鉛バッテリーの劣化具合

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ソーラーシステム用に自動車用鉛バッテリーを使っている。
サルフェーション防止用にパルス発生器も取り付けた。
パルス発生器は2種類使っているが、サンダーアップの方が面白かった。
何が面白いかって?
内部ではパルスは発生しているが、そのパルスがバッテリーに印加されないように回路が組んであるからだ。
詳しくは以前の記事をご覧頂きたい。

サンダーUP BX-10(1)
サンダーUP BX-10(2)
サンダーUP BX-10(3)
サンダーUP BX-10(4)
サンダーUP BX-10(5)
サンダーUP BX-10(6)

鉛バッテリーを使い始めて4年が経過した。
バッテリーは95Ahが2個と28Ahが5個の合計330Ahになる。
自動車用バッテリーなので5時間放電率による公称容量だ。

このバッテリーを容量を、放電電流と時間から推定すると200Ah程度となった。
放電終止電圧まで放電させる為に2日以上かかるので、5時間放電率による容量よりも実際には大きくなり、この放電電流による公称容量は400Ahを超えていると思う。
従って3年間で5割程度まで容量が減ってしまった訳だ。

もしかしてパルス発生器が壊れたとか?
そこでパルス発生器を取り外して波形を観測した。
まずは28Ah×5の方に付けてあるサンダーアップからだ。
故障はしておらず波形は出ていたが、波高が極めて小さかった。

バッテリーに接続した状態で600mVP-P位しかない。
バッテリーが劣化すると高周波に於けるインピーダンスが下がるとか?
それともサンダーアップの方が劣化した?

サンダーアップは電源と昇圧コイルの間に5.1Ωの抵抗が入っている。
これを短絡すると、昇圧用コイルにバッテリー電圧が直接加わり、パルス波高が大きくなる。
それでも4V程度が限界だった。

これ以上のパルス電圧を求めると、デバイスや回路を検討しなければならなくなる。
と言う事で、これで我慢しておこう。

もう一つ、95Ah×2の方に接続しているのはナイトコア(NIGHTCORE) PC10である。
当然ながら内部定数は変更して使用している。

ナイトコア NIGHTCORE(1)
ナイトコア NIGHTCORE(2)
ナイトコア NIGHTCORE(3)
ナイトコア NIGHTCORE(4)
ナイトコア NIGHTCORE(5)

こちらはサンダーアップより出力が出ていた。

15Vp-pもあれば良いだろうと言う事で、これはこのままバッテリーに付け戻した。

これを購入した当時は売られていなかったが、今は基板単体みたいなものが売られている。
部品を集めて組み立てるよりも安いと思うので、基板型を買ってみるのも良い。
基本的な回路はどれも同じなので、特性に大きな違いは無い。

中国製のパルス印加装置に、コイルによる逆起電力方式ではないと書かれているものがある。
容量方式となっているのだが詳細は不明だ。
印加パルス電圧は60V~100Vになっている。
いわゆるCDI的なものか、或いはチャージポンプ?

パルス波形を見て分かるように、繰り返し周波数やパルス半サイクルの時間などは異なる。
何が良いのかは不明で、繰り返し周波数を可変するようなものもある。

これ以上のパルス電圧を望むにであれば、コイルを大型化して電流を増やすしかない。
小さなコイルに大きな電流を流しても、コイルが飽和するだけでパルス出力電力は上がらない。

パルスによる性能回復効果は、鉛蓄電池のみではなくNi-MHバッテリーに於いても有効であるとの研究結果があった。
Ni-MHバッテリーでは内部で γ-NiOOHが生成され、容量が減少するのだそうだ。
これがパルスで破壊される為に容量が回復するらしい。
なおLi-ionバッテリーでは、パルスによる明確な性能回復は見られなかったそうだ。

