BMWミニF55のエンジンマウントを交換する。
エンジンマウントは純正やOEMなどがあり、純正品で2024年現在2.5万円程度、OEM品はメーカによって6千円~2万円位だ。
現在販売されているのは、他のパーツも含めてOEM品が多い。
今回は車体番号(VIN)から部品を調べて貰えるところで注文したこともあり、純正品を使用した。
純正品は強度対策品に変更されている(部品番号のサフィックス変更)が、OEM品は未だ変更前にものも出回っている。
なお再使用が推奨されないボルトはOEM品がなく、純正品は1本千円ちょっとの価格だ。
エンジンマウントを外すにはヘッドライトを外す必要がある。
ヘッドライトは4本のビスで留められているが、その中の3本を外すのに苦労した。
6角頭の1本は何と言うことなく外せるが、トルクスの3本は嫌気性ネジロックが塗られていて中々外れない。
ナット側は四角板ナットが金属で固定されている。
しかし力を加えるとその金属が開いてしまい、ナットごと回転する。
文章での説明では理解しにくいだろうが、たぶん写真を見ても理解出来ないと思う。
右側が四角板ナットだ。
その回りの金属板がナットの回転を抑えてはいるが、ネジを緩めようとすると板が開いて四角板ナットが回転してしまう。
四角板ナットの対辺は10mmだが、周りに金属板があるので10mmのスパナはかけられない。
そこで金属板ごとスパナをかける。
スパナの対辺は13mmである。
ピンボケで申し訳ないがこんな感じでスパナをかける。
ただしナットは裏側にある訳で、ナットがどこにあるのか殆ど見えない。
手探りでスパナをかけるしかない。
嫌気性ネジロックは加温によって柔らかくなるので、ヒートガンで加熱しながらトルクスネジを緩めていく。
ただし樹脂というかゴム的なものが使われているので、余り高温にすると部品が壊れる。
整備書によればフレームごと外すのが正解らしい。
ヘッドライトが外れれば、後はエンジンマウントの交換だけだ。
エンジンマウントを外すので、エンジンを下から支える。
ジャッキにあて板をしてエンジンの下に入れる。
エンジンマウントはボディ側がネジ2本、エンジン側がネジ3本で止まっている。
そこそこ固いのでラチェットよりも力の入る工具の方が良い。
ボディ側はフレームに干渉するので、ユニバーサルジョイントがあれば便利だ。
たいした角度を付ける訳ではないので、1個で足りる。
ユニバーサルジョイントで角度を付ける場合は、2個のユニバーサルジョイントを直角方向に接続して使わないと等速にはならない。
あまり角度を付けないようにしてネジを緩める。
ネジを抜いたらエンジンマウントを引っ張り出す。
エンジンマウントにエアコン配管などが付いているので、プラスチックのクリップを外しておく。
ギリギリの隙間を通してエンジンマウントを引き抜く。
古いエンジンマウントと新品の比較である。
改善品は品番のサフィックスが異なり、見た目でも判断出来る。
古いエンジンマウントはゴムに亀裂が入って裂けてしまっている。
ただこの程度の破損状況では、エンジン振動も含めて異常を感じられる機会は少ない。
写真は右側のみが切れているが、左側も切れた状態になると振動が感じられるようになり、完全にゴムから外れてしまうと異音が出たりして異常に気づく。
交換前、ヘッドライトが付いた状態で観察したのが下の写真だ。
壊れていない側のゴム部分は見えるのだが、壊れた側はよく見えない。
新しいエンジンマウントにはタップが切られていないので、M6のタップで3カ所にネジを切る。
あとは分解の反対の手順で組み立てていくだけだ。
ボルトは新品を使う。
M10のボルトは56Nmで締めてから90度回す。
M12のボルトは68Nmで締める。
エンジンマウントの取り付けが終わったら、ヘッドライトを取り付けて完成である。
エンジンマウントを変えたことによって、アイドリング時の振動が減ったような気もするが、あまり大きな違いはない。
エンジンマウントのゴムが完全に壊れてしまうと、エンジンの位置決めが出来ずに音が出たりする。
またエンジン振動が過大になり、エンジンマウント近くのエアコン配管を傷つけることもある。
今回はペンドラムサポート(エンジン下部のマウント)は交換しなかった。
自分で作業を行う場合は駄目になったら交換すれば良いが、整備工場に依頼する場合は一緒に交換した方が工賃の節約になる。
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