ボディーの汚れを取る

前回ワックスを掛けたのは1ヶ月ほど前になる。
梅雨入り前にワックスを掛けておくか、と言う事でワックスがけをした。
今回はボディに付いた樹液?虫?なにやら付着物が増えてきたので、それを掃除した。
薄く広がったような汚れはコンパウンドで落とせるのだが、強固に付着した樹液のようなものは鉄粉取り粘土で除去した。
コンパウンドは極細目のもので、付着物によっては何度か擦らないと落とせない。
木の葉?花びら?みたいな物が張り付いて、その残骸というか色が付いたような所は1度擦れば落ちる。
イオンデポジットなどは結構頑張らないと消せないので、水垢系は酸性洗剤に頼った方が楽ではある。

車の側面パネルは目立った付着物がないので、コンパウンドがけは屋根とボンネットだけにしたのだが…
コンパウンドで汚れや古いワックス分を落とすと、つるつるになって気持ちが良い。
じゃあ側面も磨こうかと言う事で、この暑い中結局側面パネルも磨いたのだった。
ワックスの拭き取りも楽になる。

コンパウンドで行う物理的な汚れの除去は悪だ、みたいな考え方もある。
当社の開発したデポジットクリーナは… みたいな宣伝に続くのは良いとして、それが1本1万円もするのだから凄い。
コメリの酸性クリーナを使うと古いワックスなどもかなり落とす事が出来る。
と言うと、自動車専用のクリーナでないとダメだとか、ウチの製品が最高だと言われそうである。
鉄粉取りにしても、粘土はダメでケミカルを使うべきだという意見もある。

この辺りは好みの問題でもあると思うのだが、ケミカルはそれなりにインパクトがある(塗装によっては曇ってしまったりする)訳だし、カーシャンプーなどで落とせる汚れには限界がある。

車の鏡面仕上げをするにはクリア層をサンドペーパで削ったあと、コンパウンドで磨く。
この時に削り取るクリア層の厚さは30μm程度だとか。
極細目コンパウンドでは反射させると見えるキズが消せる位なので、殆ど削れない。
たぶん爪で付いたキズは消せないと思うので、そんなキズを消すには中目か細めのコンパウンドから始めた方が良い。

ガラスコート剤なども極細目のコンパウンドでは、中々落とせない(撥水性が中々なくならない)。
かといって耐久性が凄いかというとそうでもなかったりして、落ちて欲しくない部分は落ちるのに、落とそうと思う所は中々落ちないみたいな事が起きる。

ワックス皮膜の厚さは0.1μm~1μm程度と言われる。
液体系のコート剤は一般的に膜厚が薄く、0.1μm以下ではないだろうか。
ガラスコート剤が1μm程度、重ね塗りをすると2μm程度まで厚みを増す事が出来るそうだ。
多層塗りで厚みは増やせるが、密着度が低下するので拭き取り事に剥がれてしまう。
この事から拭き取り前に10μmの厚さがあったとしても、仕上げ後には2μm以下になるというのが一般的見解だそうだ。

スプレー塗料で垂れる位まで塗ると、膜厚は30μm程度と言われる。
一般的には1回辺り5μm程度で、複数回重ね塗りをする。
触ったり爪を引っかけて分かるイオンデポジットの厚さが1μm~3μm程度だそうだ。
ワックスを塗った部分と塗っていない部分の差は指で触っても分からないので、かなり薄い。
金型職人さんは1μm以下の段差を容易に発見するといい、0.2μmが分かる人もいるのだとか。
精密板金屋さんも、指で触って分かる段差は1μmだ、みたいな話をしていた。

フッ素系コート剤の透明度というか綺麗さは、昔に比べてずいぶん改善された。
昔のフッ素系コート剤は、耐久性は良かったが艶が出なかった。
これはフッ素樹脂と、フッ素樹脂を塗面に付ける為のバイダであるシリコン樹脂の屈折率が異なる為だ。
近年改良されたのはフッ素樹脂とバインダの屈折率を近づける研究のたまものだそうだ。
0.5μm程度の膜厚の、その中の0.1以下の屈折率の違いが透明度に影響する。

ウチに膜厚計があったと思うのだが、探しても見つからない。
分解能がどの程度かも忘れてしまったのだが、塗膜の厚さを測ってみたかった。
鏡面仕上げ屋は膜厚計を使って、クリア層の推定膜厚を測りながら研磨する。
海外だとコンパウンド仕上げの時にも膜厚計を使うショップが多いが、日本ではあまり使っている所は見ない。
コンパウンドで削って塗膜がどの程度薄くなるのかの実験がある。 これはタオルを使ってコンパウンドがけをしているが、タオルで擦るとスポンジで擦った場合より多く削れる。
タオルを使うとコンパウンドではなくタオルによるキズが出来る事があるので、樹脂に塗装された部分などではスポンジを使った方が無難だ。

塗膜自体の厚さは軽自動車やコンパクトカーでは、100μm程度にまで薄く出来るそうだ。
塗装は意外に重いものなので、塗膜を薄くする事で軽量化とコストダウンが行える。

輸入車などは溶剤(水性)塗装で200μm前後と言われている。
厚い塗膜は固くなり易く、BENZは飛び石で塗装が欠けるように割れてしまう。
国産車は飛び石がめり込むように塗装に穴を開けるが、欠けるような事にはならない。
経年劣化でひび割れを生じやすいのも厚い塗膜で、柔軟性が保てる塗膜は剥げる事はあっても割れる事が少ない。

ドイツ車の多くは防錆塗装までされている言わば寒冷地仕様で、防錆塗装(見えない部分ではあるが)は厚く、黄色っぽい透明な、見た目は汚い感じのものだ。 ミニはボンネットの袋になった部分にも防錆塗装がされていて、これが垂れて汚らしくなる。
硬化しにくいタイプの防錆塗料で、これがフェンダーに垂れてくるなんてトラブルもある。

欧州車では環境問題から粉体塗装が使われ始めていて、粉体塗装は薄膜塗装が出来ないとか。
膜厚が溶剤塗装より更に厚くなるのだが、廃塗料が少なくなるので環境に良いらしい。

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コメント

  1. ぷれっく より:

    美しい。
    瑠璃光院のあの風景?を思わせる写真ですね。

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