GR GTのトランスミッション

GR GTはトランスアクスルを使うのだが、透視図を見るとトランスミッションが長い。
エンジンからの入力が下の図の左側で、アウトプットが右側だ。
デフはインプットシャフト側にあるので、アウトプットシャフトからギアとシャフトで戻している。
ドライブシャフトがインプットシャフトの下を通っているのは、既存のトランスミッションはウエットサンプエンジンのクランクセンターに合わせた設計になっているからではないだろうか。

縦置きのATでハイトルクに耐えられるのは、北米向けハイラックス用がある。
ただし通常のトルコンATだ。
そこでトルクコンバータを外して、空いたスペースにデフを入れる事にした。
トランスミッションの透視図を見ると、たぶんハイラックス用である。

下の写真は旧AMG GTなのだが、多段変速ATの割にトランスミッションは長くない。

AMG GTもアウトプットシャフトが前方に出てくるようなレイアウトになっている。
ドライブシャフトはインプットシャフトの上を通っている。

トランスミッションの中身は下図のようになっていて、トランスアクスル用に設計するとこんな風になるわけだ。

日産GT-Rの場合はトランスミッションの後方にデフを配置した。
フロントへのプロペラシャフトもあるので、難しいレイアウトになる。

コルベットはミドシップなので、縦置きFFのユニットを後方に持っていったような形になる。

縦置きFF(4WDだけど)と言えばスバルで、トランスミッションは下図のようになっている。

トヨタが何故DCTを使わないのか?
あるジャーナリストは、トルコンがある事でスムーズな発進やシフトが可能となるため、トヨタはあえてトルコンを残しているのだと書いた。
GR GTはトルコンレスなんだけどね。

GR GT用にトランスアクスルレイアウト用のDCTを開発するのは難しい事ではなかった、というより、アイシンに作らせるなりゲトラグから買って来れば済む。
それをしなかったのは、既存ATの信頼性を取ったのか。
BENZもDCTではなくステップATを使う車があり、シフト時間がかかるのでどうしても発進加速が遅くなる。
BENZは当時、信頼性を重視したとコメントしていた。

BMWは早くからDCTを採用し、初期の頃にはトラブルもあったが今は安定している。
一方で高機能DCTはコスト高になってきていて、スーパースポーツ以外はステップATで良いんじゃないかとも言われ始めた。
歴史と実績のあるステップATは信頼性の面でも、耐久性の面でも優れていて、さらに動力伝達効率と価格がDCTとさほど変わらないとなれば、ステップATで良いのではないかとなるわけだ。

ハイパワーの車では大トルク対応のトルクコンバータが作りにくくなる。
大きく重く高いものになってしまうので、各社共にトルコンレスのステップATに移行しつつある。
トルクコンバータがないのでトルク変換が行われないが、今は多段ATが普通になったのでさほど問題にはならない。
クラッチ部分も湿式であれば耐久性の問題は余り発生しない。

唯一DCTとの違いはシフト時間で、ステップATでシフトショックを少なくしようとするとシフト時間をかけるしかない。
SL43はトルコンレスのステップATなのだが、フル加速時は結構シフトショックがあるし、その割にはシフトが早くない。
シングルクラッチ方式を採用するLamborghini Aventadorも、シフトの度にそれなりのショックがあるとのレポートだ。

Lamborghini Aventadorはシングルクラッチ方式を採用したことに対して、構造が簡単で軽量、クラッチが1つであれば(トランスミッションの)搭載位置を低く出来て重量バランス的にも優れると言っている。

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