クラッシャブルゾーンはどこまで?

ワンボックスカーはノーズが短いからクラッシャブルゾーンが少ないと思う人もいるが、実は運転席の位置は普通の車両と変わらない。
ボンネットが短いのはフロントガラスが前方にあるからで、エンジンはフロントガラスの下にある。
キャブオーバーのハイエースなどは座席の下にエンジンがあるが、一般的な乗用車型ワンボックスの場合は、エンジンは運転席の前方にある。

キャブオーバは床下にエンジンがあるので、それは車室内とは言えないからワンボックスではないみたいな考えもある。
同様に乗用車型ワンボックスも、フロントガラスの下は車室内ではないとも言える。

ハリアー(上)と比較するとアルファード(下)のフロント部分のスペース配分は余り違わない。
ワンボックスカーのフロントガラス位置をフロントドア前部の所まで持ってくれば、同じようなスタイルに出来る。
しかし同じようなスタイルにしたのではワンボックスっぽくなくなり、背の高いステーションワゴンみたいになってしまう。
なのでフロントガラス位置を前方に伸ばすのだが、それだとドライバーとフロントガラスの位置が離れすぎる。
そこでフロントガラスを寝かせ、それっぽく見せるような工夫がされる。
こうすればキャビンが長く見えて、車室空間も広そうに感じられる。

レイアウトの本質が乗用車と代わらないのなら、なにも着座位置を高くしなくても良さそうなものだ。
シートを低い位置にすれば乗り降りも楽になるのだが、これだと初代オデッセイみたいになってしまう。

ボンネットを短くすると、人間と衝突したときに人間の頭部が当たる位置がフロントガラス付近になる。
フロントガラス下部は強度が高く、人体に対するインパクトが大きい。
これもあって一部のワンボックスカーは安全評価試験で☆の数を落としてしまっていた。

エンジンがフロントガラスの下に食い込んできているので、遮音が難しくなる。
carwowでエンジンノイズが大きいと評されたのも、この辺りの難しさがあるのだろう。
それでもトヨタや日産はエンジン音が車室内に入ってこない方で、ホンダのワンボックスは(演出効果を狙ったのかも知れないが)、それっぽい音で満たされる。

ワンボックスは整備士泣かせとも言われる。
特に日産車などは整備性が悪いので、どうしても工賃が高くなってしまう。
後方排気(運転席側にエキゾースト側のあるレイアウト)なら未だ良いが、前方排気だとインジェクタやプラグの交換も厄介だ。
日産車の一部ではプラグを交換するときに、インテークマニホールドを外す必要がある。

後方からの衝突に対して、3列目シートは無防備だ。
安全なのは燃料タンクの位置までで、これは衝突時に燃料タンクが破損してはいけないからだ。

コメント

  1. 読者 より:

    仰りたいことはわかりますし自分も同意見なんですけど、
    エンジンの位置がFFなのでもうちょっと前寄りかと。
    トランスミッションと車軸があってないのかな?
    エンジンにあわせてる気がする。
    この透視図だとFFミッドシップぽい感じになってしまいますw

    最近ホンダ退社した浅木さんの本読んでるのですが、
    中々面白いです。組織論とか秀逸だし、
    エンジンはクラッシュテストで潰れるようにしろ!
    と要求したとか発想がキテレツ。
    なるほどNBOXはこうして生まれたのかと納得しました。

    • FnF より:

      トヨタエンジンの場合はカムドライブが右側なので、エンジンの向きも反対で、エンジンの大きさも車体サイズに合っていなくて、エンジンの角度と透視図の視点も合っていないんですけどね。

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