サルフェーションは出来たての物ほど除去しやすいという研究はこちら

パルス印加装置の点検も行ったのだが、曇天続きで放電終止電圧まで下がったバッテリーを、定電圧電源に接続して3日かけて満充電まで持っていった。
通常ソーラーパネルからの充電では25A以上の充電電流が流れるのだが、定電圧電源では約5Aを流しながらゆっくり充電した。

チャージコントローラにはイコライゼーションチャージという機能があり、充電終始電圧を(公称12Vの鉛バッテリーの場合で)15V~16Vと高めにしたまま数時間放置する。
これによって鉛バッテリーの活性化が期待出来るというもので、ステータスモニタを見ているとイコライゼーションチャージモードに入っている事もある。
ただ日照時間や充電時間付加の具合などによって、必ずしも十分な時間イコライゼーションチャージモードが維持出来ているかと言えばそうでもない。

そこで満充電後も電圧を15Vと少し高めにして24時間放置した。

このゆっくり補充電が効果を現したか、以前よりも実容量が回復した。
しかしその後は徐々に実容量の減少が分かるくらいに、バッテリー稼働時間が減っている。
バッテリーの劣化が気になりだした頃から、急速に実容量が減ってきた感じがする。
定電圧電源から充電してみると、充電開始早々にバッテリー端子電圧が上がってくる。
これは実容量の減少したバッテリーに見られるものだ。

充電終始電圧を上げた補充電により回復はするのだが、その効果の持続性が短くなっている。
使用開始から4年が経過したわけで、来年の今頃には非実用的な程度に容量が減少しているかも知れない。

ディープサイクルバッテリーの寿命を見ると、500回の充放電で容量が8割以上残るのがJIS規格だそうだ。
毎日必ず充放電が起きるが放電深度が通常は浅いソーラーシステムに於いて考えてみると、ディープサイクルバッテリーだとして1000回くらいの充放電で容量が半分くらいに落ちる感じだろうか。
そのサイクル寿命からすれば、自動車用バッテリーとしては頑張っている方なのか。
なお放電終止電圧は11.8Vと高めに設定していて、梅雨時や秋の長雨時などには放電終止電圧になりカットオフが起きる。

現在の状況はこんな感じだ。

1日目昼:晴天・満充電
1日目夜:5A×14時間放電(70Ah)
2日目昼:雨天・3A×10時間放電(30Ah)
2日目夜:5A×14時間放電(70Ah)
3日目昼:雨天→充電終始電圧に達してカットオフ

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コメント

  1. 水島 廣 より:

    ほりこし様
    私もデサルフェーサに興味があり様々な実験測定を繰り返しました。その結果分かったのはバッテリーへの充電は電圧パルスの初めの1発めだけで、なおかつその立ち上がり部でしかない事が分かりました。パルスの振動はコイルとFET出力容量による自由振動でした。実際電流波形を見ると鋭い正パルスの後は指数関数的に減衰する1発だけで振動は観測されません。
    4年使用のバッテリーで効果アリを確認してきます。ちなみに電流波高値は0.4A、繰返しは20khzでした。何か参考になればと思い連絡差し上げました。

    • FnF より:

      情報ありがとうございます。
      現在の構成だとバッテリー容量(=極板面積=静電容量)が大きいので、パルスのパワーが絶対的に足りていないのではないかと思っています。
      パワーを上げるには大きなコイルに大電流を流すか、或いはDC-DCコンバータで高電圧を作って容量放電方式にするかですね。

      中華もので容量放電方式を謳ったものを買ってみようかとは思っています。
      回路的には簡単なので作れば良いのですが、今や中華ものを買った方が安い感じです。

      • 水島 廣 より:

        了解しました。確かにバッテリーの数からすると力不足かも知れませんね。私のケースはパナのバッテリーチェッカーのLEDがフル充電しても2個しか点灯しないものが5個全部点灯するようになりました。印加時間は48時間でした。ただ完全に初期性能に戻る訳ではないようです。

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