CDIを作る



CDIに関してのblog記事へのまとめリンク

CDIとは何か?どんなものなのかのおさらい。
強力な点火で失火を減らすには?
シグナスとスカイウエイブのIGコイルの特性
スカイウエイブのイグニションコイル
シグナス用イグニションコイルの特性
シグナス用イグニションコイルを動作させてみる
CDI妄想の回路図
CDI回路の検討
誘導放電のエネルギ
複合点火を考える
複合点火システムの回路図
連続放電システムの草分け
妄想回路図の具現化
デュアルスパーク実験(1)
デュアルスパーク実験(2)
デュアルスパーク実験(3)
デュアルスパークCDI回路図
ノーマルイグニション波形再実験
CDIと誘導放電の火花の差
2つのイグニションコイルの差
ユニバーサル基板に組んでみる
フライホイールダイオードの有無
高周波DC-DCとコイルインダクタンス
中華HIDのケースに入れてみる
抵抗入りプラグキャップの改造
DC-DCコンバータのプッシュプルドライブ実験
CDI 1号機をケースに入れて防水処理した
CDI 2号機の試作開始と回路図
CDI 2号機をケースに組む
極薄型中華HIDバラストのトランスは使えるか
再び複合放電を考える
CDIの放電用コンデンサとエネルギの関係
CDIのコンデンサチャージ電圧の限界
CDI/TCI複合放電の机上実験開始
CDIの放電用コンデンサを小さくしてみる
ワイドギャップ放電時の複合放電波形
イグニションコイルの一次電流波形
NE555ではPWM制御できない
イグニションコイルへの印可電圧を上げる事は有効か
複合放電化のために2次側をダイオードでORする
逆耐圧40kV/1A Vf35Vの高耐圧ダイオードアレイ?完成
ノーマルイグニションコイルの解放電圧
イグニションシステムの遅延時間
イグニションコイルの2次電圧と電流波形
マルチスパーク妄想
イグニションコイル再考
PICでも使ったステートマシンコントロールの方が楽
CDI放電のイグニションコイル負荷による変化
ピーク電流制限回路&複合放電対応CDIの回路図
MOS-FETによるイグナイタの製作
プラズマダイレクトもどきのマルチスパーク
単一放電回路によるデュアルスパーク
単一放電回路によるマルチスパーク

複合放電CDIを付けての実走テスト
パラボラを見に行く(5)
パラボラを見に行く(6)


昨年の春先にはHID実験を繰り返していたわけだが、今年はCDI実験となった。
必要十分な点火能力を有するイグニションシステムをCDIに換えても変化はあまり無いだろう。
少なくとも自動車のモード燃費テスト時に失火などが起きれば燃費もそうだが排ガスレベルがNGになる。
従って各自動車メーカ共に低回転低負荷域では必要十分な点火能力をエンジンには与えている。
しかし高回転高負荷域となるとモード燃費テストの範囲から外れるので、どうでも良いというのは言いすぎだが性能要求度は小さくなる。
ターボ車などは高回転高負荷域で燃料を濃くしていたので、その領域ではCOもHCも山のように排出される高公害車と化した。
しかし自動車メーカは別に気にしない。
テストに通ればいい話であって、それ以外の部分は規定がないのだから排ガスレベルはどうでも良いという考え方だ。

二輪車の場合は自動車よりも排ガス規制レベルが低い事もあり、理論空燃比よりもパワー空燃比を使うようなセッティングが多い。
最近の大排気量車などではDBWまで使って排ガス規制クリアを狙うわけだが、それ以前のモデルやキャブ車などは空燃比変化が大きくなる。
勿論メーカとしても必要十分な点火装置を与えようとはするのだろうが、コスト制約の中での妥協もある。
高回転型のエンジンなどではCDIが使われている事もあり、さすがに1万回転級となるとドエル時間が足りなくなってくるのだろう。
ダイレクトイグニションや同時点火にしてインダクタンスの小さなイグニションコイルを使ったとしても、だ。

多少プラグがくすぶっても火を飛ばしてしまう強引さと、回転数が上昇しても(DC-DCコンバータの限界までは)イグニションパワーが落ちない点がCDIのメリットである。
火の付かないような混合気には何をやっても火は付かないが、多少の不調をカバーしてくれる程度の実力はある。
スカイウエイブでは低回転のパーシャルスロットル時のトルク変動が明確に減少した。
ノーマルイグニションシステムでは7千回転より手前でドエル時間が不足し始める筈(エンジンのピーク出力回転数あたりがギリギリ)で、しかしスカイウエイブのエンジンは1万回転近くまで回っていこうとする。
さすがにこの速度域でパワーフィールなどを語れるほど乗りこなせていないのだが、おそらくはCDI化でメリットが出ているはずだ。
CDIが複雑で作りにくいものだと実験もしにくいが、回路は簡単でユニバーサル基板上に実現できる点も手軽だ。

自動車の世界ではDI全盛の感もあるが、DIのCDI化は面倒なだけである。
旧車と言われるディストリビュータ付きのモデルとか、せいぜい同時点火車あたりならばCDIを付ける事も難しくはない。
今回実験したCDIでは2.2μFのコンデンサを、4ストローク4気筒エンジン換算で1万回転位までロス無くチャージできる。
360度点火の単気筒2ストロークエンジンや単気筒/2気筒4ストロークエンジンでは2万回転に相当する。

シグナスの場合はIgf信号を必要とするので、ノーマルイグニションシステムの構成を変えるとエラーが出てしまう。
そんなシグナスにCDIを付けるにはどうしたらいいのかという所から始まった複合放電なのだが、これが中々調子が良い。
CDIが壊れたとしてもノーマルイグニションシステムが残っているので走行に支障はない。