自動車メーカの関係

昨年末に日産とホンダの話が出た。

 ホンダ日産自動車が経営統合するに当たり2026年夏に立ち上げる予定の共同持ち株会社は、ホンダが過半を出資する方向で協議が進む見通しだ。

ホンダと日産の話も気になるところではあるが、個人的には株式会社SUBARU(富士重工)の沿革というのかな、他の自動車メーカとの関連が印象深い。
富士重工は1968年から日産と提携し、スカイラインGT-Rをはじめとする4WD車の技術開発に貢献した。
富士重工が得意とする4WD技術と、その電子制御化によって日産は4輪駆動制御を独自に進化させたと言われる。

その日産は2000年頃に経営不振に陥り、保有していた富士重工業株をGMに売却した。
しかしGMも景気が悪化、富士重工業株を持つメーカの景気は悪くなるのかと言われながら、その株式はトヨタの手に渡る事になる。

現在スバルは軽自動車生産は行っておらず、軽自動車は同じトヨタグループのダイハツがOEM生産を行う。
ダイハツに関しては主に軽自動車生産と言う事でトヨタとの棲み分けを行うわけだが、スバルの立場はどうなるのかと心配する声もある。
その一つがコストを最優先とするトヨタとの方針の乖離だ。
こうした部分からすればスバルがレクサスブランド車など少量生産車を作るのも良いのではないかと思うが、トヨタに言わせれば売価の高い車だからと言って利益率を削る事は出来ないとなってしまう。
レクサスブランドも高価格車路線から、トヨタの一つの販売チャネル化が進んだような感じになってきているから、少量販売車需要も余り無いのかな。

ホンダと日産にしてもトヨタとスバルにしても、グループ化によって何が変わるのか。
一つは部品などの共用によるコストダウンと、車種数の増加がある。
ただデザインなどを含めてどこまで共通化していくのかは、それぞれのメーカによって異なる。
例えばダイハツのロッキーはトヨタのライズとして販売される。
これはメーカごとの独自性を持たせるのではなく、OEMやODMによる生産性の向上を目指したやり方だ。
日産と三菱も同様だし、ダイハツとスバルも然りである。
日本の自動車メーカの場合は、こうしたOEMによる車種数拡大方法が多い。

ロールスロイス(RR)の自動車部門はBMWに買収され、その後VWに買収されて現在に至っている。
しかしRRの自動車部門は独自性を未だに持ち続けている。
エンジンなどはBMW製を使う訳だが、だからといってBMWでもないしVWでもない。
RRのOEMモデルをVWブランドで売るのではなく、RRはRRとしてのイメージを崩していない。

ミニもBMWグループだが、RRよりはBMW色が出ている感じがする。
デザインこそBMC時代の面影を残すものの、エンジンや電装品の多くはBMWブランド車と共通だ。
BMWのFFモデルのシャーシはミニと共通、いや逆なのかな、BMWのFF用のシャーシをミニに使ったと言うべきか。
同じシャーシではあるが乗り味というか、各部のセッティングが全く違う。
ミニのサスペンションはストロークが余り無く、固めで挙動変化を抑えた設定だ。
対するBMWのFFモデルはサスペンションストロークを長く取り、ミニよりゆったりした乗り心地となっている。
(動画はM5なのでFFモデルではない)

一つのモデルがヒットすれば、自動車メーカの景気はたちどころに良くなる事を示したのがマツダだった。
ファミリアのヒットは本社を東京に移転させるくらいのものだった。
しかしその後不景気になり、本社が広島に戻されたのだった。

マツダにしても提携や資本関係は複雑で、浮き沈みの激しい業界と言えるのかも知れない。
自動車メーカは多くの設備や関連企業を必要とする訳だが、だからといって常に安定した経営が行えるわけでもない。
日産がヒットモデルを一台出せば、ホンダの利益を上回ることも不可能ではない。
だからといって簡単にヒットモデルが出せないのも又事実だ。

