充電施設の稼働率を如何に上げるか

充電スポットの料金が値上がり傾向だが、これには稼働率の低さが影響している。
ガソリンスタンドの場合は毎分30リットルのガソリンがノズルから出てくるので、例えば20km/lの車であれば1分で600km分の給油が出来る。
会計その他で2分かかったとしても、3分でガソリンスタンドを後に出来る。

ガソリンスタンドの稼働率は深夜以外では50%前後、営業時間内平均で38%程度(2022年)というのだが、これは地域によって大きく異なるはずだ。
ここの近くのJAのスタンドは価格が高いので、いつも空きがある。
伊東市のENEOSはいつ行っても待ちが発生するので、稼働率が高いと思う。

充電スポットの場合は30分間充電するのがスタンダードなので、この時点でガソリンスタンドの1/10しか客をさばけない。
ガソリンを30リットル買って貰うと4,500円位の売り上げになる。
電気を30分間買って貰うと1,400円位の売り上げ(ENEOS)になる。

稼働率100%として考えるとガソリンが1時間で9万円の売り上げ、電気が1時間で2,800円の売り上げだ。

ガソリン価格が150円/燃費が20km/lとすると、トヨタのサイトではEVの方がランニングコストが上がる。
TEEMO会員になると若干お得になる。

TEEMO会員だと150kW未満の充電設備の利用料金が30分あたり1,800円になるそうだ。
30分間の充電でどれだけの電力をチャージ出来るかは、車にもよるしバッテリーの温度にもよる。
150kWの充電器だから150kWの充電が出来るかと言えばそうではなく、30分平均として見るとそれよりずっと低い値になる。
運良く100kWの充電が出来たとして、バッテリーに貯まるのは30分間で40kWh分くらい、走行距離にして250km前後だ。
ガソリンを30分間出し続けると900リットルを超えるので、1.8万kmも走れてしまうのが凄い。
EVの1回分の充電時間があると、ICEは約2年分のガソリンが手に入る。

充電電力を大きくするにはバッテリーの温度管理が重要だ。
テスラは「出発の30分前に空調機能をONにする」事を推奨している。
テスラ乗りが予め空調が効いているから快適だと言うが、これはバッテリー自体の温度制御のためでもある。
同様に充電の30分前にはプレコンディショニングをONにしろとも言っている。
これは充電電力を最大にするために、バッテリの温度制御を行う機能だ。
いずれも必須ではないが、使用しない場合は充放電電流制限が働いてしまう。
空調に要する電力はモデル3で6~7kW(フルパワー時)なのだが、ヒートポンプの特性上冷えた状態からフルパワー運転する場合、効率はヒータと変わらない。
つまり極端に効率の落ちた状態でフルパワー運転することになり、大きな電力を消費する。

日本の環境と車の使い方においては、ヒートポンプ暖房もヒータ暖房も電力消費の点では余り変わらないと言われる。
なのでコストのかかるヒートポンプより、スイッチオンですぐに温まるヒータの方が良いと考えるメーカもある。

都内のコインパーキングだと30分で500円くらいの駐車料金がかかる。
トヨタの充電スポットの利用料金が30分あたり1,800円しか取れないわけで、駐車料金相当分を引いたら大赤字だ。

では充電時間が短く出来ると経営は楽になるのか?
問題は充電電力の量になり、ガソリン並みと考えると1分間で100kWh分を充電しなければならない。
今のところそんな電池もなければ充電施設もないが、6MW級の充電が可能になるとガソリンと同等の効率で収益が上がる。
ただし電力インフラが追いつかないので、電力仕入れ価格が上がって結局は儲からないかも。

中国ではVP1000充電器が1kV/1kAで1MW充電を実現する。
1分間の充電で100km近くの走行が可能になると謳うが、BYD製車両の場合は充電開始1分くらいで1MW充電に達し、そのまま2分間ほど1MW充電が続く。
その後は充電電力が落ちて、500kW前後での充電となる。
1MW充電はピーク時充電電力の話で、平均充電電力ではない。

現実的にはどうするか。
ガソリンの平均利益率は2割程度だそうなので、既存のガソリンスタンドの1時間あたりの利益である1.8万円を稼ぎ出さなければいけない。
現実的に300kWの充電器があったとして、15分間の料金を1.5万円くらいにすると何とかなるかな。
15分で70kWh位の充電が出来れば、400km位は走れる。

