鈴木修氏が亡くなった。
鈴木氏に関しては過去にも書いた事があるが、47万円のアルトを作った人と言えば分かりやすいだろうか。
もっとも47万円のアルト自体を知らない人も、今は多いと思うけど。
元々はもっと安い軽自動車を作りたかったという。
しかしどうしても47万円以下に出来ず、それでも47万円は破格だった。
アルト発売の1979年当時、軽自動車の価格は60万円前後だった。
定価を安くするだけではなく、当時自動車にかけられていた物品税の回避も行う。
乗用車として販売すれば15.5%もの物品税が課せられたが、商用車であれば免税だ。
こうしてアルトはヒットモデルとなり、軽自動車普及の原動力にもなった。
アルトに比べると地味な印象でもあるが、軽自動車のワンボックス化を牽引したのも鈴木氏だった。
限られた寸法の中でいかに広い空間を得るか。
全長も全幅も規格いっぱいだとすれば、残るは高さ方向だという事でハイトワゴンを設計した。
人間や荷物を平たく積むのではなく、縦に積む。
シートの座面を高く短くし、背もたれを立てれば前後方向に余裕が出来る。
こうして軽自動車のハイトワゴン構想から、1993年のワゴンR登場となった。
普通車では1994年に登場したホンダオデッセイがワンボックスブームの火付け役となり、猫も杓子もワンボックスという時代が訪れる。
ワンボックスブームの中で、軽自動車はハイトワゴンが普通になっていったのだった。
こうした時代を作ってきた一人が鈴木修氏だった。
ユーザがどんな車を欲しがっているのかを、常に考えた物作りと言えるだろう。
これは当たり前のように思えるかも知れないが、ユーザが欲しがっている製品やサービスを理解する企業は余り多くはない。
大企業になれば奢りや押しつけ傾向が強くなり、「我々が作った製品は顧客に好まれるはずだ」と考えるようになる。
これも何度か書いているが、SONYのXperiaにはゲームエンハンサーというアプリというか仕組みが実装されている。
ゲームをやらない人にとっては無用なものなのだが、SONYはこれを使え、設定しろと通知を送って来る。
その通知は拒否することが出来ず、Androidの本体の通知設定すらグレーアウトされている。
気に入ったものであれば、有用なものであればユーザは黙っていても使う。
無用なものをいくら押しつけたところで、SONYのイメージ悪化にしかならない。
売れるものなら何でも良いのか?利益を上げればそれが一番なのか?
営利企業たるもの株主利益を最大にすることが企業の責任ではある。
だが旧松下電器には利益の監視制度があって、想定以上の販売台数で利益が増えると定価を下げたり値引きを増やすなどで、一定以上の利益を取ってはいけない、購入者に還元すべきだとしていた。
自動車の世界だと安全性の確保だとか、耐久性や整備性と言った強制規格以外の部分に対する考え方がある。
ボルボのルーフ強度だとか、スバルのAピラーとか、マツダのペダルレイアウト、トヨタ車の整備性などは評価される部分だ。
松下幸之助氏や鈴木修氏、日本の産業を正しく発展させようとした人々ではないのか。
ただ両者ともに本人の意思なのか否か、政治に関わりを持ち始めるというか、持たざるを得なくなるというか、そういう面が残念だったなと思う。
静岡県知事選などでは、鈴木氏の意向に沿わない候補者は当選出来ないくらいに報道された。
コメント
政治の関与はたしかにそうなんだけど、
浜松市の統廃合を推進し市長がぬるいとみるや首切って
代かえして推進、地元では悪評あるが外部からみると
それは必要なことだったなと思う。
日本全体で自治体の集約リストラは難航し出来ない場所が多いが
浜松のように税収のある自治体が先例をつくるのはやるべきことだった。
全国的にはリニアで批判されたが、
安倍川水系の住民としてはありがたかったし今のJR東海の対応みれば
正しかったとしか言えませんな。
企業が関与する清水市の衰退ぶりをみると
政治家としてもマシなほうだったと思いますな。
大阪や兵庫よりは自治体が健全だし静岡市のほうが政治は全然ダメ。
浜松もブラジル人等火種はいっぱいあるが
辛うじてコントロールできてきた印象かな。
他方スズキの車は電球がよく切れてる印象あってアースの取り方が
おかしいじゃないかなと個人的には訝っている。
そういうのきにしない低所得者が乗ってるというのもあるかもだけど。