RX-7復活

マツダがロータリーエンジン開発セクションを、6年ぶりに復活させるとしたのが2月だった。
ロータリーエンジンの欠点を克服し、ピュアスポーツを目指すとしたプランが具現化する。

本日発表された次期RX-7の発売時期は未定ながら、マツダでは来夏を目指したいとする。
パワートレーンは3種類になる。

16C型2ロータ・シングルターボのベースモデルは330馬力/8000回転だ。
24C型3ロータ・ツインターボでは575馬力を8500回転時に絞り出す。
32D型4ロータ・NAは628馬力/9500回転となっている。

ツインエントリターボは排気干渉を防ぐためにロータリーエンジンでは必須で、これに電気モータを組み合わせ、エンジンが低回転時にはモータがコンプレッサ回転数をアシストする。 BENZでは既に量産車で使われているが、国産車としては最初の導入となる。
本来は1ロータに1ターボチャージャが理想だが、コストと性能のバランスを考えたという。

燃費改善のためにエンジン同軸上に薄型モーターを配置し、エンジン回転/負荷変動時のみにモーターを稼働させる。
ロータリーエンジンでは燃焼の安定性を確保するため、エンジン回転や負荷の変動時には濃いめの燃料が必要になる。
しかしモーターでそこをカバーする事によって、濃い燃料を吹かずともドライバビリティを悪化させない仕組みとした。
モーターはカーバッキング対策も兼ねていて、燃焼が不安定になりやすいパーシャルスロットル域でも、発生トルクの変動を旨く吸収する。 燃焼状態をイオン電極でモニタするのは、一時期の希薄燃焼エンジン同様である。
モーターの連続稼働時間は最大でも30秒程度と短く、急速充放電に適した電気二重層コンデンサが電源として使われる。
モータによるトルク制御で、フライホイールは事実上不要だという。

“エンジンのためのモーターアシスト”により、ロータリーエンジン搭載車としてはRX-8に次いでモード燃費が10km/lを超え、2ロータモデルに於いては16km/lと立派な数字になった。 圧縮行程のハウジング内燃料直接噴射により、ロータやハウジング壁面への燃料付着を防ぎ、層状燃焼を可能とした技術はSKYACTIV TECHNOLOGYだそうだ。 ニッケルクロム合金による肉薄ロータで、熱の拡散も抑制した。
しかしマツダは言う、燃費は本質ではなく時代の要求に合わせたに過ぎない、神髄はロータリーフィーリングだと。
モーター・発電機により、エンジンの回転上昇速度・下降速度もこれまでのロータリーエンジンの常識とは次元が異なるものになっている。

4ロータエンジンの吸気はシャッタバルブ付きのペリフェラルポートとサイドポート、排気はペリフェラルポートを採用した。
オーバラップが大きい為にエミッションコントロールが困難と言われていたが、ハウジング内直接燃料噴射に加えてイグニションプラグ機能をロータ側に付ける事による燃焼改善により、クリーンな排ガスを得た。
ロータリエンジンではアペックスシールがプラグホール上を通過する時、吸気行程室と連通するために吹き抜けが生じ、制御の出来ないEGRが燃焼安定性を悪化させ、COやHCレベルが上がってしまっていた。 そこでロータハウジングからイグニションプラグを廃し、ロータ側にその機能を付けた。
イグニションプラグ機能は高周波プラズマによる点火であり、電極の摩耗は殆ど起きない。
プラズマ放電時間も自由に制御可能で、マルチプラグ以上の着火性能を発揮する。
プラズマ点火自体は40年以上前にフォードが特許を取っているが、その後使われることはなかった。

高回転でのシール潤滑性を確保するため、アペックスシールが2本化された。
リーディング側がコンプレッションシールでトレーリング側がオイルシール的に働き、2本の細いアペックスシールの間には極微量のオイルミストで満たされる。 これによって吸気と共にオイルを噴射する必要がなくなり、メタリングポンプは廃された。
燃焼室内にオイルが入らないことにより、燃焼の改善と排ガス中のHCを劇的に低減することが出来、排ガスレベルはサイド排気ポートエンジンに匹敵するという。 これは高回転時に於けるシールの、対ハウジング速度上昇による摩耗対策にも有効だそうだ。

デザインはMAZDA ICONIC SPを思わせ、ディメンションは全体的に拡大され全長×全幅×全高は4295/4590×1875×1190mmとなった。 車重は1090kg〜1390kgと、比較的軽く仕上がっている。

RX-7 212(2ロータ/1ターボ/2シート)と呼ばれる2ロータモデルは、ショートホイールベースの2シータで、従来型RX-7用のMT/ATを強化して使う。 RX-7 324と404は2+2レイアウトとなっている。
2ロータ以上ではエンジン全長と重量バランスの関係で、日産GT-Rに次いでトランスアクスル方式を採用した。
(少量生産車としてはLFAもトランスアクスルを使う)
変速機は7速のDCTのみであり、フルマニュアルのトランスミッションは用意されない。
+2の採用は、国によって2シートモデルは税金面で不利になるからと言う事らしい。

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