これでkWh単価が200円を少し超えるのだが、経営側から見た試算によれば200円/kWhでは(現状の稼働率では)利益は出ないそうだ。
その理由として高圧受電の設備の償却費と点検管理費、電力の基本料金が固定費としてのしかかってくるからだ。
管理者は有限の人材で、コストはメガソーラーバブルで大きく上昇した。
管理会社は名前貸し人材を募集したりしていた。
こうして管理コストが上昇し、それは充電施設にも影響している。

チャージコネクト(フランチャイズ)による収益構造が以下になる。
70円/kWhで仕入れた電力(31円/kWh+フランチャイズ料)を600円/kWhで販売すると、3年目に黒字化出来るという図だ。

自宅充電だと従量電灯C契約が必要になる。
従量電灯Bだと最大で6kVAまでしか使えないので、頑張っても4kVA充電くらいかな。
週末にしか車を使わない人や近距離のみの移動に車を使う人ならこれでいいが、それ以外だと充電が間に合わなくなる。
従量電灯C契約で6kVA充電、契約電力10kVAとすると基本料金が3,118円で電力単価が40.49円になる。
(従量電灯Bでも電力単価は同じ)

月間1,000km走行で電費が6km/kWhとすると、電気代は基本料金を含めて約1万円かかる。
燃費が20km/lでガソリン価格が150円の場合は7,500円で済むので、自宅充電でもEVのランニングコストが厳しいことが分かる。
これは自宅充電設備費用を除いた場合で、工事費と充電器代がかかるので更にコストが上がる。

従量電灯Cと6kW充電器の工事で100万円~150万円かかると以下にはある。
電柱からの線の引き直しになるので、そこそこお金はかかる。
新築の場合は最初から太い線を通して貰っておけば良い。
なお4kVA充電でもEV充電用には2.5mmの線を使えと日産は書いている。

横浜時代に10kVA契約に変更したのだが、屋内配線が太かったので屋外配線の引き直しだけで済んだ。
それでもそこそこお金と時間がかかった。

これらは電力に消費税しかかけられていない場合の話なので、ガソリン並みに税金をかけられたらEVは絶滅してしまう。
日本は電力料金が高く管理者の必要性などの規制もあるので、どうしても大電力を扱う施設のコストが高くなる。
数百kWの電力を扱うのだから、それなりに危険もある。

EVは自動車税や重量税が減免になっているわけで、EVが傷めた道路はICE乗りが払う税金で維持されているとも言える。
予定では今年にはトヨタが固体電池の量産を開始、来年には搭載EVを出してくる事になっていたかな。
充電時間の短縮で30分が10分になるだけでも、稼働率が3倍になる。
インフラは心配だけど。

現状でEVが生き残れるのかどうかは分からない。
エネルギ利用効率的にもICEと殆ど変わらないのが現状ではあるが、原発比率が上がるなどすればメリットは出てくる。
逆に現状の電力供給状態だと、電力不足に拍車がかかる。

近距離用の乗物とか、一定のルートを回る営業車や配達車としての利用は進むかも知れない。
バッテリーの自然放電、自然放電と言うより停車中の電力消費量の問題もある。
テスラ製車両では300W前後の消費電力がある(セントリーモードOFFで200W前後、システムをシャットダウンすることも出来る)ので、車を移動させなくても毎日250円分くらいの電力は消費する。

欧州のEV熱は一気に冷めた。
日本では周回遅れだったトヨタがEVだと叫び始めた段階だが、電池工場計画を再々延期するなどしている。

ハイブリッド車にしても車両価格を燃費改善分で埋めることはほぼ不可能、プラグインハイブリッドやレンジエクステンダ付EVでは更に損になる。
このあたりをどう見るのか、燃料代より環境なのか?そもそもコストは環境インパクトではないのかなどを考えると、EVの未来が明るいとは言いにくい。
日本は今のところ2035年に新車は全てEVにする目標を変えていないのかな。

EVオーナというかテスラ乗りの多くは車に詳しくない。
カタログ電費通りになっていないとお怒りの方もいる。

カタログ電費の8割なので良い方ではないだろうか。
冷暖房を使えば更に走行距離が短くなり、駐停車時間が長くなれば走行距離が短くなり、最終的には350km位で落ち着くのかな。
走行可能距離が350kmだと、伊豆から横浜に行って戻って来るのが厳しくなる。
バッテリー残量1割以下まで使えば戻ってこられるだろうが、それは危険がアブナイ。
そして自宅充電だと満充電に20時間以上かかるわけだから、現実的には商用急速充電器を使わざるを得ないし、そうするとコスト負担はガソリン車以上になる可能性がある。

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