結局みんなStarLink

KDDIに続いてドコモもソフトバンクもStarLinkを使って衛星通信を開始するようだ。
ソフトバンクは2026年にはHAPSでリンクするよと言っていたが…

いや、もしかしたらHAPSもやるのかも知れない。
上の図で行くと上空20kmから直径200kmのエリアを作るわけだから、ビームの角度は160度近いことになる。
本当かなぁ。
いやビーム幅が広くても良いのだが、アンテナゲインが取れなくなるしセル半径が大きすぎて満足な通信速度が得られなくなる。

孫さんは以前から、山間部や僻地をエリア化しても商売にならないと言っている。
人口の少ない場所に基地局を建てても、一日に数人しかアクセスしてこないのではペイしないと。
だからドコモがローミングすべきだと言っていた。
そんな僻地をエリア化するHAPSは、単にソフトバンクにも出来るよ(出来そうだよ)という事だけなのではないのかな、固体電池が出来ましたと言うのと同じで。

ドコモは衛星は持っているが低軌道を飛んでいる訳ではなく、直接通信が出来ない。
ドコモは過去(たぶん20年以上前だと思う)に、静止衛星(GEO)に巨大なアンテナを付けて通信実験を行っていたはずだ。
地上の携帯電話と直接通信しようとの試みだったのだが、さすがにGEOは遠すぎた。
アンテナのビームを絞ればセル半径は小さくなるとは言うものの、衛星の姿勢制御などの問題で通信が安定しない。

近年ではHAPSにも言及しているが、日本の上空を安定して飛ばすまでには至っていない。

で、どうなったかというとStarLinkにしましょうねと。
これはStarLink側の都合なのかも知れないが、ドコモはFOMA停波後の空きバンドを使うのではなく2GHz帯の一番下の周波数帯を使う。
KDDIも同様だが、ソフトバンクのみは上の方を使う予定になっている。

ドコモは2GHz帯の下の方に制御チャネルがあるはずなので、これを移動する必要がある。
チャネルを変えるのは簡単なことではあるのだが、システム的に整合を取らなければいけないので、運用上の問題が起きる可能性もある。
今は多バンド構成ではあるが、2GHz帯しか入らないエリアではちょっと面倒かも。

もしAST SpaceMobileが成功したとすれば、日本で唯一StarLinkに頼らないサービスが楽天になる。
試験運用許可の申請はしているみたいだけれど、これまでに言ってきたことが何一つスケジュール通りに実行されていなかっただけに、サービスが開始されるまでは、サービスが開始されるのかどうかは分からない。
シュレーディンガー………

衛星との直接通信は、技術的には結構大変だ。
6Gでは地上以外の基地局が想定される見込みだが、現状はそうではない。
低軌道衛星は衛星位置が時々刻々と変化するので、移動機との距離も変化する。
そうすると遅延時間も変わるし、周波数も(ドップラーで)変化する。
こうしたパラメタを補正し続けるためには移動機の位置を知る必要があるので、位置情報を取得しているか?StarLinkの場合は衛星数が多いので自力で位置を割り出すなどしている可能性もある。

位置が分からないと最初の接続シーケンスがちょっと面倒になる。
衛星からの報知情報を拾って移動機が信号を送信する訳だが、(地上通信用として書かれた仕様の)想定外の遅延が発生して信号が衛星に届く。
その時に信号の遅延時間から通信距離を測ることが出来るが、それは直線距離が分かるだけなので、各種制御にはちょっと情報が不足する。
巨大アンテナのビームで探索と言っても、ビームを動かしたら複数移動機相手の通信に支障が出るだろうし、色々大変である。

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