ヘッドライトコート剤の紫外線透過率

自動車&バイク

ミニのヘッドライトに殆ど黄ばみはない。
BENZ CLSもそうだったが、ドイツ車のヘッドライトは黄変しにくいと思う。
ただし表面のハードコート層は剥がれやすく、剥がれるとまだらになってしまう。
また細かなヒビも増えてくる。
現状ではヘッドライト上部はハードコートがハガレているのだが、見た目ではよく分からない。

細かなヒビも入っているが、これも遠目で見れば気にするほどのこともない。

ライトを点灯させるとヒビで乱反射が起きるが、余り目立たない。

それでもヘッドライトを磨いてみようと思ったのは、ジムニーで失敗していることがある。
ジムニーのヘッドライトは黄変が酷く、市販の研磨剤やコンパウンドで磨いてみた。
しかし多少黄変が取れた位で大きな変化はなく、結果的には失敗だった。
その後ヘッドライトごと、程度の良い中古品に交換した。

この時にはサンドペーパで磨くことは行わなかったので、サンドペーパで削ったらどうなるのか?興味があった。
そこで今回はサンドペーパがけをして、中途半端に剥がれたハードコートを除去してみる。
はおハードコートは傷を防ぐと共に、紫外線をカットして黄変を防いでくれる。
従ってハードコートが剥がれていない状態で、安易にヘッドライトを磨くのは避けた方が良い。

ヒビに関しては、ヒビが消えるほど深くは削らない(磨かない)ので、改善されない可能性もある。
黄変は元々殆ど発生していないので、改善効果は検証出来ない。

ヘッドライトを磨く準備

ミニはボンネットフードを開けるとヘッドライトユニットが現れる。
周囲に塗装物がないのでマスキングは必要ない。
ヘッドライト周囲はゴムのパッキンが付いているが、これは簡単に外すことが出来る。

今回使用するのは2年の耐久性が謳われる、CCIのヘッドライトコートNEOである。

2液性の水性液体が付属していて、研磨後にこれを塗って仕上げる。
コート剤の他には2000番の耐水ペーパと、液状研磨材が付属する。

サンドペーパは付属しているのだが、ハードコートがこれだけで除去出来るとは思わなかったので、別にサンドペーパセットを用意した。

サンドペーパで磨く

まずは1000番のサンドペーパで削る。
ヒビを消すには表面を削り取る必要があり、今回はそこまでは削らない。

ヒビまで消すのであれば、240番→320番→400番→600番→800番と磨いた後で、1000番から始めれば良いが、ポリッシャを使わないと大変かも。
今回は中途半端に剥がれたハードコートの除去だけなので、1000番から磨き始めた。
所が1000番でハードコートを剥がすのは大変だったのである。
ハードコートは固いので1000番のサンドペーパでは、軽く磨いても傷すら付かない。
それでもサンドペーパを新しいものにし、力を入れて磨き続けたら徐々に取れてきた。
ハードコートを綺麗に剥がすなら、機械磨きをした方が良い。
例え目の粗いサンドペーパを使ったとしても、ハードコートを剥がすのは結構大変だ。

ハードコートのある部分はサンドペーパで磨いても傷が付かないので、透明度が保たれている。

1000番でハードコートを除去すると、表面がつるつるになる。
ハードコートが中途半端に剥がれた状態のヘッドライト表面は、少しざらつきが感じられる。
その後1500番→2000番→3000番と目を細かくして磨く。

サンドペーパで磨いた後に、付属の液体コンパウンドで磨いてみた。
さほど目の細かいコンパウンドではないので、透明にはならなかった。

コート剤を塗る

磨き終わったらコート剤を塗る。
コート剤は2液性で、混合後6時間以内に使い切らなくてはいけない。
なおコート剤は結構分量があり、自動車2台は塗布出来そうだ。

コート剤を塗るとヘッドライトの透明度が上昇し、綺麗になる。
今回は細かなヒビは取れなかったというか、そこまで削っていないので仕方がないが、表面の剥がれかけのハードコートが除去出来て多少透明度が上がった。