テスラとトヨタの利益率の比較があったが、日本の自動車メーカの利益率は低い。
日本車自体が低価格高品質を目指したものであり、高付加価値を目指した製品ではないからだ。
だからこそ世界で日本車が使われることになり、高信頼性から中古車の価格も高い。
こうした日本車固有の背景みたいなものは、高付加価値車への転換を難しくする。
トヨタはレクサスブランドでこれを行おうとしたが、結局は低価格車シフトで生き延びる作戦になった。

レクサス版ヤリスクロスMORIZOバージョンなど、もう少し高くても良いのではないかと思ったりする。
ヤリスクロス自体が300万円位でそのレクサス版が420万円なのだが、MORIZOバージョンは304馬力のエンジンを積んだ(ノーマルは91馬力+モータ)スペシャル版である。
BMWのMとかBENZのAMGみたいな値付けはダメなのかな。
トヨタ的にはフルオプションなら1千万円ですよみたいな、安いと思わせて実は高かった的商売なのだろうけれど、そこそこ装備が付いて950万円ですの方が分かりやすい。
豊田前社長が嫌っていたというレクサスグリルも廃したのだから、新生モデルの値付けでも良いような気がする。

今後EVの時代となれば、新興メーカも増えてくる。
日本国内に於いても輸入EVがライバルとなり、それは性能と価格のバランスに優れているからだ。
こうした中でEV経験のある日産に、ホンダがメリットを感じたのも分からなくはない。
メディアはBYDに対抗できるホンダ・日産連合みたいに書いた。
仮想敵はテスラではなくBYDなのか。

いくつかの検証を見ると、テスラとフォードの電費効率が高い。
それに次ぐのがドイツ勢と中国車、日本車はカタログ電費は素晴らしい(トヨタ車)が実電費は全然ダメだと評価される。

コメント

  1. bluefinder より:

    gmとスバルといえばトラヴィック思い出します。
    それくらいだったような。
    スピンドルグリルやめたんですね。LEXUS興味なくて知りませんでした。

    電費もまだ評価軸が定まってないような気もしますが、何にせよ日本勢にも頑張ってほしいです。

  2. 読者 より:

    Twitterで見たけど、ゴーンの戦略モデル2014年ダットサンGOというのが
    酷いモデルでそりゃ失敗するだろなという印象。
    この投資失敗がいまになって祟ってる感じ。

    政府は2018年だったか1800億資金入れているので
    もう日産に資金は入れたくなくホンダに救済させようとした。
    ホンダなのはトヨタに断られたかららしいw
    ホンダとしては国の資金投入がなければ統合は飲めないという印象。
    社長の答弁が慎重だったから事前に弁護士と想定問答作って
    言質取られないようにしてたと思われる。

    日経を中心とした御用メディアは統合の印象操作してるけど、
    業界関係者でそう思ってる人は日産社内のアホな人だけじゃないかな。
    ホンダは三菱のPHEVくらいしか興味ないと思う。
    日産は社内事情知ってる関に温い社風を改革してもらうしか活路はない。
    でも一万社以上ある子会社に与える影響が大で日産による国内不況がはじまり
    政権が吹っ飛ぶからできないでしょうな。
    日産の余剰生産キャパ200万台をホンハイEVで
    埋めるのが最も合理的で傷も少ないのだけど。
    日産はGTRとかすぐ辞めるべきだしレースも参戦規模縮小、経営陣も引責
    これくらいは昨年内にやるべきだった。
    どのみちGTRは法規対応で終了なんだからリストラの象徴として
    終わらせるべきなのに決断できないヘッドクォーターの無能ぶり。

    Twitterでの技術の〇〇はダメ会社と言っていた
    粉飾技術が優れる東芝と政界工作技術が高い日産w
    製造業で本社が都会にあると社風が官僚・貴族化してアカンですな。
    ソニーもiPhone18でサムソンに映像素子負けたとかなると
    一気に業績悪化なるしヤバそう。

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