古い電池に気をつけろと言われても…

Li-ionバッテリーの劣化による発火事故が増えている。
日本でもモバイルバッテリーの発火事故は多く、モバイルバッテリー程度であっても被害は大きい。
中国では古い中華EVは買い換えろと言われていて、理由はバッテリーの劣化による自然発火があるからだ。
充電中や走行中ではなく、停車中に勝手に発火してしまう。
中国政府は安全基準が現在とは違うから燃える事があるとしている。
最近は”中国経済新聞”と化している”日本経済新聞”は以下のように書いた。

安全基準の問題ではなく、そもそもバッテリーの特性そのものが問題だとする研究もある。
劣化を見越した製造方法を採れば安全性は高まるものの、それでも絶対とは言えない。

ラミネートパックのバッテリーの場合は、バッテリーが膨らむ事で内圧が上がった事を確認出来る。
ガスの成分は水素や炭酸ガスで、火を付けると燃える。
円筒形のバッテリーはハードケースに入っているわけで、余程の事がないと膨らまない。
もっともEVなどで多数の円筒形バッテリーを使う場合は、劣化によって直径がわずかに大きくなって(互いに押し合い)変形する場合があるそうだ。
更にガス圧が上がると防爆弁からガスが抜けるが、この時に電解液も漏れる。
電解液は引火性があり、水と反応すると有害ガスが出る。

中国では半固体Li-ionバッテリーが売られ始めている。
モバイルバッテリーなどに、安全であるとして売られている。
これって電解液をゲル状にしたとか、そんなものなのだろうか。
BUFFALOでは下図のように燃えにくいと言っている。

電池だけではないが量産品はコストダウンが進む。
技術が進化すると安全性が高まり、安全性を一定とするならコストを下げることが可能になる。
しかし安全性を犠牲にしてもコストを下げようとする動きも出て来る。
こうしたことが繰り返されながら、或いは規制されながら、LIBは進化してきた。
だから古い電池は使うなと。
それは分かるのだが、現実問題として数年で車を買い換えろというのは無理もある。
これはEVにしても同じだし、LIBバッテリーを使う機器全般でもそうだ。

ウチには18650の単電池が沢山あるのだが、自然発火するのは嫌だなぁ。
急速放電が起きるのはダイソンの掃除機やブロワで、連続使用だと数分でバッテリーを空にしてしまう。
これは放電レートからすればEV以上なので、何か危ない感じがする。

ガス圧の上昇や変形によって内部電極も変形する。
電極はセパレータで分離されて配置されているわけだが、そのセパレータの長さを超えて電極が変形したり析出が起きると短絡する。

異物混入や衝撃による変形は言わば内部や外部からの要因による異常発生なのだが、劣化による変形はバッテリーの特性そのものなので厄介だ。
セパレータの長さというか大きさに余裕を持たせれば事故は減るが、余計なスペースを取るのでエネルギ密度が下がり価格が上がる。
どの位の余裕が必要なのかは、劣化データが蓄積されてこないと分からない。

中国で車両火災を起こすEVは2020年以前のものが多いそうだ。
8年程度が経過するとバッテリーの発火事故が増えると言われる。
走行中だろうが停車中だろうが、所構わず燃える。

中国では古いテスラも燃えている。
駐車中に燃える事故が増えていて、駐車場や付近の車も焼き尽くす。
韓国ではEV車を入れることの出来ない地下駐車場がある。

中国でテスラ製車両の発火事故が多く報道されるのは、中国国内メーカの発火事故を正当化でもないが、目立たなくするためだ。
中国車の発火事故は、報道規制があるので滅多にニュースにはならない。
ニュースになったとしても事故が軽微だったことにされる。
対して輸入車に何かが起きれば即座に報道されるのが、いかにも中国という感じ。

9月末に日本でもテスラ製車両が燃えた。
EVの消火には時間がかかるのだが、この例では1時間もしないうちに全て燃え切ってしまったとか。
Xに動画があったが、ホイールが残っているくらいでボディは全部溶けて無くなっていた。
なおドライバーは脱出出来たらしい。
車両は10年ほど前のモデルとの事で、火災の原因は不明。

中国ではファラシス・エナジー製(中国製)のバッテリーを搭載したBENZ EQEが燃えている。
ヒュンダイやBYDも勿論燃える。
テスラは世界各国で燃えているし、シボレーも燃えたんだったかな。

燃えるのは仕方がないと言ってしまっては身も蓋もないのだが、EVの場合は爆発的な燃焼が起きるので脱出時間が殆どない。
各社共にパイロヒューズを仕込むのだが、そもそもバッテリー自体が燃えたがっているような場合は負荷を切り離しても意味がない。
いったん燃焼モードに入ると、消火がかなり困難だ。
これは酸素がなくても燃焼が続くためで、酸素供給の遮断と冷却を同時に行わなければ消すことが出来ない。
フルサイズ動画はこちらから

モバイルバッテリー程度の大きさなら消火も不可能ではないが、50kWhとか100kWhのバッテリーとなると、蓄えられているエネルギも大きいので消火難易度が上がる。

火を消すことは不可能に近いので、爆発的燃焼が起きる前に脱出するのが最善だ。
何分で爆発的燃焼に至るのかは色々なのだが、概ね1分以内に脱出すれば被害は受けないと言われる。

中国車ではバッテリーユニットが吹き飛ぶケースもあるので、速やかに車両から離れなければいけない。

従来は国産のLIBが多く使われていたが、今はコストの関係で中華LIBになっている。
未だ日本ではEV比率が少ないので燃えるかどうかは分からないが、中国や韓国ではEVの進入を禁止する駐車場があるくらい燃えている。

EVで使えなくなった電池を家庭用蓄電池に使う試みは各国各社で行っている。
EVのバッテリー寿命が長くなったとメーカは言うのだが、実際問題としては劣化して使えなくなる。
特にLFPは内部抵抗の増大が起きるので、高負荷で使用するEV用としては使えなくなる。
こうしたバッテリーからセルを取り出し、容量チェックをした上で家庭用蓄電池に組み直す。
それは良いのだが、内部の劣化度は(円筒形セルの場合は)判別しにくい。

新品のセルを使用した家庭用蓄電池の想定寿命は10年~15年とされる。
テスラ製では10年後の容量を70%以上としている。
長州産業やシャープでは15年後の容量を60%以上とする。
Panasonicは55%以上、ニチコンは50%以上だ。

自動車用より負荷の軽い家庭用でもこの程度の劣化具合なのに、中古電池は使えるのかなぁ。
残容量の保証規定の中にはサイクル数を規定するメーカもあるので、毎日使えばそれなりに寿命が減ると言うことだ。

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