黄変も殆ど無かったので、見た目は以前とほぼ一緒である。

コート剤は2度塗りが推奨されていて、3度塗っても意味ないよと書かれている。
何故2度塗りが良くて、何故3度塗りの意味がないのか?
余ったコート剤で実験してみた。

コート剤の紫外線透過率

最初にクリアファイルに塗ったのだが、コート剤をはじいてしまいうまく塗れなかった。
次にOPP袋に塗ると、クリアファイルほどではないが塗りむらが出来た。
最後にカセットテープのケース(若い人は見たこともないはず)に塗ると、キズが埋まって綺麗になった。

OPPフィルムには2度塗り、カセットテープのケースには3度塗り、クリアファイルには4回の重ね塗りをした。
コート剤が乾いたところで紫外線透過率を測ってみた。

結果は以下のようになった。

サンプル紫外線透過率コート剤重ね塗り回数
OPPフィルム14.6%2回
カセットテープケース2%3回
クリアファイル4.9%4回

OPPフィルムはPP、つまりポリプロピレンで出来ている。
カセットテープケースはポリスチロールではないかと思う。
クリアファイルはポリプロピレンやポリエステルが原料だそうだ。

基材による透過率の差が出るのは、塗布厚が変わる為だろうか。
或いは塗りむらで、カセットテープのケースが最も良く塗ることが出来た。

材質によってはムラになる

写真はクリアファイルに塗ったもので、コート剤をはじいてしまいムラになっている。

いずれにしてもコート剤は紫外線をカットするものであり、多くの紫外線カット剤は、塗布厚によって紫外線透過率下減少する。
多回塗りの場合はムラになりやすくなるのだが、ムラになっても乾くと透明になるので目立たない。
厚塗りするとムラになりにくいが、透明度が少し落ちる気がする。
乾き始めているのに重ねて塗ったり擦ったりすると、そこの透明度が落ちる。
サッと塗ってあとはいじらない事が大切だ。

ちなみに今回は3回塗ってみた。
3回塗るとどうなるのか試してみたかったこと、コート剤が余っていたことからだ。
では何故4回塗らなかったかというと、実験に使用して薬剤がほぼ無くなったからである。
塗り重ねると透明度が落ちるのかも知れないが、見た目ではハッキリは分からない。
ヘッドライトに細かなクラックがあるので、そのクラックによる乱反射より不透明度による乱反射が少ないわけだ。

塗り重ねると本当に透過率が落ちるのかなど、いくつか試してみたい事がある。
これらに関してはクラック(現在残っている細かなひび)除去時に行おうかとも考えている。
せっかく塗ったのでしばらくはこのまま使うが、いずれ実験したい。

黄ばんでいないヘッドライトの保護目的で、CCIのコート剤を使用する場合、ピカール(粒径約3μm)や鏡面コンパウンド(粒径約1μm)で軽く磨いた上で、コート剤を塗れば良い。
もしもはじいてしまうようであれば、もう少し粗いコンパウンドで磨く必要があるが、ハードコート層があるので余り傷は付けられないと思う。

今回は剥がれかけのハードコートを剥がし、コート剤を塗った。
だがそれよりポリカーボネートのカバー自体を交換した方が良いのではないか?
純正部品はヘッドライトアセンブリしか出てこないが、OEMパーツだとかアフターマーケットパーツでは、ヘッドライトカバーを購入することが出来る。

殻割りなどの作業は必要になるが、カバー交換の可能性も探ってみようと思っている。
欧州車の多くはブチルゴムによる接着ではなく、シリコンで接着されている。
従って加熱による分解は不可能で、いかに分解するかがカギになる。

ジクロロメタンによる実験も予定している。
実験用にヘッドライトユニットを入手する予定なので、殻割り時にやってみる予定だ。

UVカットクリア実験準備

このページの公開に間に合わなかったのだが、紫外線防止塗料であるUVカットクリアの実験も行う。

UVカットクリアをスライドグラスに塗り、透過性や紫外線透過率を測る。
その後屋外に放置し、1年後の状態を観察する。

本当はスライドグラスにヘッドライトコートNEOを塗れば良かったのだが、入手時期の関係でスライドグラスには塗る事が出来なかった。
スライドグラスを用意したのは、プラスチックものだとそれ自体が紫外線により変質する可能性が高いからだ。

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