この先EVはどうなるのか?

欧州では環境問題云々で、最初はディーゼルが流行った。
猫も杓子もディーゼルエンジン搭載車に乗り、俺はディーゼル車に乗っているから環境に優しいのだと、大排気量ディーゼル車でPM/NOxをまき散らした。
そしてその黒煙とNOx問題が環境を悪化させ、欧州はEVに舵を切ることになる。
結果はディーゼル推進に続く第二の失敗となり、EVシフトは求心力を失った。

MUFGのレポートではEVが炭酸ガス排出量削減に寄与していないとしている。

このあたりは周知のことなので、EVが環境に良いと思う人は少ないはずだ。
製造(建設)時の環境負荷を考えると、原発の炭酸ガス排出量が少ないとは言い切れないのと同じだ。
低速トルクが大きいからモータ動力車に乗りたいとか、そういう理由であればEVに乗ればいい話で、だからといってEVを他人に強要する必要は無い。

欧州メーカはEV開発による損失にあえぎ、ホンダも然りだ。

「断腸の思い」 ホンダ・三部社長、「脱エンジン」計画の誤算認める

ホンダは12日、2026年3月期の連結最終(当期)損益が最大6900億円の赤字に上る見通しだと発表した。オンラインで記者会見に臨んだ三部(みべ)敏宏社長は損失計上の主因となる電気自動車(EV)戦略の見直しについて、「断腸の思いで決断を下した」と述べた。三部社長のもと進めてきた大胆な「脱エンジン」計画の誤算を認めたもので、経営環境の激変ぶりを示した。

EV熱が冷め始めてから一生懸命になったトヨタはどうするのだろう?
2000年頃から研究を開始し、2017年頃から出来る出来ると言い続けた固体電池、最初は2020年代前半には市場に投入される予定だった。

それが毎年予定が変更され、直近だと2027年に出来ると言っていたかな。
トヨタの固体電池に反応するのは、投資筋くらいになってしまった。

共通プラットホームも作り直しになり、EVブームに乗ることは出来なかった。
そしてEVブームに急ブレーキがかかった今、トヨタのEVモデルはいくつか登場しはじめている。
世界的にマーケットが縮小する中で、高信頼性を誇るであろうトヨタのEVがシェアを圧倒する、なんて日は来るのだろうか?

日産のようにICEもEVも適度に手がけるのが一番という人もいるが、経営状態を見ればそれが(経営的に)一番でないことは明確だ。
電動カートとか電動フォークリフトとか、電動でなければいけない用途に使うのが一番良い。
その他は乗りたい人が乗る、EVで不便を感じない人が乗る、それが普通のマーケット言うものだ。

現在のEVは未だ過渡期であり、続々と新たな技術が投入される。
出始めの頃のPCも同じだったし、スマートフォンもそうだった。
モデルチェンジを繰り返しながら性能を向上させ、進化したのだった。
EVも同様でモータやインバータの効率、バッテリーはNMCからLFPへと変化している。

ハードウエアの進化と共にソフトウエアも変化する。
テスラはFSD(Full Self-Driving)の対応を、ハードウエア4と呼ばれるシステムを搭載した2024年販売車以降であるとした模様だ。
それ以前に購入した車両に高額なFSDオプション代を払った人は、実質的にそのオプション代が無駄になるかも知れない。
ハードウエアのアップグレードの噂というか希望はあるが、そこに金を払うのならHW4搭載車に買い換えた方が得だとの意見がある。
実際問題としてユニットの物理的寸法が異なるので、アップグレードが難しいからだとも言われる。

HW4.0は、Teslaが開発する最新世代の自動運転制御ユニットであり、FSD(Full Self-Driving)機能を実現するための核心的なハードウェア基盤である。このコンピュータは、車両のセンサー群から得られるデータをリアルタイムで処理し、自動運転や安全機能を制御する役割を担っている。特にHW4.0は、前世代のHW3.0と比較して、処理能力が約2.5倍に向上しており、より複雑なAIアルゴリズムの実行が可能になっている。

下表は、HW3.0とHW4.0の主な仕様比較である。

項目HW3.0HW4.0
処理性能(TOPS)141144
NPU数1基2基
搭載車種Model 3(2019年以降)、Model S/X(2019年以降)Model S(2021年以降)、Model X(2021年以降)
FSDバージョン対応バージョン10までバージョン12以降
電源供給方式12V12V + 24V(内部電源制御強化)

ECUいやMCUかな、このあたりは壊れる可能性は少ないだろうが、バッテリーは劣化する。
年々進化するバッテリーの交換となると、旧製品にどこまで対応出来るかも問題だ。
バッテリーは使わなくても劣化していくので、長期在庫が難しい。
ICEでも旧車用部品価格の高騰が問題になっているが、同様の事がもっと早いサイクルで起きる可能性がある。

