ASTの衛星通信サービスは開始できるのか?

楽天モバイルはASTスペースモバイルの衛星を使ったサービス開始を、現在の予定の来年中から前倒ししたいのだそうだ。
ASTの衛星の大きさはStarlink衛星の36倍だそうで、大きさ勝負を宣言(宣伝?)している。
一時期三木谷氏は、楽天の衛星(ASTの衛星)は低軌道だから高速通信が出来ると言っていた。
しかし実際にはStarlinkの方が低いところを飛んでいる事に気づいてしまったようだ。

楽天モバイルの契約回線数は900万を突破したとの事。
2024年末時点で830万だったので、月間純増数は10万程度まで落ちている事になる。
加入者が無限にいる訳ではないので仕方がないが、この純増数はソフトバンクと同じ位だ。
楽天モバイルはナンバーワンキャリアを目指すそうだが、少なくとも10年以内に既存事業者に追いつくためには、現在の10倍位の純増数が必要だ。
(既存事業者の契約者数も純増なので)

楽天の衛星通信は高速性を謳う。
通信プロトコルの事もあるのでTCP/IPと一緒には出来ないのだが、通信距離が短い方が通信速度が上がる。
これは電波の到達時間の問題なので、パケットサイズを大きくしても平均伝送速度は落ちる。
じゃあ高度を下げれば良いじゃないかという話なのだが、高度を下げると大気の影響を受けやすくなるとか、衛星の影の問題や寿命の問題があるとか、中々難しい。
通信サービスのセル面積も高度が上がると(同じビーム角であれば)広くなってしまい、ビーム角を狭くしようとするとアンテナは巨大化し、衛星の姿勢安定制御やビームコントロールを綿密にしなければいけなくなる。
その代わり衛星数は少なくて済む。

現在の衛星数はASTが5基、Starlinkは約550kmの高度に5000基程度(スマートフォンとの直接通信用V2衛星は未だ少ないと思われるが、衛星数は非公開)なので、Starlink寄りの見方をすれば1000倍になる。

ASTは2020年に商用サービスを開始し700kmの高度に打ち上げる衛星数は243基としていたが、その後160基くらいに減らした計画に変わったような?
いずれにしてもサービスインは遅れまくりなので、現在の計画がどうなっているのかはよく分からない。
今年の第一四半期に20基位打ち上げる予定だったと思うのだが、現在は2025年中に打ち上げる計画に変更されている。
ちなみにStarlinkは衛星数を4.2万まで増やすという事なので、最終的衛星数で比較すると170倍以上になる。

断続的にでも商用サービスを行うには60基程度の衛星が必要と言われているので、今年中に20基の運用が成功したとしても、圏外時間がかなりありそうだ。
楽天モバイルの希望するサービスをある程度実現できる衛星数は168基とされていて、年間20基が運用を開始できたとしても8年位かかってしまう。

当初はStarShipで打ち上げるような話もあったが、StarShip自体の開発が遅れている。
大型の衛星なので大型のロケットが必要で打ち上げコストが高い事、故障率が低減できないとコストロスが莫大になるなど、心配の声も聞かれる。

米国防省から2000万ドルの資金援助を受けたとか。

本来なら今月にも打ち上げが行われるはずだったが…

打ち上げがまた3ヶ月遅れるとか

5億ドルの予算で見るとStarlinkは400基以上打ち上げられるけれど、ASTは22基だそうだ。

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