BMWのネジの多くは使い捨てである。
塑性域締め付けではないボルトやナットも交換が指定されている。
交換が指定されているので交換するのだが、入手性の悪いボルトは再使用したものもある。
交換すべきかどうかはその使用箇所や締め付けトルクによっても判断するのだが、基本は全て交換だ。

ハイテンションボルトが多く使われているので、それらは出来るだけ交換したいところだ。
M12のネジで100Nm(一般品は42Nm)、M10のネジで56Nm(一般品は24.5Nm)の締め付けトルクが指定されている。
そしてこれらのボルトが安くないのだ。
ボルトによっても違うのだが、国内で買うと300円とか400円/本の値段になる。
写真の左に写っているのはスズキの純正ネジで、スカイウエイブのクランクケース辺りのものだったかな。
これは普通の、つまりハイテンションボルトではないもので100円/本位だ。
鉄ネジでは頭の部分に数字の刻印のあるものがある。
4.8とか10.9とかと書かれているのだが、4.8は4が破断強度で400Nmm2、8が400Nmm2×0.8=320Nmm2で弾性域締め付け限界強度(これ以上の力を加えると変形して元に戻らない)になる。
ではボルトは破断強度まで使えるのかというと、破断強度手前のトルクで締め付けた場合は締め付けることによって破断強度近くまで強度が使われてしまうので、ボルトに何らかの力が加わって引っ張られた場合は破断する。
M10のボルトの断面積は並目ネジで58mm2、細目ネジで64.5mm2なる。
F = T/kd なので、M10の標準強度鉄製ボルトを例にすると以下のようになる。
F=T(24.5Nm)/k(係数0.17)×ネジ呼び径(10)=14411N
破断限界が23200N(弾性締め付け限界 18560N)に対して、標準締め付けトルクだと約14400Nの軸力を使うことになる。
ただ締め付けトルクと軸力の関係は一定のものではなく、締め付けトルクの多くは摩擦力として使われてしまう。
摩擦力は締め付けトルクが大きくなるほど増えるので、だったら計算上で軸力を決めた方が良いんじゃないかと言うのが角度締めだと思う。
軸力や破談強度などと締め付けトルクは大雑把にこの位ですよという事らしく、機械工学的にはこんなに単純ではないみたいな話を聞いたことがある。
機械は専門外なのと、機械の場合は物性というか物理や化学の話も出てくる。
それに比べると電気は分野が狭いような気がする。
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