この点テスラは18650や4680の単電池を組み合わせているので、スペース効率や重量エネルギ密度は劣るのだが、在庫コストを節約出来る。
EVが売れなくなって最も重くのしかかってくるのが、バッテリーの在庫コストだ。
テスラはバッテリー関係のトラブルを何度か起こしていて、米国や韓国ではリコールになっており、補償コストが馬鹿に出来ないはずだ。
日本では販売台数が少ないこともあり、個別対応が現状である。
(これが延長保証が必要だと言われる理由で、延長保証料金は2年間で約8万円~22万円)

新興企業以外ではBMWが2026年以降に4695セルを使う予定だとしていて、BENZも2028年以降には4680セルを使いたいとしている。
ただし今後もEVの開発が続けられていれば、と言う話だ。

バッテリーの話ではないが、テスラが採用したギガキャストにはトヨタも興味を示した。
元々は組み立て精度が悪くパネルの組み付けなどが出来ない事態になり、だったら組み立て工程をなくしてしまえと言うことで一体型の鋳造材を使い始めた。
これによって精度の問題はほぼ解決し、組み立てコストも大幅に少なくなった。
ただし金型のコストや材料・鋳造コストは膨れ上がる。
それでも新興メーカにはメリットが大きく、中国メーカもギガキャストに動いた。

テスラは製造工程見直しや品質管理の徹底により、ギガキャストより従来型組み立ての方がコストを低く出来るとした。
EV販売量の低迷はコストダウンを余儀なくされ、製造方法も変える必要が出てきた。

ユーザの支払うコストとして考えても、現状のEVにメリットは余りない。
リセールが悪いのは、新型車の方が安くて高性能だからと言うことがある。
テスラモデル3の5年後残価率が2~3割台なので、乗り換え自体が厳しくなる。
逆に高機能を望まないのであれば中古車がお得だが、保証がないと中古車価格以上の修理費用に泣くことになる。

ランニングコストが安いのが魅力のEVだったが、商用充電スポットの相次ぐ値上げで、もはやガソリンを買った方が安くなってしまった。
電力料金の高い日本では、EVは難しいと言える。
任意保険料が高額なのは、事故率が上がったことと修理費用がかかることがある。

New Study Finds Tesla Has the Highest Accident Rate of All Brands
https://www.thedrive.com/news/tesla-drivers-have-the-highest-crash-rate-of-any-brand-study

LendingTreeが2022年11月14日から2023年11月14日の期間の保険見積もりデータを分析したところ、テスラ車の事故率はドライバー1000人当たり23.54件で、調査対象となった30のトップブランドの中で1位でした。1000人当たりの事故率が20件を超えたのは、テスラ以外ではダッジ・ラムの22.76件とスバルの20.9件だけだったとのことです。

事故率データには面白い見解があって、テスラ製の車自体が危険なのではなく、テスラ製車両を好むドライバーが危険だというのだ。
したがって日本でテスラ製車両の事故率が今後どう推移するかは不明ながら、少なくとも対人料率は上昇している。

保険屋は高額な車に対しては法定償却に準ずる車両価値しか認めず、テスラのように市場価格が低いものには市場価格分しか認めない。
したがって相手のある事故でも、修理が出来ない程度の金額しか支払われない例が殆どだ。
修理が出来ないのはギガキャストによる所もあり、アルミのフレームが損傷を受けると全損になってしまう。

欧州各社も巨額投資のツケが重くのしかかってくる。
BENZが5兆円以上の投資計画を立てたのは2021年のことだった。
あれからたった5年なのに、世の中は大きく変わってしまった。
ポルシェだけは元気が良いと言われたのだが、ハイパフォーマンスカーの相場下落で在庫が積み上がった。

米国はトランプ政権になり、EV需要が低迷する。
フォードは数兆円の後始末費用を計上せざるを得なくなるも、EVからの撤退を決めた。
日本ではトヨタの反対もあって充電インフラ整備が進んでいない。
テスラは国や自治体から補助金を貰ってスーパーチャージャを設置するようだが、故障対応体制やコストが出ないので修理やメンテが出来ない。
先日値上げが発表されたe-Mobility Powerは、EV利用者が1台あたり月額2万円を使ってくれないと採算が合わないと言っている。

これは電気代が高いからでもあり、例えばノルウェーはEV普及率が9割前後と高いのだが、電力自給率が100%でありエネルギ全体の自給率は800%、つまりエネルギ輸出で成り立っている。
したがってEVの充電が電力を使ったとしても、特別問題はない。
日本でのEV普及率は1.5%程度なので、今後増えていく可能性はある。
しかし主流になるとは思えないのは、インフラ問題と電気代の問題があるからだ。

日本におけるEVシェアはテスラが多いと思うが、今後はBYDやトヨタ車が増えてくるはずだ。
信頼性や安心感でトヨタの上を行くのは、新興企業には出来ないことである。

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