続きを進めます」と、法的措置の具体的な進行を示唆した。

ビジネスモデルを批判するのは誹謗中傷には該当しない。
しかし情弱だ信者だというのはけしからんと言うことになる。
ただこれを訴えたとして、訴えは認められるのだろうか?
訴えを認めて貰うためには、前澤氏自身が正直にビジネスモデルを語る必要※1がある。

某政治家もXで叩かれると開示請求するぞと言っている。
政治家とか芸能人とか著名人は叩かれてナンボと迄は言わないけれど、ある程度は仕方がないと思う。
政治家など反論する機会はいくらでもあるので、反論するなり潔白を証明するなりすれば良い。
詐欺広告に使われるとなると話は別なのだが、そうでない限りは自ら説明すれば済むことではないだろうか。

カブアンドでは支払額に応じて株が貰える。
楽天なら支払額に応じてポイントが貰える。
ポイントはすぐに使えるが、株を貰っても得をするか損をするか分からない、それに対して喜んでいるからオマエは情弱だ、と言ったとしてもそれは個人の感想だ。

うまい事を言って客を集めるのは商売の基本だ。
騙すつもりで上手いことを言えば詐欺になるが、例えそうであったとしても立証は極めて難しい。
客を集める段階で騙すつもりがあったかどうかなど、客観的に証明がしにくいからだ。
みんなで大家さんだって、騙すつもりではなく単に事業に失敗しただけかも知れない。

事業がうまく行って予想通りの配当を手に出来れば成功者と呼ばれ、元本すら戻ってこなくなると情弱と呼ばれる。
みんなで大家さんとカブアンドの違いだが、みんなで大家さんは土地を貸して利益を得るという分かりやすい利益構造だ。
出資金で土地を買いますよ、その土地を企業に貸しますよ、その賃料をみんなに分配しますよと言っている。
これは土地をコインパーキング運営企業に貸す、みたいな話の大型判なのと利回りも非常識なものではないので、実現性が高いと思える。

カブアンドの場合は支払金額に応じて株をあげますよと、ここは良い。※1
これだけなら良いのだが、上場すれば株価が上がって儲かりますよと言う(思わせる)からおかしくなる。
なぜなら貰った株の価値が上がる理屈が無理矢理だからだ。
株をどんどん配れば価値は希釈されて単価は安くなる。
これに対して前澤氏は、サービスはスケールメリットがあるので利用者数が増えると利益率が上がり、結果として企業価値が上がって株価が上がると言っている。
これも、これだけを聞けば確かにそうかなと思うのだが、前澤氏は国民全てを株主に、つまり限界まで利用者を増やすとも言っている。
これは無限連鎖みたいな話であって、永久機関と同じくらい嘘くさくなってくる。

利用者数が2倍(発行株数が2倍)になって仕入れ原価が1/2以下(経常利益が2倍以上)になれば株式価値が上がるが、現実問題としてそうは行かない。
カブアンドの扱う電気もガスも通信会社にも原価が存在しているからだ。

パンを1日に1個作るには1斤あたりの材料費が1,000円かかりました。
パンを1日に100個作ると、材料が安く買えて1斤辺りの材料費が200円になりました。
原価千円のパンを2千円で売るので従来の利益は千円、しかし100個作ると利益は18万円、何と180倍です!
とやるのがフィナンシャル何ちゃらだ。

しかし100個作るための設備投資とエネルギコストと人件費を含めると、利益は2倍にしかなりませんでした。
これが一般的な商売であり、この例で行けば顧客数(発行株式数)は100倍になり、会社の利益は2倍に増えるわけだ。
勿論設備などは資産になるわけだから、会社の資産は増えるが償却資産が増えてもあまり面白くはない。
だからソフトバンクも楽天もEBITDAが~とやり始める。

カブアンドを肯定するページもあるのだが、その多くは”上場すれば儲かる”としか書かれていない。
何故儲かるのかは誰にも説明出来ないのだ。
上場して儲かるかどうかは上場してみないとわらない。
その時のカブアンドの業績にもよると思うし、株主数や発行株式数にもよる。
前澤氏の掲げる目標のように全国民が株主になり、サービスを利用しているとすればそれ以上は成長しない。
逆に利用者数が少なければ成長の余地は残されるものの、(使う人が少ないのだから)業績は思わしくない事になる。

九蓮宝燈氏の質問に対する前澤氏の返答だが、回答になっていない。
これまでにも度々主張を変えてきたりして、何が本当なのかが分からない。
もっとも株の上がる理由なんて誰にも分からないのだから、その理由も説明出来ないことになる。
説明の出来ない事に対して顧客を集めるから、集まった顧客が情弱だと揶揄されるのだと思う。

前澤氏が何故必死なのか?
それは前澤氏自身が筆頭株主であり、株価が上がれば多くの利益を得られるが、株価が下がると一番損をするからだ。
しかしリスクヘッジも忘れない。
株を貰うためには証券口座が必要ですよと、口座を作らせる。
これで大和証券からカブアンドにインセンティブが入ってくると言うわけだ。

顧客勧誘費用は千円から3千円くらいだそうなので、50万口座でも10億円か。
大和証券側でも新規株の発行だとか色々手間がかかるので、その分はカブアンドが負担することになる。
とは言っても新規株発行ならどの企業でも同じ支出はある。

口座開設で貰えるポイント独り占めかよと、さっそく書かれている。
カブアンドアプリから大和証券に行くと、紹介コード(口座開設インセンティブの貰える仕組み)の入力欄のないページに飛ばされ、その後通常のアクセスでもダメなのだそうだ。
別のスマートフォンから申し込めば良いとは思うのだが、多くの人はこれに引っかかってしまったらしい。

既存の他社証券口座ではダメで大和証券に新規口座の開設が必要とのこと、大和証券の口座数はこれで一気に(最大)70万近く増えるわけだ。
カブアンドがどうかは知らないが、うまい話に乗りやすい人は操りやすい。

株が上がりそうだったら株を貰う。
下がる気配が濃厚なら、そのまま放っておけば取得価格で買い取ってくれるそうだ。

※1 前澤氏、固定POSTを変更

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